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森林研究所たより キクラゲ類の複合栽培について(林業にいがた2019年5月号記事)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0125181 更新日:2019年6月29日更新

1 はじめに

生キクラゲを食べたことはありますか?「生?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。

キクラゲは中華料理等でよく見かける食材ですが、国内で流通しているキクラゲのほとんどは海外(主に中国)からの輸入品で、乾物です。

しかし近年、国内で菌床栽培が増え、徐々に生キクラゲも出回るようになりました。乾とは違う食感や国産の安心感から人気が高まり、本県でも生産量と生産者数が増えています。

2 キクラゲ類の特徴と複合栽培

実は、キクラゲとはキクラゲ類の総称で、栽培されているもの大部分は、「アラゲキクラゲ(以下アラゲ)」という種類です。

「キクラゲ」という名前のキクラゲもありますが、種菌の種類が僅かなため、あまり栽培されていません。

キクラゲ類は夏にも発生する中高温型のきのこで、菌床シイタケと同じ資材や施設が使えるので、「冷房不要・設備投資不要」なきのことしても注目を集めています。

さて、「きのこは秋」というイメージから、夏は需要が減り価格が低下します。そのため、夏に休業される生産者もおり、施設が空いています。アラゲは前述のとおり夏に発生し、シイタケの施設等が使える上、希少な国産は需要もあります。

しかし、国内での栽培数がまだ少なく、栽培技術も未確立な部分が多いため、アラゲの栽培技術の試験とシイタケとの複合栽培における課題等の調査を行いました。

3 試験・調査

試験栽培は、森林研究所内とシイタケ等生産現場の両方で行いました。森林研究所内では主に培地組成等の試験を行い、生産現場では複合栽培の課題の洗い出しや森林研究所の試験の実証等をしていただきました。

森林研究所での試験の結果、培地の栄養材に乾燥オカラを使うと収量が増加すること、培地基材の広葉樹オガ粉は容積比50%までもみ殻で置換可能なこと(写真)等が分かりました。

これらのうち、栄養材の試験を生産現場でも行い、乾燥オカラの効果を確認しました(図)。

また、アラゲは二酸化炭素濃度が高いと奇形になることが知られていましたが、予想以上に敏感で、十分な換気・通気が必要なことも確かめられました。

ただ、全体的に栽培が簡単で失敗も少ないため、協力いただいた生産者の多くから「本格栽培を開始したい」という声があがりました。

もみ殻50%置換培地で作ったアラゲキクラゲ(通常培地と収量・形状等に違いがない)の画像
写真 もみ殻50%置換培地で作ったアラゲキクラゲ(通常培地と収量・形状等に違いがない)

3種類の培地の比較栽培試験結果(菌床重量:2.5kg 試験数:各10菌床)
図 生産現場での試験栽培の結果(2地区分)

4 おわりに

今回の結果は、栽培技術指針としてまとめられ、アラゲ栽培を目指す生産者の後押しに活用されます。

今後、県内のアラゲ生産量が増え、生キクラゲが身近なきのこになることを期待しています。

きのこ・特産課 武田綾子

 

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