ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ

本文

教育下越377号

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0634050 更新日:2024年1月11日更新

教育下越377号

「未来へのたすき」 所長 小野裕子

 1 月 1 日、能登半島沖を震源とする大きな地震がありました。管理職をはじめとする職員の皆様からは、自然の驚異や危険から子どもたちの生命、健康を守るために、迅速に対応していただき、感謝申し上げます。

 2日、新春の風物詩、箱根駅伝では今年も激闘が繰り広げられ、選手がたすきをつなぐ姿からは、昇龍のように力強い躍動感とともにたくさんの感動をもらいました。さて、ここ数年で就職活動が大きく変化しています。体験型の就職活動が主流になり、インターンシップの重要性が高まってきています。 教育実習が教員の職務の一部を実践することと考えると、これもインターンシップととらえることができそうです。

 学習指導、生徒指導、保護者対応など、全てに適切な対応をしなければならない日々の緊張感の中、実習生の受け入れは容易なことではありません。実際、実習生の授業や子どもたちへの接し方には、支援しなければならないことがたくさんあります。しかし一方で、指導担当者は、実習生の姿を鏡とし、第三者的な視点で自分の実践を振り返ることができます。子どもたちと実習生の初々しいやり取りで進む授業を見ながら、「いつの間にか『近道』を優先し、『回り道』や『寄り道』を避けて自分の指導のしやすさに子どもたちを合わせる傾向が強くなっていたのではないか」「初めて教壇に立った時の緊 張感を忘れ、柔軟さを失っているのではないか」 と。そして、実習で学んでいるのはむしろ自分の方であると省察していることに気付きます。

 実習生や初任者への指導の機会は、教師の出発点に立つ世代の意欲や情熱を「これから」の教育実践へ「つなぐ」瞬間であると同時に、私たちにとっても、立ち止まり、教育実践の本質をとらえ直す機会となります。自分の「今」を メンテナンスし、ブラッシュアップさせることは、目の前に現れた新しい学びの景色の中で、 学び続ける教師であり続けるチャンスであると感じています。

 先日、ある中学校の授業を参観する機会がありました。校長として勤務した小学校の子どもたちが進学した中学校です。主体的に学ぶ「子どもまんなか」の授業と、子どもの思いや学びにしなやかに寄り添う教師の姿勢に、温かな気持ちになりました。そして、学び合う子どもたちの表情や声から、小学校在学中の好奇心に目を輝かせる表情やその隣にあった保護者の支えなどが、一気に蘇りました。この5年間、子どもたちの周りには、心に寄り添い、かかわり、ともに歩む多くの大人の存在があったのだと確信しました。大人たちの大きなわ(和・話・輪) の中で、今の姿へと成長してきたのだろうと胸 が熱くなりました。

 子どもたちの小さな変化や前進を、支える側の大人同士が認め合うことは、子どもたちだけ ではなく、我々大人をも幸せな気持ちにします。子どもを「まんなか」に置き「つながる」こと が我々のエネルギーとなります。学校現場の豊かさとは、子どもの成長に喜びが満ち溢れてい るということなのではないでしょうか。

 「青は藍より出でて藍より青し」。若い世代が 伸び行く姿を見て、これまでの世代がそれを自らの名誉とする‥ということを意味するそうです。学びと活動が生まれる学校の強さは、「つなぎ」にあるのかもしれません。教職員の世代が二極化しているとはいえ、次代をつくるのは、 まさに「人」。子どもと教職員が育つ風景の中で は、子どもにとっても教職員にとっても「やっ てみたい」がスタートライン。学校とは、子どもと大人が光り輝きながら相互に行き交う場であり、時代を生き抜く力強い生命力に満ち溢れている場であるはずです。

 田んぼに降り立つ白鳥を眺め、凍てついた道 路をまっすぐに進む子どもたちの姿が風景に溶け込みます。その姿を温かく見守りながら、未来へのたすきがつながっていくことを願い、春を待ちます。皆様、本年もどうぞよろしくお願 いいたします。

教科教育専門監事業

1 令和5年度教科教育専門監事業について

 教科教育専門監事業の実施により、令和5年4月より全県で10人の教科教育専門監が該当市町村に配置されました。下越管内では4人の教科教育専門監が配置されました。勤務校にいながら、地域の教科教育の発展のために研修会を開く等、様々な形で各学校や先生方の教科指導をサポートしています。

〈教科教育専門監の業務〉

(1) 訪問校及び所属校の教員への指導

(2) 訪問校及び所属校の教員に対する示範授業による具体的な指導・助言

(3) 訪問校及び所属校の教員の授業でのテ ィーム・ティーチング等による児童生徒への直接支援

(4) 授業力向上研修会の開催

(5) (1)~(4)に係る資料の作成・事務処理等

(6) 対象エリア及び全県的な学力向上に寄与する業務

 

2 令和6年度教科教育専門監事業について

1月下旬…新規に業務に当たる教科教育専門監所属校及び専門監所属校を所管する市町村教育委員会向けオンライン説明会(義務教育課)

3月下旬…市町村教育委員会及び全学校に令和6年度教科教育専門監名簿等を発出(義務教育課)

4月上旬…教科教育専門監の訪問校対象エリア市町村教育委員会にチラシを発出(義務教育課)、各校にチラシを発出(市町村教育委員会)

4月上旬…各学校等からの依頼受付(下越教育事務所、市町村教育委員会)

5月下旬…訪問校受付一次締め切り。※年度途中でも新規受付可能。

県教育委員会では、令和8年度までに、全県に48人の「教科教育専門監」を配置する予定です。

 

管内生徒指導状況

 今年度11月までの、管内における非行事故報告件数は109件で、昨年同時期に比べて16件増加しています。

「自殺企図・自傷行為」が依然として多く、44件報告されています。養護教諭や担任が腕にある絆創膏に気付く、児童生徒から悩みを打ち明けるなど、児童生徒の気持ちに寄り添いながら話を聴く中で分かったケースが多くありました。引き続き、アンケート調査や教育相談の場を生かし、悩みや困難などを抱えている児童生徒を早期に発見し、全教職員で支える校内体制の推進をお願いします。

 「いじめ」は、12件報告されています。その多くは、いじめ認知後、迅速に校内いじめ対策会議を開催し組織的な対応により解決に至っています。しかし一方で、保護者や児童生徒からの「新潟県の相談窓口」への相談数が増加しています。児童生徒や保護者が、学校のいじめ対応に納得せず、つらい思いのまま長期間過ごしていることの現れと捉えています。そのため、

〇教員の一方的な決め付けや思い込みをせず、児童生徒に寄り添った態度で話を聴く

〇保護者には児童生徒から聴き取った言葉を伝えながら事実の説明をし、保護者の思いや願いも丁寧に聴く

〇長期間にわたる対応の場合は、確実に経過報告をし、被害者を第一に考えた対応策に理解を求める

など、丁寧で誠意ある対応をお願いします。

※地震等による心身の不調が見受けられる児童生徒はいませんか。児童生徒が心の安定を図り、充実した学校生活を過ごせるようSswをご活用ください。ニーズや心配事について適切な支援が受けられるようサポートします。

教育下越377号 [PDFファイル/454KB]

Adobe Reader<外部リンク>

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe社が提供するAdobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。(無料)

<外部リンク> 県公式SNS一覧へ