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第3回 三条市駒込地区の取組紹介

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0776177 更新日:2025年10月9日更新

若者による将来プランの実践活動!その想いとは?​

1.三条市駒込(こまごみ)地区について​

​ 三条市駒込地区は三条市下田地域に属するとともに、見附市に隣接し、山に囲まれながらも比較的市街地に近い地区です。

 令和4年度からビレッジプランに取り組み、令和5年度に将来プランを策定しました。

 プランでは「安心して農業ができる駒込」「駒込地区の農産物を食べたい、手に入れたい」「行ってみたい、住んでみたい駒込地区」を3つの目指す姿とし、農業だけでなく、移住・定住に向けた取組への着手も計画しています。

 プラン策定と併せて、実践組織「学区のまどぐち」を立ち上げ、将来プランの実践に取り組んでいます。

駒込地区の風景の写真

駒込地区の風景

2.「学区のまどぐち」について​

​ 「学区のまどぐち」は、プラン策定の話し合いメンバー11名で令和6年度に設立されました。若手を中心に、各々自分のペースで楽しみながら活動しています。

 将来プランには、

 ・鳥獣被害対策など農業に関する相談窓口の設置

 ・地域の魅力発信

 ・地域内外との交流促進

 などを掲げ、令和7年度はここ2、3年で出没し始めたイノシシを含む鳥獣被害対策に力を入れて活動しています。

 今回は、「学区のまどぐち」の代表である、蒲澤 正樹(がわざわ まさき)さんにインタビューをしました。

3 若手主体の将来プラン実践に対する想いを聞いてみました

 駒込地区の未来について熱い考えをお持ちの蒲澤さん。そんな蒲澤さんに、ビレッジプランについて伺ってみました。

学区のまどぐちの代表の蒲澤正樹さんの写真

Q.ビレッジプランに取り組んだ経緯を教えてください

 県から地区あてにビレッジプランの提案が届いた際、私を含む各集落の担い手世代に声がかかり、話し合いが始まりました。

 私自身は駒込地区で生まれ育ち、民間企業に務めながら、父親が経営している「蒲澤農場(がわざわのうじょう)(肉用牛の繁殖)」の手伝いをしています。暮らす中で、嫁いできてくれた奥さん、そして子供たちに不便はさせたくないと考え、地区の力があるうちに、農地や生活環境の整備に向けたアクションを起こしたい!という想いから、話し合いに参加することを決めました。

将来プラン策定に向けた話し合いの様子

将来プラン策定に向けた話し合いの様子

 

Q.「学区のまどぐち」には多数の若者が参加していると伺いました。地元愛を持つ若者が多くいる背景や理由は何だと思いますか。​

 駒込は旧下田村立長沢小学校駒込分校の小学校区で、ある程度昔からの繋がりがあり、まとまりはありました。ただ、昔は地区外の人を呼び寄せるイベントはなく、閉鎖的なところがありました。

 その中で、30年前に親世代が「しただふるさと祭り」に出店したことがきっかけで外の人との繋がりが生まれ、その中で「そいんどん※」のような取組にも繋がったのかなと思います。出店のきっかけは「駒込の人が祭りに来やすいように」という想いだったと聞いており、「駒込のために何かできないかな?」というマインドが引き継がれているのかも知れません。

 また、子供時代に地域での楽しい思い出があることも1つの理由だと考えています。下田村民運動会は特に思い出に残っていますね。みんなで集まって「あそこの兄ちゃん足速いんだね!」と言うだけで楽しくて。そのような思い出が地元愛に繋がっているのだと思います。

 ※そいんどん
  地区内の古民家を活用した野菜や山菜の直売所。名前の由来は、古民家の元の持ち主の方の屋号から。令和5年度から開設し、令和6年度からは食事の提供も開始。

  「そいんどん」紹介記事(にいがた農業ナビ)

そいんどんの外観の写真

そいんどんの外観

 

Q.子育て世代の方も多いと思いますが、活動は大変ではないのでしょうか。

 みんな顔見知りでお互いの家庭の事情も知っているので、参加が少なくても「出て来られないのは仕方ないよね」という、持ちつ持たれつの関係でやっています。参加を強制してはだめだと思っていて、次出てきてくれた時に情報を共有できれば良いと思っています。

 全員集まっての活動は少ないですが、みんな「駒込を良くするんだっけ、うちらでやれることやろうじゃねっか」と、やらされ感はないですね。

 

Q.地区の人達は「学区のまどぐち」に対してどのように考えていられますか​

 応援してくれています。地区の人達とは、軽トラが通ったら手を挙げてお互いあいさつするような、年上の人でも下の名前で呼ぶような関係で、そういった雰囲気が地域全体にあると感じています。もしかしたら、その関係性の中で「あいつらがしてるんだったら良いこってや」と思ってくれているのかも知れません。

幅広い年代が一緒に活動することも(朝カフェ) 朝カフェの様子

幅広い世代が協力して行う取組も(朝カフェの様子)

 

Q.地域全体の取り組みとするために、心掛けていることはありますか​

「駒込を良くしたい!」という目的がまず大前提としてあり、ビレッジプランはあくまで手段。農業に関わる人だけでなく、関わらない人にもこの目的に共感してもらうことで、本当の理解を得られると思っています。

また、「学区のまどぐち」だけの活動とせず、例えば鳥獣被害対策では、全住民を対象とした鳥獣対策研修会や報告会を開催したり、回覧板で情報共有をしたりと、集落全員で共通認識を持てるように心掛けています。

 ただ単に相談窓口を設置しただけでは、住民からしたら『やってもらってる』だけになってしまう。鳥獣対策はこんなに大変なんだ、こういう考え方が必要なんだ、といったことを住民全員が理解してこそ、取組の効果が出てくるのだと思います。

第1回駒込地区獣害対策現地研修会の様子 第2回駒込地区獣害対策現地研修会の様子

地区での獣害対策現地研修会の様子

 

.今後取り組みたいことについて構想はありますか

​ まだ個人的な考えですが、駒込に来てくれた人達や、今住んでいる人達が負担なく過ごせるように、自治会活動をスマートにできないかとは考えています。

 一方で、自分自身も役職に就く中で確かに負担は大きいと感じましたが、自治会活動が地域の人たちと知り合う接点だったとも考えています。人と実際に会って、その人となりをお互いに理解したベースがあるからこそ、文章でも伝わるのものだと考えているので、その関係性は大切にしていきたいですね。

4.今後の展望について​

 まずは喫緊の問題である鳥獣被害に対し、地域全体で「イノシシという共通の敵を何とかしないと」という「目的」を共有した上で、様々な手段を検討し、対策を進めていきたいとのことです。

 「外部の人から『駒込はすごいことをやってるみたいだね』と聞かれたときに、住民全員が地域の取組を答えられるような、そんな地域になったら嬉しいですね」

 とおっしゃられていた蒲澤さん。

 これからも仲間・地域と一緒に、将来プラン実践を進めていかれるとのことです。

ドローンによるイノシシ生育調査

ドローンによるイノシシ生息調査の実証にも着手

5.インタビューを終えて

蒲澤さんへのインタビューを通じ、

・「ないもの」ではなく「あるもの」に目を向けることが大切

・「目的」を共有することで、地域全体の共通認識となる

・顔の見える関係性があってこそ信頼が生まれる

・一方で、勤めもあり多忙な若手の負担を少なくする仕組みも必要

ということをこちらが学ばせていただき、地域づくりに対するお考えはすでにベテランの域に達しておられると感じました。

 また、「学区のまどぐち」の皆さんが主体的に活動されている背景には、子供の頃の楽しかった地域での思い出があること併せて、親世代は見守る、子世代は取組を親世代と共有する、双方がお互いを尊重して活動していることがポイントとなっていると感じられました。

 

 今回は、地域の若手で将来プラン実践に取り組まれている、駒込地区のご紹介でした。県といたしましても、駒込地区の将来プランの目標達成に向けて、引き続き関係機関と連携し、サポートしていきます。

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