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労働契約に関するQ&A
労働契約に関する相談事例をQ&A形式で解説しています。
労働契約1(パートタイム労働者)
Q.従来からアルバイトを採用する際には、応募者と面談を行い、条件が折り合えば、契約書等を作成せず雇用してきました。特にトラブルも起こったことがないので、今までどおりの対応としたいと考えているのですが。
通常の労働者との比較で週所定労働時間が短い労働者は「パートタイム労働者」
- パートタイム労働法では、週所定労働時間が、同一事業所で雇用されている通常の労働者と比べて短い場合、短時間労働者【パートタイム労働者】とする旨を規定しています(パート法第2条)。
- パートタイマーやアルバイト、臨時社員、準社員など様々な名称が使われていますが、名称に関係なく、週所定労働時間が短い労働者はすべてパートタイム労働者となります。
労働者を雇用する場合、文書で労働条件を提示してください。
- 労働基準法では、パートタイム労働者を含めて、労働者を雇用する際、賃金や労働時間等の労働条件を書面で明らかにしなければなりません(労基法第15条)。
- 改正パートタイム労働法ではこれらに加え、「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」の3つの事項について、労働者へ書面により提示しなければなりません(パート法第6条)。
- 書面による労働条件の提示は、パートタイム労働者が希望した場合には、電子メールやファックスで対応することもできますが、後々のトラブルを避けるためにも確かに受け取ったかどうか確認して下さい。
労働契約2(派遣労働者)
Q.私は、派遣社員として某会社に派遣されましたが、仕事内容が聞いていた内容と違うので困惑しています。このまま派遣先の指示に従わなければならないのでしょうか?
まず「就業条件明示書」を確認して下さい
- 仕事内容や賃金額を口頭で決めてしまうことは後々の労使間トラブルにつながりかねないため、労基法では雇用主が賃金や労働時間等の労働条件を書面で明示することが義務付けられています。
- 派遣労働者の場合も「労働者派遣法」において派遣元企業が派遣労働者に対し就業開始以前に派遣先企業の就業条件を書面【就業条件明示書】で明らかにしなければならない旨が規定されています(労働者派遣法第34条、派遣元指針第2の6)。
- この書面内容を確認し、仮に就業条件明示書で記載されている内容以外の仕事を命じられた場合、
労働者派遣法違反となりますので、これに従う必要はありません。
更にこうした場合は
Q1.今の職場で何とか仕事を続けたいが。派遣元から聞いていた仕事内容のとおりにはならないのでしょうか。
A1.派遣元を通じ、派遣先に契約を遵守するよう申し入れてもらうこともできるので、派遣元窓口に相談してはいかがでしょうか。
Q2.聞いていた仕事と違うので、派遣先を辞めたいと思いますが。
A2.「就業条件明示書」を改めて確認のうえ、契約内容と実際の労働条件が違う場合、退職を申し出る正当な理由があると考えられますが、事前に派遣元責任者に事情をよく説明することが大切です。
派遣労働者の就業条件確保に向けて
労働者派遣法では、派遣労働者の適正な就業環境の確保のため、派遣先・派遣元とも適切な措置を講じることが規定されています。
- 派遣元事業主は、派遣先への定期的な巡回等を通じ、就業条件が契約内容に違反していないことを確認してください。
- 派遣先事業主は、労働者の業務遂行を指揮命令する職務上の地位にある者へ書面を交付する等、就業条件の周知を徹底して下さい。