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株式会社 植木組
現場写真に対象構造物(橋梁)を立体的に表現したデータを重ね、工事プロセスを見える化した画像 |
「成長を求め、挑戦を楽しむ企業へ」という姿勢のもと、DX推進を語る星野和利 土木技術部長・土木DX/CIM推進担当部長 |
最新技術を取り入れ、新たな事業展開に生かす理念を実践
2016年、国土交通省は建設現場の省人化・生産性向上を目指す取り組み「i-Construction」を推進。2024年4月には、次なる目標として2040年までに建設現場のオートメーション化で省人化・安全確保・働き方改革を目指す「i-Construction2.0」構想を発表しました。
植木組では、「i-Construction」より早く、2015年9月からUAV(ドローン)を導入し、現場の空撮を開始しました。2016年3月には新潟県で先陣を切って3DCADを導入し、土木技術部で本格的にBIM/CIM活用を開始。「BIM/CIM」とは、計画、調査、設計段階からその後の施工、維持管理のすべてにおいて3D (3次元)モデルを利活用することで建設生産・管理システムの効率化や高度化を目指す取り組みです。2019年にはCIMモデルを活用し、仮設計画から構造物まで全て3Dモデルにして現場の工事プロセスを見える化したプロジェクトが評価され、国土交通省北陸地方整備局から「ICT活用工事成績優秀企業」として局長表彰を受けました。現在も、「最新技術を取り入れ、新たな事業展開に生かす」という創業以来の理念に基づき、ICTやBIM/CIMを利活用しながら、「i-Construction2.0」構想に向けて積極的にDX推進を図っています。
PC上で設計成果の3Dモデルをチェック。BIM/CIM活用により新しい施工方法や技術が生まれる瞬間を社員も楽しんでいる
BIM/CIM自体はツール。どう活用するかを楽しみながらDX推進
BIM/CIMモデルをモニター閲覧やAR技術で投影しながら構造物を3次元的に把握できるようになり、作業するうえでの安全性と施工性が向上。設計者の思い描くイメージを早期から工事関係者に分かりやすい形で共有でき、デザイン性の追求や品質の向上にもつながっています。また、できるだけ内製化を進め、自社でのノウハウや知識を蓄積し、施工性の向上と技術者としての成長を加速させることを目指しています。
現場の施工、施工管理には3Dデータが不可欠な現在、そのデータを活かすのは人。みずからの現場でBIM/CIMを活用するメリットを考えながら、3Dモデルをフルに活用していく……。そのなかで新しい施工方法や技術が生まれてくる瞬間も楽しむというのが、同社の根幹に流れている姿勢です。「i-Construction2.0」で提唱する今後の施工のオートメーション化についても、完全な自動運転へ向け、遠隔操作や1人で複数台の重機の運転操作などの技術が進んできています。そんな新たな技術への挑戦を、社員一人一人が楽しみながら、DX推進への道を歩んでいます。
工事中もiPadをフル活用して情報共有と業務効率化に役立てている。ICT活用は現場でも日常的な光景に |
HoloLensを着用しBIMモデルを活用する若手技術者。建築設計部では全案件の70%以上のBIM活用を目指す |
今回取材にご協力いただいた企業
〜株式会社 植木組〜
創業1885年、今年で140周年を迎える植木組。新潟県柏崎市を拠点に、主に東日本エリアで事業を展開。土木部、建築部、ライフラインを守る管路エンジニアリング部、道路の舗装や維持・メンテナンスを行う舗道部など、幅広い事業を行っています。2代目及び3代目長生橋をはじめとして、上越新幹線、関越自動車道など新潟県における数々の大型事業に関わりつつ、信濃川の防災対策、日本初の消雪パイプ設置工事なども通して地域の人々の暮らしと産業を支えてきました。
同社がいま、力を注いでいるのは人材育成とDX推進です。社員が自ら挑戦し、目標を達成していくことが個人の成長と会社の発展につながると考え、さまざまな側面から人材育成にアプローチ。また、新たな挑戦として他社に先駆けて建設DXを推進し、工事現場でのICT対応を増やし、新技術の内製化も進めています。
株式会社 植木組
本社所在地/柏崎市
業種:土木工事 建築工事 舗道事業 他
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