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森林研究所たより スギヒラタケに関連した2004年の特異事象(林業にいがた2006年9月号記事)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0058564 更新日:2019年3月29日更新

 2004年秋、原因不明の急性脳症が報告され、スギヒラタケと慢性腎不全との関連が疑われているが、原因は未だ分かっていない。そこで、解明の一助となるために、この年にあった、スギヒラタケに関連すると思われる特異な事象を挙げてみる。

  1. 台風襲来
     8月に台風15号と16号が、9月に18号が新潟に接近して、佐渡沖を北東に進んだ。この3つの台風による県農林水産業被害額は、平成元年以降の台風・強風による被害では、2番目に多く、87億円を超えた。
  2. 塩害
     台風15号が塩害をもたらした。新潟地方気象台の新潟、相川測候所では、イチョウ黄葉と、イロハカエデの紅葉の観測が、塩害のため記録されておらず、塩害による結束は初めてである。
  3. 秋の桜の開花
     塩害により落葉したため、各地で桜が開花した。10月7日に、相川測候所の標本木も開花した。
  4. 高温
     6、7月と8月上旬は、平年に比べ高温であった。また、9~11月の北陸地方平均気温は、1946年以来過去最高を記録し、新潟も最高値となった。
  5. 多雨
     7月に新潟付近に停滞した梅雨前線の影響で、7月中旬の降水量は、中下越で平年の300~600%となり、中越で「7・13水害」が起きた。
  6. 低い水稲作況指数
     北陸農政局新潟統計・情報センター編集の1996年以降の新潟作物統計から、下越地区の水稲作況指数を調べると、2004年と1998年は、最低の95であった。
  7. スギヒラタケの異常
    • 早い時期からの発生
       図1は、下越地域での1984年からの年別の発生時期である。主に研究所の裏山を7~10日に1回程度の見回りをした結果である。はしりは、発生当所の1~2cm程度の小型のもの、食べ頃はそれより大きいものとして分けた。
       2004年は発生が早かったが、実は1996年も発生は早かった。記録では、9月17日が初記録になっているが、「9月初めから発生し、20日頃にピーク」という記載もあったので、この約20年間で2回の9月上旬発生があったと考えられる。
    • 豊作で大型
       2004年はスギヒラタケが豊作で、サイズも大型であった。きのこの採取記録には、1996年に、「まれにみる大発生」、1998年には「大量」と書かれており、1996年以降3回の豊作年があったことが分かった。
       以上7つ、特異な事象を挙げたが、現時点では、まだ脳症の原因が分かっていない。残念ですがスギヒラタケを食べるのは、控えてください。

新潟県下越地区スギヒラタケ年別発生初確認日の画像 スギヒラタケが倒木から生えている様子を撮影した画像
写真1 塩水をかけてみたスギヒラタケ

きのこ・特産課 松本則行

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