ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 新潟県森林研究所 > 森林研究所たより にいがた千年松の開発と普及(林業にいがた2007年2月号記事)

本文

森林研究所たより にいがた千年松の開発と普及(林業にいがた2007年2月号記事)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0058586 更新日:2019年3月29日更新

1 はじめに

 新潟県では1977年に南魚沼市で初めて松くい虫被害が確認され、その後全県的に被害が広がりました。健全な松林を育成する上で抵抗性苗を普及することは重要です。今年度から抵抗性アカマツ苗木「にいがた千年松」が実用化の段階となりましたので、開発経過と今後の課題について紹介します。

2 採種園の造成

暫定採種園の画像
写真-1 暫定採種園

 県では被害対策として1990年からアカマツのマツノザイセンチュウ抵抗性育種事業を実施し、佐渡を除く県内各地より366本の抵抗性候補木を選抜しました。

 森林研究所では1994年から抵抗性候補木のつぎ木苗を用いた接種検定を行い、52系統の一次検定合格木を選抜しました。さらに本県のアカマツ精英樹にも接種検定を行い、抵抗性合格木6系統を得て、合計58系統を一次検定合格木として選抜しました。1999年からは一次検定合格木58系統各5本を配置した暫定採種園を当所構内に造成し(写真-1)、2003年から実用苗供給のための種子生産を行っています。

3 「にいがた千年松」の普及

材線虫接種作業の画像
写真-2 材線虫接種作業

 暫定採種園の造成に先立ち、早期に選抜した一次検定合格木30系統を試験採種園として造成し、1999年から実生家系のマツノザイセンチュウ接種による抵抗性検定を行ったところ、健全苗率の家系間における抵抗性差にかなりの幅があり、実用化には各家系の抵抗性を明らかにする必要がありました。そこで暫定採種園産種子については、家系管理を行った上で家系ごとの抵抗性を把握することとしました。

 2003年から暫定採種園産種子を県内の苗木業者に配布し、育苗を行っていますが、並行して当所でもこれと同じ種子で育苗を行い、3年生苗木となったところでマツノザイセンチュウ接種検定を行いました(写真-2)。検定ではテーダマツと同等の抵抗性を持つ対照苗の生存率と同等以上のものを合格家系とし、2006年は30家系が合格となりました。これらの家系は苗木業者から抵抗性アカマツ苗木としてはじめて市場に供給されました。なお、治山課では市場に出荷される抵抗性の高いアカマツ苗木が広く親しみをもって利用されるよう名称を公募し、「にいがた千年松」と決定しました。

4 おわりに

 今後は暫定採種園産実生家系の抵抗性検定を繰り返すことにより、優良母樹家系を絞り込むことが課題となります。また、採種園を構成する全系統の着花、種子生産特性を明らかにし、採種園の管理に反映させていく計画です。

森林・林業技術課 金子岳夫

<外部リンク> 県公式SNS一覧へ