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【佐渡】島民クローズアップ・インタビュー(テーマ:“育む(はぐくむ)”)vol.41

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0056523 更新日:2019年3月29日更新

 島内で頑張っている人を紹介する「島民クローズアップ・インタビュ-」をお届けしています。
 佐渡地域振興局の各所属や事務所が「育む(はぐくむ)」というテーマをもとにふさわしい方を訪ね、インタビューを実施します。


甲斐孝さん 中島さん
業務課 甲斐 孝さん(写真左)、中島 臣さん(写真右)

 41回目となる今回は、魚市場(佐渡地方水産物卸売市場)業務課の甲斐 孝(かい たかし)課長と中島 臣(なかじま じん)さんを訪問しました。
 甲斐 孝さんは、せり人として約30年携わってこられた方で、中島 臣さんは昨年4月に就職して2年目の10代の若者です。
 豊かな海の幸に恵まれた佐渡に暮らしていると、普段から漁業者や漁協職員の方々の姿を目にすることはありますが、魚市場のせり人の方々を目にする機会はあまりないと思います。

Q1 甲斐課長にお聞きします。魚市場に勤務することになったきっかけを教えてください。

 今はない両津高校水産製造科を卒業した年の、昭和55年4月に就職しました。
 まだ就職先が決まっていなかったときに、漁業をしている母方の叔父から、魚市場で職員募集をしていると、たまたま教えてもらったので、軽い気持ちで応募したことがきっかけです。

Q2 最初からせり人になることを目指していたのですか。また、せり人になるためには何か資格が必要となりますか?

せりの様子の画像
せりの様子

 初めはどんな仕事があるのかも分からなかったので、せり人を目指すとかの気持ちはありませんでした。

 新人は、販売担当から始め、魚箱の供給担当、1年ほどで記帳担当になり、1箱2箱と少しずつせりを経験していきます。
 1時間のせりを任せられるようになるまでには3~5年の経験を積み重ねます。

 せり人になるためには資格試験等はありませんが、自分の父親と同じ様な年代の人ともやり合う訳ですから「声が大きい、物怖じしない、滑舌がいい」といった資質が必要とされます。
 ですから、せり人には持って生まれたもので向き不向きが出てくるんですよね。

Q3 せりは仲買人の指使い(手やり)を見て落札金額を決めていくイメージがありますが、実際はどんなふうにやられているのですか。

 築地市場などの映像を見ての印象かと思いますが、佐渡では「声」のみを使い、「せり上げ」というやり方をとっています。

 具体的にいうと、値段を言いあいながらせり上げていき、仲買人からの「はい」という声が出なくなったところで、まずその止まりの値段を3回呼び上げ、その間に他の仲買人から声が出てこなければ、その値段でせり落とす=終了ということになります。

 せりにかける数も多く鮮度保持の関係もありますので、スピード重視でどんどん進めていきます。仲買人もスピードについてこないと欲しいものが落とせなくなります。 なかには、どうしても欲しいと思った仲買人の高値での一声により、一発で決定という場合もあります。

Q4 せり人の方々はせりの他にどのような仕事をされるのですか。

 基本的に出勤は朝6時ですが、6~8月は日の出時刻や気温の上昇しやすい時期の関係から30分早い出勤となり、せりも6時30分から開始しています。

 せりの前には、値付けするための情報収集と荷下ろし作業をしています。
 値付けは、前日の売値を参考に当日の漁模様により判断します。今の時期のようにマグロなどの大物については、築地市場の当日の相場が7~8時頃公表されるのでインターネットで調べてから、せりを開始しています。

 荷下ろし作業は、前日保冷庫に保管しておいた魚と、当日次々と運ばれてきた魚を並べる作業です。せりにかけやすいように種類、大きさ、量などを考慮して並べているので大変な作業となります。

 せりが終わってからはすぐに伝票整理をやります。組合等から送られてきた伝票の魚種や数量などを確認したあと値段を記入し、組合等へ売値をFax送信しています。少しでも早く漁師さんは売値を知りたいでしょうから。
 その他に男性職員が1人でパソコンへの入力作業をしていますが、以前の魚市場では、せり人が7~8人、他に女性事務職員が3人加わって、全て手書きで処理していました。
 それと、せりの間はICレコーダーを手にして記録を取っていて、伝票処理に誤りが出ないようにしています。

ブリ
せりに向けて並べられた魚

佐渡魚市場市況
佐渡魚市場市況も作っています

Q5 魚市場で働き始めた頃に上司・先輩から言われた言葉で、強く印象に残ったものはありますか。

 実は 、せりに関してアドバイスなんて受けたことはほとんどないんです。
 ただ一つあったのは『せり人は公平でなければならない』という言葉です。
 100箱買ってくれる大手でも1箱買いの小さい魚屋でも、早く声を出した人に落としなさい、みんな平等に扱いなさいという教えを常に意識して取り組んでいます。

Q6 昨年から新人として業務課に中島さんが加わりました。中島さんに教えていきたいこと、期待していることをそれぞれ聞かせてください。

 せり人代々の教えのとおり、「公平にすること」が大事だと教えたいです。
 また、佐渡島内全ての漁協が協同で運営している魚市場なので、漁師さんの立場に立った「せり」をしてほしいと思います。
 せりは、自分で見て盗んで覚えていくしかないので、地道にやるべきことをやって向上心を持って取り組んでいってほしいと思います。
 自分もいきなり初めてのせりを「やってみい。」と任されたときは、頭の中が真っ白になってしまいました。
 こういうことは教えられて何とかなるものじゃあないんです。

アジ マダイ ブリの画像
手前から アジ、マダイ、ブリ

Q7 今度は中島さんにお聞きします。魚市場に勤めることになったきっかけを教えてください。

 父が漁業に携わっていたこともあり、水産関係の仕事に興味を持っていました。
 高校3年の5月頃に、魚市場の職員募集があり応募しました。在学中にもせりの見学などをして、ここで働きたいと思っていました。

Q8 現在どのような業務を担当していますか。また、将来に向けてどのような目標を持っていますか。

 「荷下ろし」の他、半年前から「書記」をしています。
 書記とは、せり人に付いて値段などを記帳していく訳ですが、初めのころはミスも多く進行の早さについていくのに必死で、後で見返したら読めない字があったりしました。
 将来の目標は、やはり「せり人」になることです。これから沢山経験を積み、5年後くらいにはせり人になりたいと思っています。

書記
記帳の様子

伝票整理の画像
伝票整理の様子

Q9 最後に、このインタビューを見てくださっている方にメッセージをお願いします。

 佐渡では、特に秋から冬の魚がおすすめですが、年間を通しておいしい魚が獲れます。
 海に囲まれていることが良い面でもあり悪い面でもあると思いますが、新鮮で良い魚を安く食べることができますので、機会がありましたら、ぜひご堪能いただきたいと思います。

マグロの画像
せりを待つマグロ


インタビュアーから
 日常でせりを見る機会やせりについてお聞きする機会はなかなかありません。
 インタビューを通して、せり人になることの厳しさや大変さが伝わってきて、職人気質の世界なんだということを実感しました。
 「せり人は公平でなければならない」
 この言葉が連綿と受け継がれていくんだなと、大変印象に残った取材でした。

佐渡農林水産振興部(水産) 若林
佐渡水産技術センター 佐藤


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