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【にいがた鮭プロジェクト】学生が建設企業の魅力を発見!~大陽開発株式会社~
―にいがた鮭プロジェクト―
学生取材レポートについて
建設企業は、道路や河川、砂防等、私たちの生活に欠かせない大切な役割を担っています。
新潟県には地域を支えている建設企業がたくさんあります。
今回、にいがた鮭プロジェクトの学生取材チームの皆さまにご協力いただき、学生の目線で建設企業の魅力について取材いただきました。
第1回目は、上越市浦川原区にある大陽開発株式会社の取材を紹介します。
【―にいがた鮭プロジェクト―企業の魅力発信・学生取材チーム 取材者担当者】
柴山 永呼さん(実践女子大学1年)
桑原 航平さん(新潟大学4年)
【取材会社】
大陽開発株式会社
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大陽開発株式会社について
大陽開発株式会社は上越市浦川原区にある総合建設業で、1968年に創業。地すべり・砂防工事を中心に、道路、橋梁(きょうりょう)、河川、ほ場整備など、さまざまな工事に携わり、地域の安心・安全な暮らしを支えています。
建設会社の使命である災害対応も請け負っていて、直近では2024年1月の能登半島地震発生時、給水車を使って断水している被災地へ水を届ける仕事を請け負いました。また、豪雪地帯に本社を構えているため、冬季は除雪の仕事をメインで行っており、災害級の大雪の際には、応援要請によって除雪が間に合わない地域に出向くこともあります。さらに地域の行事やイベントには積極的に参加しており、まさに地域を支え、地域とともに歩んでいる企業と言えます。
工事現場ルポ
上越市安塚区の土木工事が行われている現場を見学に訪れました。そこで行われていたのは、土砂崩れの道路整備、地すべり対策。この辺りは地すべり地帯だそうで、現場からもその痕跡が数カ所確認できました。従業員の方々は、毎朝現場事務所と呼ばれるところで、1日の流れや分担、作業時に気を付ける点などを確認してから作業に取り組みます。あらかじめ工期は決められていますが、作業は天候に左右され予定通りいかないことも。その場合、作業再開の日に、元請直営体制の強みを生かして、予定より進んでいる現場から自社社員を派遣して予定の日程に間に合うように人員を調整しています。
工事現場には、たくさんの材料や重機が並びます。作業を行うためには資格も必要です。この日、現場では、砂利採取業者から運ばれてきた砂利や砂を使って、土砂崩れで壊れた道路の復旧作業が行われていました。
【上越市安塚区の工事現場(1)】盛土が流れないように長さ15mある鋼管杭を地中に打ち込み、上からブロックをかぶせて壁にしています。
【上越市安塚区の工事現場(2)】 道路断面のイメージです。下のイラストのようになっています。
道路断面のイメージ解説図(※学生取材者の方が図画いたしました!)
この現場では道路の復旧作業と同時に、地すべりの原因となる地下水を排水する「横孔ボーリング工」と、掘削した斜面が崩れてくるのを防ぐ「かご工」と呼ばれる作業をしていました。どちらも地すべり地帯で多く見られる工事だそうです。この日はかご工を施工していて、手作業で細かな仕事を行っていました。
【上越市安塚区の工事現場(3)】かご工の作業の様子
従業員のヘルメットには、名前と血液型はもちろんのこと、技能講習資格、特別教育・安全教育資格など、だれがどの資格をもっているのかを現場ですぐに確認できるようにそれぞれが取得している資格が書かれています。
工事現場には現場事務所(詰所)と呼ばれている仮設の建物が隣接していました。こちらで当日の工事内容の打合せを行ったり、休憩をしたりしているそうです。
【上越市安塚区の工事現場(4)】 現場事務所(詰所)の外観イラスト。(※学生取材者の方が図画いたしました!)
現場事務所(詰所)の室内でお話しを伺っているところ。室内はきれいで快適でした。
「この地域は山が多いので地すべり・砂防工事の仕事が多いんです。地域を支えるインフラ整備を目指しています」と荒木克・代表取締役社長は語ります。山の中に建設された、たくさんの砂防ダムが豪雨による土砂災害の被害を防ぎ、また、現場の皆さんが様々な技術や機械を用いて、災害を未然に防ぐための工事をしているからこそ、私たちの安全な生活は守られています。一方で、この地域には過疎化や人口減少などの社会課題もあり、地域を支える担い手不足が懸念されます。そのため同社では、高校生や大学生、U・Iターン者などの若手を積極的に採用し、担い手育成に力を入れています。
また、地域活性化にも力を入れる同社。毎年運営協力しているスキー場での夏イベントをはじめ、アウトドアサウナイベントの開催など、様々な地域活動を行っています。荒木社長は「この地域で若い人たちが楽しく働き続けられる会社にしたいと思っています。この先も地域に必要とされ続ける会社を目指し、当社の仕事で地域を支え、地域に元気を届けたい」と力を込めました。
上越市安塚区の砂防工事の様子
荒木社長(1番左)から工事現場で多くのお話しを伺うことができました。
社員の方にインタビュー
営業部営業主任の藤田諒さん、経営企画部の澤田佑佳さんにお話しを聞きました。
―藤田さんはUターンと聞きました。Uターンのきっかけと大陽開発株式会社を選んだ理由を教えてください。
藤田さん:神奈川県の会社で営業として働いていましたが、なんとなく「そろそろ地元に帰りたいなあ」と思い、昨年、戻ってきました。求人サイトを見ていたら大陽開発株式会社が営業職を募集していました。何度か会社の前を通ったことがあったので「あそこの会社だ!」と思い、この会社に決めました。
―現在、どんな仕事をしていますか?
藤田さん:公共の工事を請け負うための入札の仕事や案件の見積もりを担当しています。私は全く違う業種からこの業界に入ったので、覚えることがたくさんあり大変です。例えば、地図に載っていなくても地元の人たちには通じている地名など、私以外の社員全員が知っていても、私は「それってどこのことだっけ?」ってなります。土木関連の専門用語などもまだまだ勉強中です。
―ほかにも大変なことはありますか?
藤田さん:天候に大きく左右されてしまう仕事なので、現場のスケジュールが急に変更になることがあり、何かと大変です。豪雪地帯なので冬は雪の影響も大きいです。当社は、冬は除雪作業を行っています。昨年の除雪業務時、私は除雪車の免許を持っていないため助手席に座っていたのですが、とにかく時間のかかる作業です。大変な仕事だと改めて感じました。
―この仕事に就いて良かったことややりがいを教えてください。
藤田さん:地域の人たちの役に立てるのがうれしいですね。私は営業職なので、現場作業をしているわけではないのですが、仕事を取りに行く会社の窓口として、災害時の対応を依頼されたり、工事を受注したり、間接的でも地域に貢献していると感じます。また、自ら除雪車に乗ることで、直接的にも貢献できます。そういう面ではすごく良い仕事だと思っています。
―どんな人がこの仕事に向いていると思いますか?
藤田さん:営業職は様々な人と話すことが多いので、コミュニケーションが得意な人や、話すことが好きな人が向いているかな。地域が好きな人はやりがいも大きいと思います。
―地域が好きな人。良いですね! 藤田さんが今後、会社でやりたいことをお聞かせください。
藤田さん:新しいことに挑戦してみたいです。地域を支える「裏方」の仕事も大事ですが、会社の知名度を上げるためにも、多くの人に楽しんでもらえるイベントに関わっていきたいと思っています。今もいろいろやっているんですけどね。
―ありがとうございました。イベント楽しそうですね。
―澤田さんが所属する経営企画部はどのような仕事をされていますか?
澤田さん:会社の広報、例えばSNSの発信やホームページの更新を行い、主に地域の方々や求職者に会社の魅力を伝える役割を担っています。
また、会社の風通しが良くなるように広報誌を作成したり、社内行事の企画運営等を行ったり。あとは社長の変わり種なアイデアが出てきたときにそれを実現できる形にしていくこともしています。
―澤田さんもUターンされたとのことですが、大変なことはありましたか?
澤田さん:私も藤田さんと同じく、違う業種から転職してきたので、まずは建設業自体を知ることから始めました。それと藤田さんも言っていたように、そもそも地図に地名が載っていないところが多く、現場の正確な場所の把握ができないので、現場の写真撮影に行く際に苦労することが多かったですね。
―そのような中で御社の「ここが推し」ポイントはありますか?
澤田さん:社内の距離感が近いところがいいですね。仕事中はもちろん事故がないように緊張感を持って作業にあたっているのですが、仕事以外となるとユーモアのある方が多く、面白い会話が飛び交います。あと、自宅で収穫した野菜とかを持ってきて社員に配ってくれる方もいます。アットホームな雰囲気が当社の推しポイントですね!
―澤田さんが今後会社でやりたいことを教えてください。
澤田さん:具体的なことはまだなのですが、新しいことに挑戦していきたいと考えています。会社がより良くなっていく取り組みができればいいですね。当社の事業が続いていくことが地域を守っていくことにつながると思うので、会社を通じて地域にも貢献していきたいです。
―会社を通じて地域に貢献、いいですね!
取材を終えて
【柴山さん・実践女子大学】
私は初めて企業見学をさせていただきました。その中での作業を細かく知る機会はあまりなかったので、すべてが貴重な時間でした。自分の知らない工程、作業、道具がたくさんあり、まだまだ知らないことがあるということを実感しました。
もともと地元に戻るという選択肢をあまり考えていなかったのですが、見学やお話をお伺いする中で、地元ならではの温かさやつながりをたくさん感じることができました。人とつながることが好きな私にとって、地元で働くという選択肢も良いのではないかと考えることができました。
いろいろなことを改めて知ること、感じることができるとてもいい経験になりました。取材させていただき本当にありがとうございました。
【桑原さん・新潟大学】
建設業は道路などのインフラを作る仕事というイメージをもっていました。今回、見学した大陽開発株式会社の現場は土砂崩れの復旧工事と砂防工事の現場でした。初めて見る山の中で行われている建設作業に驚きました。このように地域の人たちの生活が守られていると感じました。荒木社長の「地域を元気にしたい」、藤田さんの「地域に貢献できる」という言葉も印象的で、地域を支える素晴らしい仕事だと思いました。貴重な体験をありがとうございました。