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【柏崎】ユネスコ文化遺産登録へ期待高まる~500年の歴史が織りなす古典芸能「綾子舞」現地公開~

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0284003 更新日:2022年9月26日更新

 初秋を迎え、微かながら秋を感じ始めた9月11日(日曜日)、柏崎市鵜川(うかわ)地区の綾子舞会館の特設舞台で、国指定の重要無形民俗文化財「綾子舞」の現地公開が、新型コロナウイルスの影響による2年連続中止から3年ぶりに開催されました。この日は最高気温が30℃を超える日となりましたが、3年ぶりの公開とあって、暑さをものともせず、観客は優美な演技に魅了されていました。​​

綾子舞現地公開

綾子舞現地公開2

 綾子舞は黒姫山の麓、柏崎市鵜川地区女谷(おなだに)で約500年前から伝承されてきた民俗芸能で、昭和51年には国の重要無形民俗文化財(第1回)にも指定されました。​

 女性が踊る「小歌踊(こうたおどり)」と男性が演じる「囃子舞(はやしまい)」「狂言(きょうげん)」の3種類で構成されており、2つの座元である「下野(しもの)」と「高原田(たかんだ)」が先祖伝来の芸風を守って受け継いでいます。 

 この日は小歌踊6演目と囃子舞2演目、狂言3演目が演じられ、座元ごとに伝承者の養成を目的として設けられている「伝承者養成講座」の受講生の中高生が観客の前で優美な踊りやユーモラスに満ちた踊りを披露しました。

 また、中高生だけでなく、各座元のベテランの大人たちが十数年ぶりの披露となった演目等で中高生を上手にフォローし、若手とベテランが一体となって​演じていました。                             

【舞台清めの舞】祓い舞(はらいまい)〈高原田〉

祓い舞1祓い舞2

 綾子舞現地公開は、舞台を清めることから始まります。この舞台清めの舞は、高原田では「祓い舞」、下野では「三番叟」となっていて、今回の現地公開では高原田が務めました。

【小歌踊】因幡踊(いなばおどり)〈高原田〉

因幡踊1因幡踊2

 因幡踊は因幡の国(現在の鳥取県東部)の殿様について歌っているとされており、徳川美術館に所蔵されている「歌舞伎図巻」の中に「いなばおどり」の場面があり、歌詞も踊りの振りも綾子舞の因幡踊とよく似ていると言われています。​​

【囃子舞】打ったり舞(うったりまい)〈下野〉

打ったり舞1打ったり舞2

 17年ぶりの上演となった打ったり舞は、京都の昔の行事を紹介する数え歌で、現在は1番に正月、2番に三月、3番に七月の行事を歌っていますが、昔は全部で7番まであり、十二月の行事までを歌っていました。

【小歌踊】小原木踊(おはらぎおどり)〈下野〉

小原木踊1小原木踊2

 小原木踊は昔、京都の大原に住む女性を「大原女(おはらめ)」呼んでいて、その大原女が都にいる恋人に会うために薫物(たきもの)を売って歩く様を表現している踊りとされています。

 この小原木踊は、踊り子が登場する時の「さし(出羽)」と呼ばれる部分が他の踊りと違って伴奏のない独吟で始まるところが特徴と言われていて、19種類の扇の手振りが美しい恋の踊りです。

【狂言】閻魔王(えんまおう)〈下野〉

閻魔王1閻魔王2

 2014年以来8年ぶりに演じられた閻魔王は、大蔵流狂言と和泉流狂言にある「朝比奈」に似ていると言われています。

 第一段では、朝比奈(和田義盛の三男、朝比奈義秀。義秀は和田合戦で、最もめざましく奮戦した武将)と閻魔王との地獄極楽の問答から始まり、第二段で閻魔王は朝比奈に和田合戦(和田義盛の反乱)の様子を語らせ、閻魔王と朝比奈の押問答が始まります。そして、朝比奈が極楽へ急ぐところで幕切れとなります。

 朝比奈を地獄へ落そうと閻魔王は責めますが、朝比奈はびくともしません。全く動じない朝比奈とは対照的にコミカルに表現された閻魔王がみられるところに面白さがあります。

【小歌踊】常陸踊(ひたちおどり)〈高原田〉

常陸踊1常陸踊2

 常陸踊は、常陸の国(現在の茨城県)・鹿島神社の正月行事で若い男女が心に想う人の名を帯に書いて神前に供え、禰宜(ねぎ)がこの帯を結んで縁結びをする帯占いが行われた後の酒宴での歌舞がもとになって生まれたと言われています。常陸踊は下野と高原田の両座元に残っていますが、歌にも踊りにも​違いがあります。

【狂言】掏摸(すり)〈高原田〉

掏摸1掏摸2

 2009年以来13年ぶりに上演された掏摸は、ある町に商いにやってきた商人が、すりに腰に差した太刀を奪われてしまい、そこへ役人の木太夫が現れ、「刀の銘を申せ、寸を申せ」と問いただし、太刀裁きをする物語です。

 すりの滑稽な演技が見せどころとなっていて、狂言本の「長光」と同じような内容ですが、綾子舞の「掏摸」は短くなっています。

【狂言】佐渡亡魂(さどぼうこん)〈下野〉

佐渡亡魂1佐渡亡魂2

 商人の義太夫は、妻を残して佐渡へ商いに渡り20年。望郷の念にかられ帰郷を決意しますが、佐渡で知り合った婆がなかなか帰してくれません。

 そこで婆を酔わせ、酒宴にまぎれて逃げるように佐渡を後にしますが、船に乗ったところで婆に追いつかれ、婆を海に放り込みます。必死で逃げ、なんとか故郷に着いた義太夫は、婆の亡魂が乗り移っているとも知らずに道で拾った赤手拭を土産に帰宅します。帰宅した義太夫の身に婆の亡魂が…コミカルな演技の中にホラー要素の加わった物語になっています。

【囃子舞】肴さし舞(さかなさしまい)〈高原田〉

肴さし舞1肴なし舞2

 数え歌に合わせて舞を舞っていると言われており、一日は一つ冷水、三日は三つ密柑、五日は五ついり豆、七日は七つ茄子、十日は十に野老(ところ(ヤマイモによく似た野生植物))の毛を挙げて、その様を調子よく歌っています。

【小歌踊】小切子踊(こきりこおどり)〈高原田〉

小切子踊1小切子踊2

 菅原道真公が大宰府に流された際、都を出発する前夜、都七条坊門の文(あや)という娘が、心を込めて見送るようにと夢の中でお告げを受け、三条大橋のたもとで綾竹(小切子)を持って別れの舞を舞って見送ったのが始まりと言われています。

 他の踊りと扮装が異なり、袴の裾をくくり、天冠(てんがん)をかぶり、扇の代わりの小切子を持って踊ります。

【小歌踊】恋の踊(こいのおどり)〈下野〉

恋の踊1恋の踊2

 恋を成就するための方法を歌っていて、「恋をせば、恋をせば、二十三夜の月を待て」、「新月・三日月は暗すぎる、満月は明るすぎて具合が悪い」、「千夜も通え、百夜もござれ」など、実にあっけらかんとして、歌い上げています。

【小歌踊】田舎下り踊(いなかくだりおどり)〈下野〉​

田舎下り踊1田舎下り踊2

 「田舎下りの道すがら 田舎下りの道すがら 我とそなたは浮雲よ風にまかせていくほどに…」と、男女の道行の叙情的な歌詞を、少女が無心で踊ります。また、中世の小歌の魅力にあふれている節回しも聴きどころになっています。

 公演を終えて、狂言の「掏摸」に出演した中学3年の男子生徒は「コミカルな演技をするので、最初は恥ずかしがったが、3か月前から一生懸命練習したので、今日は自信を持って演じることができた。」と晴れやかな顔で語ってくれ、下野の演目に出演した高校生の女子生徒は「うまく演じられるか不安だったけど、練習してきた成果を全部出し切って、うまく演じることができて良かった。」とほっとした様子でした。

 また、舞台後方で楽器や歌を担当した囃子方の男性は「3年ぶりの現地公開で人前で踊るのに慣れない子どもたちもいたと思うが、最後まで諦めないで上手に踊ってくれて良かった。」と話してくれました。

 3年ぶりの公開ということもあり、約800名にもおよぶ観客で公演は大盛況でした。鑑賞した新潟市のご夫婦は「今回で5回目の観覧となるが、3年ぶりの公開で感慨深かった。最後の『田舎下り踊』は特に胸に響くものがあり、来年の現地公開も今から楽しみだ。」と待ち遠しい様子で語ってくれました。

 現在、綾子舞を含む41件が「風流踊(ふりゅうおどり)」として国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産ヘ提案されています。今回の現地公開は登録に向けて地元の願いが込められた公演であり、観客を含めて登録への期待が高まるものとなりました。綾子舞会館

 綾子舞についての詳しい問い合わせは「伝承の里 綾子舞会館」へ。綾子舞に関する資料・古文書をはじめ、衣装・道具などを保存展示しています。​

【所 在 地】柏崎市大字女谷4529番地

【会館時間】9時30分~16時00分

【休 館 日】水曜日

【電話番号】0257-29-3811

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