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柏崎刈羽原子力発電所7号機の運転再開について、議員協議会における知事の説明内容をお知らせします

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0042953 更新日:2009年5月7日更新

本日開催された、新潟県議会議員協議会における知事説明の全文は以下のとおりです。

 議員協議会の開会に当たり、原子力行政に関わる私の所信並びに、柏崎刈羽原子力発電所の運転再開問題についての対応方針について、県民を代表する議員各位にご説明させていただきます。

1 想定を超える地震に遭遇

 まずはじめに、中越沖地震が柏崎刈羽原子力発電所に与えた被害の状況等についてご説明させていただきます。

 ご承知のように、平成19年7月16日に発生した中越沖地震は、柏崎市と刈羽村で震度6強を観測し、多くの被害を引き起こしました。
 柏崎刈羽原子力発電所では、設計時の想定を大幅に超える揺れが観測され、原子炉建屋の地下の基礎盤上に設置された地震計で観測された最大加速度は、1号機の東西方向で680ガルであり、設計値273ガルの2.5倍に相当するものでした。
 この時、2号機、3号機、4号機及び7号機が運転中又は起動中でありました。が、いずれも最初の揺れを感知して、最も大きな揺れが来る前に、自動的に停止をいたしました。
 しかし、発電所構内では道路をはじめ至る所で陥没が生じるなど、大きな被害と3500件を超える多くのトラブルが発生いたしました。
 特に、3号機の所内変圧器の火災については、消火設備の損傷・不備、初期対応要員の不足や訓練不足等により自衛消防機能がほとんど機能しなかったうえ、消防署への通報も遅れ、また道路が被災し消防の到着が遅れたこともあり、鎮火が遅れる結果となりました。
 また、微量ではありますが、放射性物質が施設外に放出されたことなどもあり、被災地をはじめ、全県に風評被害を及ぼすとともに、地域住民の原子力発電所に対する不安は増大いたしました。
 これを受け、県、柏崎市、刈羽村は、地震翌日の7月17日に、東京電力に対し、「地域の了解無しには運転再開しないよう」安全協定に基づく措置要求を行ったところであります。

2 この間の安全性の確認

2-(1)原子力安全・保安院の取組と見解

 次に、地震による柏崎刈羽原子力発電所への影響や耐震安全性の確認などに対する、国などの取組と見解をご説明をいたします。

 まず、事業所を直接、規制、監督をしている原子力安全・保安院についてでありますが、原子力安全・保安院は、設計時の想定を大きく超える地震に見舞われたことや、東京電力及び原子力安全・保安院の地震後の初動体制に不備があったことなどを重くみて、7月31日に、「中越沖地震における原子力施設に関する調査・対策委員会」、通称、班目委員会を設置をいたしました。
 委員会には、各分野ごとのワーキンググループが設置をされ、今後起こり得る地震に対する安全性、被災した施設の健全性、さらには発電所の自衛消防組織や緊急時の情報連絡・提供の課題等について、審議がなされました。
 なお、F-B断層の評価について、県の技術委員会で論点となったことを受け、国の委員会でも議論が行われた結果、断層の長さが決定されるなど、地元における議論も影響した審議が行われました。
 東京電力では、国の委員会での審議等を受け、耐震補強工事の実施や自衛消防体制の整備などの改善を実施をいたしました。これらの改善状況を検証、評価した同委員会は、本年2月13日、7号機について

  1. 中越沖地震を受けても建屋や設備等の健全性は維持されていること
  2. 新しい基準地震動に対して建屋や設備の安全機能は維持されていること

などを確認したことから、同日、経済産業大臣は「7号機の起動について安全上の問題はないものと判断する」という談話を発表をいたしました。

2-(2)原子力安全委員会の見解

 続いて、規制行政庁である原子力安全・保安院をさらに監視・監査をしている原子力安全委員会の取組と見解についてご説明をいたします。

 同委員会では、当初設計時の想定を大きく上回る地震動が観測をされ、国民に原子力の安全審査に対する不安や懸念を与えたことを重視をして、専門家による「耐震安全性評価特別委員会」を設置するなどして調査、審議を行なってきました。

 審議に当たって、同委員会は、原子力安全・保安院から検討結果に関する報告を受ける前に、検討に当たって留意すべき事項を予め提示をいたしました。検討結果の確認に際しても、クロスチェック解析を特別に求めるなど、専門的・中立的機関としての特徴を活かした慎重な審議が行われたとしています。
 このようにして、東京電力による建屋・構築物及び機器単位の設備の点検・評価並びに、それらに対する原子力安全・保安院の評価結果を検討した結果、本年2月18日に、7号機に関する原子力安全・保安院の確認結果は妥当であるとの決定がなされました。

2-(3)国際原子力機関(IAEA)の見解

 また、原子力の平和利用を進めるための国際機関であるIAEAによって、中越沖地震による柏崎刈羽原子力発電所への影響、耐震安全性評価の検討状況等を国際的に共有するため、被災後間もない平成19年8月6日には第1回の調査が行われました。その後都合3回にわたり、各国の専門家らによる現地調査が実施をされました。
 その結果、本年1月30日には

  1. 策定された新しい基準地震動は、大変保守的な仮定を用いて見積もられている
  2. 7号機の構造物及び機器は、弾性範囲内の挙動を示し、重大な損傷は発生しなかった

等を内容とする調査報告書が発表されています。
 また、現地調査時には「地震は想定値を大きく上回ったものの、すべての原子炉は堅実で安全だった」というコメントが発表されました。

2-(4)県技術委員会及び同小委員会の運営

 次に、県が設置している、いわゆる「技術委員会」についてであります。
 県民が特に不安を抱いている課題について、安全審査を担当する国で、きちんと議論をされているのか、県民の目線で確認し、県民の皆様にわかりやすくお伝えするという役割を追加をいたしました。
 そして、様々な立場から議論をしていただくために技術委員会に新たな委員を加え拡充を図りました。
 また、技術委員会に、「設備・耐震小委員会」「地震・地質小委員会」の2つの小委員会を新たに設置をし、専門家が様々な立場から、国の調査・対策委員会等での議論や評価結果を、県独自の立場から確認する体制を整えました。

 「地震・地質小委員会」では、中越沖地震がなぜ想定を超える揺れとなったのかを明らかにし、さらに今後起こりうる地震の大きさを想定するため、発電所周辺の活断層の長さや地盤の調査結果等を評価、検証をしていただきました。

 「設備・耐震小委員会」では、中越沖地震で柏崎刈羽原子力発電所の建物等にどのような影響があったのか、設備に塑性変形が生じていないのか、また、耐震性は十分に保たれているのかなどを確認するため、点検結果等を評価、検証していただきました。

 これまでに、技術委員会は5回、二つの小委員会は合わせて38回、全て公開で開催をいたしましたが、毎回、専門的、科学的見地からの活発な議論を重ねていただきました。

3 対応策

3-(1)耐震補強工事

 次に、国の関係機関や県の技術委員会での指摘に対して行われた対策等について、ご説明いたします。

 まず、耐震補強工事についてでありますが、平成18年に行われた耐震設計審査指針の見直しと、技術委員会等での議論を踏まえ、東京電力では、耐震性を確保するには、一層の余裕を持つことが重要であるとの観点から、新しい基準地震動による揺れ、600から800ガルを上回る1000ガルを耐震補強用の基準として設定をいたしました。そして、これに基づき、配管サポートの追加や強化、原子炉建屋の屋根トラスの強化など、耐震補強工事が行われました。

3-(2)火災対策

 次に、火災対策についてでありますが、中越沖地震以降、9件もの火災が発生したことは原子力発電所を運営している事業者としてお粗末であり、誠に遺憾であります。
 県では、東京電力に対し、昨年12月2日、相次ぐ火災や事故に対して、原因を徹底的に調査し、再発防止策を講じるとともに、協力企業も含めた作業員への安全教育や環境整備など、安全管理を徹底するよう申し入れました。
 これにもかかわらず、本年3月5日に1号機の原子炉建屋内で火災が発生をし、県では、同日、柏崎市消防に対して、消防組織法に基づき発電所における防火安全対策の抜本的見直しを指導するよう勧告し、対応を求めましたが、4月11日、9件目となる火災が予備品倉庫で発生をいたしました。
 この事態を受け、対症療法的な対応ではなく、それぞれの指揮命令系統や管理責任を明確にし、組織運営面での対応を求めることとしました。
 4月13日、東京電力に対して作業管理、防火体制の徹底を申し入れるとともに、柏崎市消防本部に対しても、あらためて東京電力に対して再発防止の指導を行うよう求める勧告を発出いたしました。

 これを受けて4月22日に東京電力から提出された防火計画では、防火管理の責任の所在と指揮命令系統に係る分析が過去に遡って行われました。
 この再発防止対策については、防火についての有識者からも概ね妥当な内容であるとされたところであります。
 県としては、東京電力に対し、この計画の運用について万全を期するとともに、日々改善の努力を続けていくよう求め、内容について了解したところであります。
 なお詳細については、防災局長よりご説明をさせていただきます。

3-(3)県民に対する説明会、新聞広報の実施

 次に、地元をはじめとする県民の皆様への説明状況とご理解についてであります。
 県では、小委員会や技術委員会で議論されている耐震安全性の論点や見解案について、分かりやすくお伝えするために、お知らせチラシを計4回作成し、柏崎・刈羽地域の全戸にお配りをいたしました。
 また、立地地域はもちろん、全県の皆様にお知らせをするために、小委員会で整理された論点を2回、技術委員会の見解を1回、計3回、新聞6紙でお知らせをしたほか、県の広報番組でも継続的にお知らせをするとともに、県ホームページ上で「よくあるご質問と回答(FAQ)」として公開するなど、積極的な情報提供に努めてまいりました。

 さらに、昨年12月には技術委員会、小委員会の委員と県民の皆さんとの「原子力発電所の耐震安全性に関する意見交換会」を開催し、県民の皆様から事前にお寄せいただいた意見や質問について各委員が見解を述べ、直接、意見の交換を行いました。
 また、本年3月には小委員会での論点をお話する県民説明会を、上・中・下越地域の3会場で開催をいたしました。
 説明会で実施したアンケートでは、約8割の方が説明内容について理解されたという結果でありました。

3-(4)技術委員会の見解

 次に、県の技術委員会の見解についてご説明します。
 技術委員会では、2つの小委員会で、すべての委員の意見が一致するまでには至らなかった9つの論点について、総合的な判断を行いました。
 そして「小委員会で整理した論点に関する技術委員会の見解」としてとりまとめられました。
 見解では、それらの論点についての考え方として

  1. 「現在の知見では未だ科学的に解明することが困難」な点があることを認め
  2. 見解に影響を与える新たな知見が得られたときは速やかに小委員会で再評価する
    こととされております。

 なお、これらの論点を踏まえたうえで、見解をとりまとめることについては、すべての委員が了解されましたことをご報告いたします。

 そこで7号機についてですが、

  1. 中越沖地震の影響による損傷が発生している可能性はほとんどなく、
  2. 仮にあったとしても安全性を損なうまでには至らないこと
  3. 中越沖地震の経験を踏まえて新たに設定された基準地震動を考慮しても「7号機の耐震安全性は確保されているものと考える」との見解が取りまとめられました。

 県では、この見解について、現在の知見の中で設定をされた耐震基準自体に十分な裕度があり、原子炉の安全に影響を与えるものではないこと、設備の機能に与える影響についても、多重防護のしくみを持つ安全性を損なうまでには至らないことなどの説明を受けました。

3-(5)県の危機管理・情報提供体制の強化

 次に、原子力発電所に関わるトラブルへの対応についてでありますが、
 中越沖地震や過去の教訓等を踏まえ、これまで新潟にあった放射線監視センターの本所機能を、平成20年4月から柏崎に移し、機能を強化するとともに、柏崎刈羽原子力発電所の敷地に隣接して放射線モニタリングポストを2局増設し、放射線の監視を強化いたしました。
 また、防災局に原子力安全広報監を置き、県が監視をしている放射線の情報や何か問題が生じた際の説明等について、県民の皆様に迅速、かつわかりやすく情報をお伝えする体制を強化をいたしました。

4 原子力発電に対する基本認識

 次に、原子力発電に対する私の基本的な認識でありますが、エネルギー資源が極めて乏しい我が国にとって、エネルギーや地球環境問題等、社会的な課題に応えていくためには、現実的な対応として当面、原子力発電は必要であると考えております。
 一方で、高レベル放射性廃棄物の最終処分地が決まっていないなどの課題もあると認識をしております。
 なお、先般、柏崎刈羽原子力発電所を視察した、日本の地震研究の権威である、尾池和夫前京都大学総長は、原子炉を制御する複雑な構造が強震動に十分耐えて守られた状況をご覧になり、「想定を超える加速度を受けても、柏崎刈羽原子力発電所の基幹的な部分はビクともしなかった」と話しておられるように、日本の原子力発電所の耐震技術は優れたものであるとの意見があると承知しています。

5 原子力発電所の安全性に対する受け止め

5-(1)技術委員会の見解に対する受け止め

 次に原子力発電所の安全性に対する受け止めについてでありますが、本年4月7日、技術委員会の代谷座長から、県民の皆さんが不安に思っておられる部分や見解が一致をしていない部分などについて、その考え方を含めて説明を受けました。
 原子力安全・保安院や原子力安全基盤機構などが、それぞれ別個に行った解析結果を踏まえ、最新の知見をもって議論された結果であり、運転再開に向けての安全性は概ね確保されているものと受け止めました。
 なお、起動試験は、核分裂を起こして実際に発電をすることから、安全協定に基づく運転再開前の地元了解は、起動試験の開始前に得る必要があると認識をしており、柏崎市長、刈羽村長ともこの認識を共有をしております。

5-(2)地元である柏崎市長・刈羽村長の見解

 次に地元の受け止めについてでありますが、7号機の運転再開に関しては、地元を代表する柏崎市長、刈羽村長から、国の安全性に関する評価及び県の技術委員会がまとめた見解を踏まえ、安全性に関する住民の理解が得られていることや、地域の経済、雇用への影響などから、「7号機を起動することに同意する」とのご意見をいただきました。

 これに加え、地元の経済団体等からも、早期の運転再開の要望を受けており、その中で、安全性に関する住民への説明は十分行われ、内容も納得できるものであること、さらには、東京電力が情報開示に積極的に取り組んでいること等について、理解が得られているとのご意見をいただきました。

6 原子力防災計画

 次に、原子力防災対策についてですが、県の防災計画では、「災害編」「原子力災害編」と分かれており、原子力発電所が大規模自然災害等により被災するような場合を想定していなかったことは大きな反省点でありました。
 このため、地域防災計画の「原子力災害対策編」を改訂し、原子力災害と大規模自然災害等が複合的に発生した際の対応を強化し、現在、国に協議しているところであります。

7 運転再開に慎重な意見とそれに対する考え方

 次に、運転再開についての慎重意見及び、県民の皆様への説明についてであります。
 断層の存在や耐震安全性の裕度など、活断層や塑性変形の考え方などについて、小委員会で異論が残りました。さらにボーリング調査や断層の長さ、設備の裕度の検討を行うべきとのご意見も頂いております。
 技術委員会は、7号機の審議で終結したわけではありません。今後も、追加調査及び検討の必要性議論を含めて開催され検討を続けていくべきことは、言うまでもありません。

 なお、一部団体から、更なる県民説明会の開催要請がありました。しかしながら、説明は、十分に行われたという意見も強く、現実問題として240万人の県民一人ひとりに説明することは不可能であります。

 様々な意見を集約するには代議制民主主義の原則に立ち返り、県民を代表する県議会にご説明させていただくことが第一であると考え、本日、県議会でご説明をさせていただいております。

8 結論

 原子力発電に関しては、万が一の事故の際には大変大きな影響があること、また、放射線が見えないことや長期の影響の有無についての不安等もあることから、その立地に限らず、原子力発電そのものに対する疑問も呈されています。このため、原子力発電所には、特に高度な安全性が求められることは言うまでもありません。
 しかしながら、この世で、人が造るものに100%安全なもの、完全な無欠のものは、存在しないということも事実であります。原子力発電所も人が造ったものである以上、完全無欠であることはあり得ず、行政が完全な安全性を保証することはできません。
 一方で、柏崎・刈羽両地域を中心として、多くの地域住民の日々の暮らしが柏崎刈羽原子力発電所に直接・間接に依存して成り立っている現実もあります。地域社会からは、中越沖地震からの復興のため一日も早い原子力発電所の再開を望む声が寄せられています。地域に責任を持つ柏崎市長及び刈羽村長からも同様の申し入れがありました。
 この間、原発に反対なら電気を使うなという意見もいただきました。極論を待つまでもなく現代日本の生活は電力がなければ成り立たないことは誰の目にも明らかです。長期的なエネルギー政策はどうあるべきかは別にして、当面は、無資源国日本において、原子力発電所なしに現在の生活に必要なエネルギーを供給し続けることは困難であります。加えて、地球温暖化問題の深刻化を考えると大量に二酸化炭素を発生をさせる火力発電は、早く抑制するべきとの指摘も妥当性が高いものがあります。
 このような状況で我々はどのような選択をすべきなのでしょうか?原子力発電に賛成される方と反対される方は、全く相容れない考え方をしているのでしょうか?
 私は、中越沖地震で柏崎刈羽原子力発電所が被災して以来多くの方から、原発について様々なお話を聞かせていただきました。原発に賛成の方も反対の方も安全の確保が何にもまして必要という点では全く違いはないというふうに思います。
 異なるのは、安全確保の程度・方法論なのではないでしょうか。危ないかもしれないものは、一切、地域に設置すべきでないと考えるのか。それとも、原発と共生をしながら、安全を確保していくという方法論の違いではないかと感じています。
 今ほど申し上げましたとおり、日本は、当面、現在の生活水準を維持するエネルギーを確保するためには、原発と共生せざるを得ない現実があります。
 一方で、旧ソ連のチェルノブイリ原発の事故では、数百キロ離れた地域で高濃度汚染地域が存在することが確認をされています。日本国内に原発が存在する限り、仮に柏崎・刈羽に原発がなくても事故からのリスクがなくなる訳ではありません。また、放射線からのリスクを完全に回避できる訳でもありません。
 すなわち、現時点の日本において、安全を確保するためには、仮に原発は造るべきでないという立場に立って、柏崎・刈羽原子力発電所の廃止をしても、問題の解決にはならないこととなります。
 むしろ、今回、県の技術委員会で真剣な議論がなされた結果、柏崎・刈羽原子力発電所に限らず、全国の安全基準が引き上げられ、火災の対応が強化されるという安全性の強化が図られたことは積極的に評価すべきなのかも知れません。
 エネルギー供給体制が、化石燃料や原子力に頼らなくても可能になるまでは、日本の、ひいては、世界の原子力発電所の安全性を高めていくため、むしろ、安全性について懐疑的な立場から積極的に原子力発電所に関わり続けていく方が望ましいようにも思えます。
 以上を踏まえれば、当面、新潟県は原子力発電所と共存する道を選択すべきではないかと考えています。無論、この判断は、将来を拘束するものではありません。再生可能なエネルギーの開発を続ける必要があることは当然ですが、これを普及させる制度を創設し、積極的に後押しし、将来の世代の政策選択の幅を広げる努力を進めることが重要であると考えています。
 また、この選択をする以上は、行政は、原子力発電所の安全確保に大きな責任を負うことになるという自覚を持ち、原子力発電所の安全性を高めていく不断の努力と政策を実施することが不可欠だと考えています。
 人の知恵には、限りがあります。しかし、進歩を続けているということも事実です。安全確保についても、ある時点での「現在の知見」や「現在の技術」を絶対視をすることは許されません。日々進歩していく人類の知見と科学技術に合わせて、常に改善を継続していくことが必要であり、そのことがまた、県民の信頼に繋がっていくものと考えております。
 安全確保の取り組みには、組織、制度のあり方も重要です。ヒヤリ、ハットの事例がある度に改善をしていく組織、そして、社会の仕組みが必要であります。
 例えば、改善すべき制度としては、現在何らかの損失が発生すれば過失責任を必ず問う法体系から、過失については免責してでも、問題点を正確に把握し原子力発電所の安全性を確保する仕組みを取り入れることのできる法体系に移行することもあげられます。個人の責任追及より、不断の安全性の向上を促す仕組みの構築が、重要ではないでしょうか。この点、国に、対応を求めていきたいと思います。
 多様な意見を取り入れ、透明性を確保していくことも重要です。県の技術委員会および小委員会については、議論を継続するよう要請し、県民の皆様の不安に応えて行きたいと思います。
 技術委員会から柏崎・刈羽原子力発電所7号機の安全性について、先般報告書を受領いたしましたので、先日、私は同発電所を視察してまいりました。
 これらを総合いたしますと、今回基準地震動が引き上げられたことにより、現在の知見で予想しうる最大級の地震を想定した対策がとられたものと理解をいたしました。さらに、耐震性についても、一定の設計値を超えると直ちに崩壊するというものではなく、余裕があるものであることは、中越沖地震でも見られたところとの認識も持ちました。前者と併せて考えれば、耐震性には、十分な冗長性が認められ、おおむね安全性は確保されているとの説明には説得力があると受け止めました。
 以上により、私は、起動試験から営業運転に移行するに際して、技術委員会の審議を経ることなど一定の条件を付した上で、東京電力からの運転再開申し入れに同意をしたいと考えております。

 議員の皆様方におかれましては、以上述べました私の考えをご理解いただき、中越沖地震からの一日も早い復興にご協力いただけますようお願いを申し上げます。また、併せて原子力発電所の安全性の向上、再生可能エネルギーの確保、地域社会を安定的に発展させることのできる産業構造の構築に向けてご協力をいただけるよう、お願いを申し上げ、私の説明とさせていただきます。

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