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森林研究所たより 林地残材の運搬について(林業にいがた2007年11月号記事)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0058587 更新日:2019年3月29日更新

1.はじめに

 近年、地球温暖化の防止や化石エネルギーの枯渇が懸念されるようになり、木材などの森林資源は、植林、育成、伐採を繰り返すことにより再生可能な資源として着目されています。県では「バイオマスにいがた」構想を、また県内の幾つかの市町村でも「バイオマスタウン構想」を策定し、環境と調和した循環型社会づくりを推進しています。
 利用間伐後の林地残材は、製材工場の端材とは異なり、林内に散在し集めにくいと言われています。しかし、地球環境の改善、維持、また所有者の森林育成に対する負担を軽減し林業を活性化することを考えると、その利用について検討していく必要があるでしょう。
 本報では、(社)林業機械化協会からの委託調査事業により、利用間伐後の林分で、林地残材がどのように分布しているのか、トラックにどのくらいの量を積み込めるのかなどを調査した事例を紹介します。

2.分布状況調査

林地残材の様子の画像
林地残材の様子

 五泉市内の35年生のスギ人工林で、グラップルを使用した全木集材間伐直後に林地残材の分布状況を調査しました。作業土場でもあった作業路を含む区域から間伐地に掛けて10×10平方メートルプロットを連続して3つ設置し、各プロット内の林地残材重量を比較した結果、作業路を含むプロットが最も量が多く、生重量比で全体の85%、平均946kg(2調査)がプロット内にありました。また林地残材の61%は未利用木部、39%は枝条でした。
 作業路を土場とした全木集材間伐跡地であれば、作業路周辺の比較的集め易い箇所に林地残材の大半があることが確かめられました。

3.かさ密度調査

かさ密度試験状況の画像
かさ密度試験状況

 2tトラックの荷台に木枠を設置(枠の高さは1m、容積は4.6立米)し、未利用木部をすりきり一杯まで積み込み、その後、積み込んだ未利用木部の材積と重量を単部材毎に計測しました。その結果、材積は2.2立米、生重量は1.5tでした。未利用木部は形状がまちまちであるため、木枠に積み込んだ際、容積の約半分に空間が生じ、木枠内のかさ密度は、0.33t/立米でした。木の生重量は地域や品種、時期、部位(根元部、末木部など)などで変動が大きく、また、かさ密度も部材の大きさにより変動しますので、実際に行う場合、他の事例も参考にしてください。
 今回の調査事例では、木枠の重さは0.1tでしたので、最大積載量2tまでには、あと1立米、木枠の高さをあと20センチほど伸ばしても良かったようです。

森林・林業技術課 日水和久

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