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森林研究所たより 新潟県開発無花粉スギ100個体の発根性と初期成長報告(林業にいがた2017年3月号記事)

2017年03月01日

1 はじめに

既に林業にいがた第688号で報告した新潟県開発無花粉スギ100個体について、さし木発根性、初期成長等の調査を平成22年から続けてきました。現在までに明らかになったことについて報告します。

2 無花粉スギ100個体について

この100個体を作り出した無花粉スギの原種は、富山不稔1号(以下、富山)と新大不稔1号(新大1)です。それらに精英樹を掛け合わせて、1世代目を作出し、さらに1世代目同士を掛け合わせて2世代目を作出すると、メンデルの法則によって4分の1が無花粉になります。
この中から100個体の無花粉スギを選抜したことは既報のとおりです。今回の報告では、富山家系と新大1家系のように大まかに家系でまとめた評価を報告します。

3 調査の方法

100個体は6年かけて採穂台木(写真)仕立てにし、各々から30本のさし穂を取り挿付けました。なお、本数が多いため、調査は2年かけて半分ずつ行いました。4月に挿付け、10月に発根を調査し、その後3年苗まで育苗し、成長量を調べました。
さらにその後、苗木を村上市内に設定した検定林に植栽し、山出し後の成長を調べています。なお、対照として、さし木推奨品種である中頸城4号を使用しました。

写真 採穂するためにこのように仕立てます

4 調査結果

(1)発根について
まず発根率は、ほぼすべての個体が100%となりました。しかし発根量には家系による違いが見られ、富山家系のほうが全体的に発根量が少ない傾向が見られました。今後は発根量の少ない個体で、明らかに成長が悪いものを見極めていく必要があります。

(2)苗木成長について
さし木3年苗の成長(材積)について解析したところ、対照と比べて有意に成長が悪かった個体は5個体となりました(下表)。つまり、100個体のうち、95個体については対照であるさし木推奨品種の中頸城4号よりも成長が良いか同程度であったということになります。
表 無花粉スギ100個体の苗木成長(材積ベース)別個体数
  対照より
成長良好
対照と
同程度
対照より
成長不良
合計
富山不稔1号家系 21 22 1 44
新大不稔1号家系 38 14 4 56
合計 59 36 5 100

5 なぜ成長が良いのか

前述のように無花粉スギを作出するためには原種から数えて2世代目まで世代を進める必要があります。実はこの過程で、成長不良・形質不良のものは淘汰していきます。そのため、良いもの同士が交配され、結果的に成長がよい2代目が多くなったため、よいものが選抜されたのだと考えられます。

6 まとめ

新潟県開発無花粉スギについては、さし木苗としての性能は十分に有しており、苗木の成長も推奨品種と同等かそれ以上の個体が9割以上を占めていることがわかりました。
なお、平成29年度秋から、さし木苗の本格供給が開始となります。無花粉スギを植えてみたい方は新潟県森林組合連合会内の新潟県山林種苗協会までお問い合わせください。
新潟県山林種苗協会 電話025(261)7110
森林・林業技術課 岩井淳治