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森林研究所たより 森林研究所における種子採取事業について(林業にいがた2024年05月号記事)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:1952202405 更新日:2024年5月2日更新

種子採取事業地

現在、当所構内において、種子採取事業の対象となるのはアカマツ(にいがた千年松)暫定採種園(面積0.37ヘクタール、42クローン)、クロマツ試験採種園(面積0.53ヘクタール)です。

管理及び採種

春から夏にかけて施肥、除草剤散布、病害虫防除を行い、10月下旬から球果の採取作業を行います。
球果の採取作業は10段(高さ約3メートル)の脚立を使い、手と高枝切り鋏を駆使して球果を採取し、着果促進のため、上に伸びたり交錯した枝を切り落とす作業も同時に行います。この樹上班に加え、落ちた球果を集め、枝を運搬集積する地上班と4~5人でパーティを組み行っています。球果は枝の先端に多いため、脚立の上り下りと運搬を繰り返す作業は遅々として進まず令和5年は10月下旬から11月中旬まで13日間採種作業を行いました(写真1)。
球果の採取状況
写真1 球果の採取状況
その後、球果の乾燥を行い(写真2)、タネの抜き取り(写真3)、ハネとり、精選(ハネや樹脂の塊、シイナなどを除いて良いタネを選り分けること)など調整の諸工程を経てから乾燥し、当所低温庫で貯蔵されます。当年採取した種子と備蓄している種子を発芽検定し、苗木生産事業者に提供するという流れとなります。
なお、村上市の朝日林木育種園(抵抗性クロマツ)と長岡市の和島林木育種園(スギ)で採取された種子も管理替えにより当所で貯蔵及び苗木生産事業者への提供を行っています。
ハウス内での球果の乾燥
写真2 ハウス内での球果の乾燥
すべての球果からピンセットで種を抜き取る
写真3 すべての球果からピンセットで種子を抜き取る

採種の状況

令和5年度の採取量は表のとおりです。今年採取した種子からは、アカマツ約18,000本、クロマツ6,000本の発芽数が見込まれます。アカマツ暫定採取園は造成後20年が経過して周辺樹木の日陰の影響を受け、採取量は最も多かった年の6分の1程度に低下しています。このため、強剪定を実施し採取種子量の増加を図っているところです。
また、最近では球果をかじられたり枝を折られるなどのサル被害も発生し対策が必要です。
表 令和5年度種子採取結果

樹種

採取木本数(本) 採取球果数(個) 球果生重量(kg) 種子重量(g)
アカマツ 176 8,687 61.78 295
クロマツ 289 2,066 30.71 185

 

おわりに

最近、県外から苗木を購入し植栽するという事例も発生していますが、このようなことが主流となると県内の苗木生産事業者が消滅することも懸念されます。主伐・再造林が進められている中、県内の関係者全てが潤うよう苗木の生産まで視野に入れた資源の循環体制の構築が求められます。

森林・林業技術課 菅原弥寿夫

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