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障害者芸術文化祭の文芸作品です。

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0059589 更新日:2019年3月29日更新

文芸作品は、短歌48作品、俳句71作品、川柳49作品、自由詩47作品もの応募がありました。
いずれも、作者の皆さんの思いが込められたしばらしい作品ばかりです。
入賞作品は下記を御覧ください。

短歌部門

県知事賞

  • 作者 上林 洋子
  • 作品
    吾(あ)のコート 脱ぐ前にまず 盲導犬の 頭拭きやる 山茶花(さざん か)梅雨(つゆ)の
  • 審査員コメント
    思いやり、自分のことよりも、まず盲導犬 それがひいては直にひびい
    てくる。犬もそのことは忘れまい、実直な詠みにこころ温まり、せつなく
    読者の胸を打つ。

審査員特別賞

  • 作者 石塚 幹大
  • 作品
    素麺(そうめん)の 冷たさ思ふ 夏の雨 佐渡の魚も 打たれたるかな
  • 審査員コメント
    魚を賞味する歌は多いが、これは一足も二足も違う。夏冷たい素麺の
    美味さに、雨が降ったなら魚たち涼しく打たれるに違いない。と心理を
    巧みに用いて意表をつく。佐渡は故郷か、偲んで詠んでいるが明るくて
    よい。

俳句部門

県知事賞

  • 作者 小林 恒雄
  • 作品
    手びかれて ふわり手のひら 八重桜
  • 審査員コメント
    「手びかれて」とあるから目がご不自由なのであろう。
    手を引いて一緒に歩いて下さる方の手を「ふわり手のひら」と感覚だけで
    言い切った。この切れが俳句の大事なところです。
    そして折から桜の季節、その柔らかい手の感触を通して、一重の桜ではなく、
    ふと八重桜を思い浮かべた。「ふわり」から「八重桜」へ思い至った作者の
    素晴らしい感性の句です。

審査員特別賞

  • 作者 佐野 和太留
  • 作品
    雪吊の 連なる町と なりにけり
  • 審査員コメント
    この句を読むと、初めは普通の文章のように思えるが、最後の「けり」で
    一転俳句となる。「けり」は余情を表し、作者の気持ちが込められます(「け
    り」は俳句では切れ字と言います)。今年も、それぞれの家の“雪吊が連なる
    町となったなあ„と作者の感動が表現できた俳句らしい句です。

川柳部門

県知事賞

  • 作者 梨本 勝夫
  • 作品
    さっと席 立ってくれたる 日焼の子
  • 審査員コメント
    最近バスとか電車も老人又は弱い体の人に席を譲(ゆず)る姿をよく見かける。
    私がこの句に引かれたのは下五の「日焼の子」である健康の子供が、日焼
    けした顔で無言でさっと席を譲(ゆず)っている姿が目に見える。

審査員特別賞

  • 作者 金井 和子
  • 作品
    難病と 出会って人の 強さ知る
  • 審査員コメント
    実に自然に表現している。飾りは全く無く「人の強さ」を感じとった
    実感が伝わってくる。真の「人の強さ」に心打たれた時の心情が伝わっ
    てくる作品。それを川柳で表現してくださってありがとう。

自由詩

県知事賞

  • 作者 本間 テル
  • 題名 朝顔の妖精
  • 作品
    私は広橋サキが私の花開くの楽しみにして居た朝顔の妖精です
    私に変りサキに話しかけて下さいサキさんどうして居ますか
    百才六ヶ月でボケもせず苦しみもなく笑顔で旅立たれました
    さきさんが楽しみにして居られた朝顔が今日も咲きましたよ
    その朝顔の子供が本葉をつけ始めました蔓(つる)も出ずこうゆう朝顔もあるのねと言って花の咲くのを
    楽しみにして居ます金曜日サキさんも習ってた篭編の先生も元気です
    サキさんも知って居られる方は猫ちゃんを入れんだと
    言って大きな篭を作りましたよサキさんが押して居られたのと
    同じような車でヨシイさんと言ふ方で来年三月になると
    百才になられる方が食堂へ出て来られますよ
    入舟の施設はいいわね職員の方達は皆やさしいし感謝して居ます
    書道池花リハビリ体操何でもがんばってやろうと思ひます
    此の辺で切りあげましょう妖精も子供をきっと咲せます
    その時又サキさんに便りする事にしましょう
    ヨシイさんにも折紙折ってあげましょうね
  • 審査員コメント
    本間テルさんの「朝顔の妖精」は、百才六ヶ月で亡くなられ、親しくし
    ていた広橋サキさんの思い出と介護施設で近しく暮らす人たちとの日々を
    つづった詩です。「朝顔の妖精」に姿を借りた本間テルさんは、同じ境遇
    にある人たちへのいたわりと優しさの化身です。詩の一行一行に人生を長
    く生きてきた者の誇りが深く刻まれています。一日一日の語らいの喜びが、
    花開いた朝顔のように美しく心をうちます。本間テルさんの笑顔が朝顔の
    花にかさなります。

審査員特別賞

  • 作者 おとめ座Boy
  • 題名 僕の部屋
  • 作品
    僕の部屋は、さみしい
    勉強机、本棚、ベッド
    部屋では、勉強している
    僕はこのさみしい部屋が好きだ
    ある日、部屋が突然舞い踊りだす
    プリントや教科書、家の本……
    何故舞い踊りだしたのだろう
    部屋をそうじした
    また、さみしい部屋に戻った
    僕はとても満足している
    もう舞い踊りだすことはないだろう
    心が落ちついた
    しばらくすると
    さみしい部屋が
    また舞い踊り出す
    そしてまだ今日も舞っている
  • 審査員コメント
    作者は不自由な身体を自分の思い通りに動かしてみたいという衝動を心
    のどこかに抱えています。さみしいが大好きな一人居る自分の部屋が、
    「舞い踊りだす」状景は、作者のそうした夢の実現でしょう。「僕の部屋」
    は、詩としてとても勝れた作品です。「僕の部屋は、さみしい」で始まる
    四連の構成を持っています。そして漢詩で言われる「起承転結」という
    方法を見事に表現しています。不自由を受け入れながらも自由を想像し、
    心の静安を得ようとする作者の克己心の強さがひかる詩です。
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