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森林研究所たより 県産ブナシメジ『越のわらべ』の後継品種候補ができました(林業にいがた2008年3月号記事)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0058536 更新日:2019年3月29日更新

 突然ですが皆様、ブナシメジはお好きですか?ブナシメジは美味しくて、和洋中どの料理とも相性がよい、私も好きなきのこの一つです。それでは、ブナシメジが苦手という方、もしかしてその理由は「苦いから」ではありませんか?実はブナシメジは、品種や培地に添加する栄養材の種類によって、苦みが出やすくなるきのこなのです。そのため、特にお子様など「苦み」に敏感な方では「ちょっと 」と云う方も多いと思います。栽培する側としても、出来れば多くの方々に食べてもらいたいわけですから、苦みの多い品種は困ります。しかし最近、苦みの少ない品種が劣化などで使用できなくなり、代わりの品種が求められていました。

 そこで一躍脚光を浴びたのが、苦みの少ない県開発品種『越のわらべ』です。この『越のわらべ』は苦みがほとんどない上に歯応えも良く、収量も多い優秀な品種なのですが、さすがに完璧というわけにはいかず、欠点があります。その一つは「傘が壊れやすい」ということです。包装の際や運送途中、店頭で積まれるときなどに傘が壊れてしまうと、どうしても見た目が悪くなります。もう一つは「茎の色が黒っぽい」ということです。『越のわらべ』は茎に白色の微毛が生えているので一見白く見えるのですが、地の色が濃い灰褐色のため、手で触れたり火を通したりすると黒っぽくなってしまいます。これが、「古くなって傷んでいる」と勘違いされる原因になりやすいのです。どちらの欠点も見た目の問題で品質には影響しないのですが、やはり商品である以上見た目も重要なため、これらは克服しなければなりません。

 当研究所では、これらの欠点を克服した『越のわらべの後継品種』を作るべく、交配と育種を繰り返したところ、有望な二系統を選抜することができました。この二系統は、茎の白さや栽培日数、収量等に若干の差があり、それぞれ一長一短があるのですが、どちらの系統も『越のわらべ』の長所である「苦みの少なさ」と「歯応えの良さ」を残しています。より良いと思われる系統を、栽培者さんの意見等も反映しながら決定する予定です。

2008年3月号 県産ブナシメジ『越のわらべ』の後継候補ができました の画像12008年3月号 県産ブナシメジ『越のわらべ』の後継候補ができました の画像2
今回選抜された2系統(上・下)。微妙に違うのですが、分かりますか?

 現在、後継品種を品種登録するための準備を行っています。一日も早く皆様の食卓にも『越のわらべの後継品種』が届くよう頑張っていますので、それまでの間従来の『越のわらべ』を見かけたら、どうぞお買い求めくださいませ。

きのこ・特産課 武田綾子

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