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【長岡】長岡地域災害時食のセーフティネット検討会を開催しました

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0053257 更新日:2015年7月2日更新

 新潟県長岡地域は、2004年の「7.13水害」や「新潟県中越大震災」の被災地域であり、その後もいくつかの自然災害を経験していることから、食を通じた産学官連携により減災対策を推進し、災害食の普及・定着化を図ることを目的に平成25年度から継続的に検討会を開催しています。
 平成27年度の検討会は7月2日(木曜日)午後2時から長岡地域振興局大会議室において開催しました。

  • アドバイザー
     ホリカフーズ株式会社取締役経営戦略室長
     日本災害食学会副会長 別府 茂氏
  • 出席団体(順不同)
     一般社団法人長岡市医師会、一般社団法人長岡歯科医師会、公益社団法人新潟県栄養士会長岡支部、食生活改善推進委員協議会長岡地区連絡会、長岡地域介護支援専門員協議会、公益社団法人中越防災安全推進機構、中越市民防災安全士会、新潟県中越食品衛生協会、有限会社エコ・ライス新潟、アクシアルリテイリング株式会社、ホリカフーズ株式会社、株式会社タケショー
    長岡市危機管理防災本部、長岡市教育委員会学校教育課、小千谷市危機管理課・保健福祉課(健康センター)、小千谷市教育委員会学校教育課、見附市企画調整課・健康福祉課、見附市教育委員会学校教育課、出雲崎町総務課・保健福祉課、出雲崎町教育委員会教育課

1 開会挨拶

開会挨拶の画像

 当部の片桐部長が開会にあたり挨拶しました。
「当長岡健康福祉環境部においては、平成25年度より本検討会を立ち上げ、行政機関をはじめ、保健医療福祉団体、防災関連・住民組織並びに食品関連事業者の皆様方からお集まりいただき、大規模災害を生き抜く、被災生活を乗り切るための方策として、食の面からの減災対策を継続して検討しております。
 昨年度は、「7.13水害」や「新潟県中越大震災」から10年を機に「にいがた災害食グランプリ」の開催及び「にいがた災害食レシピ」の発刊と皆様のご協力のもとに進めさせていただきました。本日は自治体と企業の取組として、要配慮者用食品の備蓄についてご報告をいただくと共に関係団体の取組をお聞かせいただきながら、今後ご列席の皆様方と災害食の普及・定着化に向けた取組についてご意見をお聞きしながら進めて参りたいと考えております。」

2 取組報告と意見交換

取組報告と意見交換の画像1

長岡市職員及び(有)エコ・ライス新潟の豊永マネージャー長岡市危機管理防災本部から、災害時の物資の備蓄に関する取組報告がありました。
「長岡市では、自助・共助・公助の観点から家庭や自主防災会での備蓄を進めており、今年度から要配慮者(要介護者、透析患者、食物アレルギー患者など)の災害食の備蓄に対するニーズの高まりから、3か年計画で避難行動要支援者や透析患者、未就学児等を対象に食料及び飲料水の備蓄を開始する。現在は調達計画を策定している。また、地元企業と連携してアレルギー対応食品の開発を行い、保育園に配布するなどの取組も行っている。防災教育についても、災害時の食の観点からサバイバイルクッキングなどを取り入れてきている。今後は防災キャンプなどの体験型の防災学習や防災コンテンツの作成などの取組を進めていく。」
 企業の立場から、有限会社エコ・ライス新潟の豊永マネジャーから報告がありました。
「南魚沼市の防災教育を担当。市内小中学生5,400名が給食で非常食を試食。小中学生には中越大震災の記憶がないため、石巻市の漁師のお話を聞いて、経験を共有した。学校教育に取り入れることで、家庭に普及しやすい。
 長岡市では表町小学校で食の面からの防災教育を行っている。また、機能性食品の会でアレルギー対応食品の開発を行っているが、市場規模が広がり、価格・流通コストが下がることで、災害食が地元の地域産業として発展、地域の産業として広がり防災につながる。今後も次世代に広げていきたい。」

取組報告と意見交換の画像2

 前段の発表を受け、各団体から災害食に関する取組報告をしてもらいました。
 長岡地域介護支援専門員協議会の渡邊会長からは「高齢者の介護の面からの意見として、普段制限食を食べている人も災害時にそれを守れないために、悪化してしまう場合がある。普段から災害食の考え方を理解して、実践できるようになるとよい」と意見がありました。
 公益社団法人中越防災安全推進機構地域防災力センターの関谷チーフコーディネーターからは「機構が行っている防災教育プログラムとして、中学生対象の食料備蓄に関するワークショップや中学生を含む地域住民を対象としたパッククッキングの実演試食、市民対象の炊き出し訓練なども行っている。」との報告がありました。
 また、中越市民防災安全士会の岸会長からは安全士会が行っている「防災よろず相談」の紹介がありました。
「自主防災会の活動が住民からの理解が得にくい。そのような悩みに対して大規模な避難訓練だけでなく、地域の身近な防災について考えてもらう内容を提案している。災害食についてもその中で紹介し、備蓄を進めている。」
 食生活改善推進委員協議会長岡地区連絡会の大渕会長、栄養士会長岡支部の陣内副支部長からは、それぞれ当部実施の「食のふしぎはっけん・おやこジャングル!」や「にいがた災害食グランプリ」に協力いただき、それぞれの組織で調理の技術や体験することの楽しさ・重要性を伝えていただきました。

3 講義「日本災害食 学会認証規格とは」

講義「日本災害食 学会認証規格とは」の画像

 日本災害食学会副会長であり本検討会のアドバイザーである、別府茂先生より講義をしていただきました。
「これまでの非常食と災害食の違いは、何のために誰のために役立つのかを整理したものであり、学会認証規格はこれを明確にしたものである。現在5社の商品が審査を終了している。
その必要性は、非常食として専用に備蓄して廃棄されるといった経済的な損失を減らしていきたいとの発想から生まれている。これまでの災害に関する研究は、命が助かるところまであり、被災計画や被災生活学を研究している人は数少ない。「にいがた災害食グランプリ」のような調理の工夫、お湯を沸かせることで調理の幅が広がり、日常の食事が持続できることをもっと広めていくことが重要である。
 現在は食の外部化が進み、家庭での調理が少なくなってきており、中食、外食の利用が多くなってきている。
 災害時は流通が停止し、食品の入手が困難になる。昔は買い置きがあり炭や薪で調理できたが、現在は厳しい状況である。従って中食、外食の事業継続も共に考えていかなければならない」
と今後実施予定の「食の事業継続セミナー実践編」についてもご意見をいただきました。

4 事業提案と意見交換

左から)(株タケショー、アクシアルリテイリング)(株、中越食品衛生協会の皆さんの画像
左から)(株タケショー、アクシアルリテイリング)(株、中越食品衛生協会の皆さん

当部の事業提案に対し各団体からご意見をいただきました。

  • 要配慮用食品の宅配を行っているが、災害時は宅配便が止まってしまう。どうしても必要な方には自社便で届けたが、発注から1週間かかる。100名にアンケートを行って最初の2,3日食事ができない方が7割。もっと商品に対する認知度を上げる必要がある。
  • お客様の普段使いを用意するのが基本コンセプト。備蓄は店舗にあるものだけで倉庫にはない。被災地以外からもってくる協力体制。普段を持続する取組を進めている。
  • 東日本大震災ほどの大規模災害であれば、家庭の備蓄だけではすまない。食中毒を出さないようノウハウを活用して、支援していきたい。
  • 「にいがた災害食レシピ」のアレルギー対応食部門のレシピについて要件表示があるとわかりやすい。

最後に各市町及び保健医療福祉団体より現状報告とご意見をいただきまとめとしましたの画像

最後に各市町及び保健医療福祉団体より現状報告とご意見をいただきまとめとしました。

  • 市としては非常食としてアルファ米10,000食、缶詰5,000食と備蓄しており災害協定も結んでいる。要配慮者の食品備蓄はしていない。県が示している備蓄負担割合に基づいて備蓄を進めている。
  • 今年度は6月14日に防災訓練を行い、42,000人の人口のうち、15,000人が参加。自主防災組織率は8割。ポリ袋での米の炊き方はぜひ伝えていきたい。
  • 以前より要配慮者用食品の備蓄は進めているが、備蓄品が変わってきている。さらに要配慮者への支援が必要。
  • 10年前も東日本大震災でも、救護班の医師に対していろいろな意見をもらったが、対応ができなかった。その反省を踏まえて、災害食への取組につながってきていると評価できる。

 一方、個別のオーダーに対する流通の対応、実際に東日本大震災時福島への救援物資を10tトラックで運びたかったが、実現できなかった。輸送、燃料の関係なども併せて、引き続き今後の課題としてとらえていく必要がある。

事業提案と意見交換の画像

 以上の意見を踏まえ、長岡地域振興局では今年度「にいがた災害食レシピ」を活用した更なる災害食の普及・定着化を進めると共に、「災害支援活動学生シンポジウム」PART2(仮称)(9月26日予定)、「食の事業継続セミナー実践編」(12月4日予定)をそれぞれ開催します。

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