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森林研究所たより コンテナ育苗の近況(林業にいがた2021年9月号記事)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:1952202109 更新日:2021年9月2日更新

1はじめに

 コンテナ苗は、林野庁が平成20年に国内に導入して以来、各地で実情に合わせた改良・開発が進められてきました。そこで全国の状況や新潟県内での取り組みをご紹介します。

2全国の状況

 森林総合研究所(※)によるとコンテナ苗は、種子をコンテナ等に多めに播種し間引きをする多粒直接播種、一年生幼苗や発芽直後の毛苗を移植する一年生幼苗移植、毛苗移植によって全国で育苗されています。さらに、近赤外光で選別した充実種子を容器に直接播種する一粒直接播種、小型の培地付き毛苗(プラグ苗)を購入しコンテナ等に移植する毛苗移植などの技術開発も進んでいます。

 育成容器も選択肢が増えています。林野庁が開発したマルチキャビティコンテナは、複数の育成孔を連結させ、育成孔の内壁に根巻きを防止する筋状突起(リブ)のある製品ですが、その後、水はけの良い細長い隙間(スリット)や、リブとスリットを組み合わせた製品も出来ました。また、その他にも筒型ポット・生分解性不織布ポット・紙のポットなど単体で使用出来る製品なども開発されています。苗の根鉢サイズを決める育成孔の容量は150ccと300ccが中心ですが、希望に応じたサイズに調整できる製品もあり、多種多様です。

3新潟県での取り組み

 新潟県内では、平成30年からスギコンテナ苗の供給が始まりました。根鉢サイズ150ccのマルチキャビティコンテナ苗が主流です。

 供給に先立って、県は、県山林種苗協会胎内支部の協力のもと試験育苗を行ってきました。すなわちまず多粒直接播種を、ついで苗畑を活用できる一年生幼苗移植を試験しました。また、資材の多様化に対応するため9種類の育苗容器を使った一年生幼苗移植育苗試験にて(表、写真)、いずれの容器でも得苗率80%以上となること、容量に比例し形状比が低く大きな苗を育成できることを確認しました。これにより需要に応じた形や大きさのコンテナ苗を移植後一成長期で供給できる可能性が見出されたと考えています。

表 一年生幼苗移植試験苗の種類と得苗率(※)
根巻防止方式 容量 得苗率(%)
生分解性不織布
ポット
150cc 82
250cc 95
300cc 91
リブ1) 150cc 92
リブ2) 390cc 82
リブ1)
(下部にスリット入り)
150cc 82
300cc 94
スリット 150cc 84
300cc 93

1)林野庁開発マルチキャビティコンテナ
2)輸入コンテナ(LIECO社)
※苗長30cm以上で根鉢が崩れないことを基準とした。

 

一年生幼苗移植試験で育苗したスギコンテナ苗

写真 一年生幼苗移植試験で育苗したスギコンテナ苗

4おわりに

 コンテナ苗は、植栽後の評価に関してはこれからの面もありますが、生産現場は日進月歩で、さらなる進化が期待されます。これは全国の裸苗生産者の持つ知見や技術によるものと思います。当所の試験においても県山林種苗協会に多くの協力をいただきました。心より感謝いたします。

※「新しいコンテナ育苗方法の提案(令和元年度3月)https://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/chukiseika/documents/4th-chuukiseika20.pdf<外部リンク>

  森林・林業技術課 塚原

 

 

 

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