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【魚沼】「令和2年度魚沼地域災害時食のセーフティネット検討会」を開催しました

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0340394 更新日:2020年12月28日更新

検討会の概要

新潟県魚沼地域振興局健康福祉部では、災害時の食の備えに関する関係機関の活動実態を共有し、さらに自助・共助・公助の観点での食の備えの充実を目指して平常時からの方策を検討することを目的に検討会を開催しました。

◎ 開催日時 令和2年12月8日(火曜日)午後2時から4時30分まで
◎ 会 場 魚沼市小出ボランティアセンター
◎ アドバイザー 日本災害食学会理事・副会長
新潟大学大学院 客員教授
NPO法人日本防災士会 副理事長 別府 茂 氏
◎ 構成メンバー(順不同)
小千谷市魚沼市医師会、小千谷北魚沼歯科医師会、魚沼市立小出病院、新潟県栄養士会災害支援チーム(JDA-DAT)、新潟県食生活改善推進委員協議会魚沼支部、小千谷市魚沼市介護支援専門員連絡協議会、魚沼市社会福祉協議会、魚沼市食品衛生協会、和洋酒・惣菜・弁当専門おおもも、ホリカフーズ株式会社、NPO法人総合型地域スポーツクラブエンジョイスポーツクラブ魚沼、中越防災安全推進機構、NPO法人ふるさと未来創造堂、魚沼市、魚沼市教育委員会

オブザーバー:一般社団法人健康ビジネス協議会

【当日の内容】

 テーマ「自助・共助・公助」の観点でさらに取組を進める魚沼地域の食の備え

1 取組報告
(1)「食品営業者の食の備え実態調査」報告と今後の取組 
  報告:魚沼市食品衛生協会
(2)「要配慮者用備蓄食品」に関する検討と今後の取組
  報告:魚沼市
(3)食の面からの防災教育
  報告Ⅰ:魚沼市教育委員会
  報告Ⅱ:NPO法人ふるさと未来創造堂
(4)関係組織の新たな取組「新型コロナウイルス感染症対策を踏まえた『新しい生活様式』に基づく活動」
  報告Ⅰ:新潟県食生活改善推進委員協議会魚沼支部
  報告Ⅱ:NPO法人総合型地域スポーツクラブエンジョイスポーツクラブ魚沼

2 講義「食の危機管理-産学官で取り組む災害食の新たな取組-」

3 取組提案「備えておけばあちこたねぇ!うおぬま式災害時食の備え」(増補版)の作成について

4 全体討議・まとめ

 

1 開会あいさつ(要旨)

魚沼地域振興局健康福祉部 竹内部長
 昨年は新潟県中越大震災発生から15年目。これまでの活動を振り返り、関係者による平時からの方策を検討し、今後の活動に生かすため、本検討会を開催した。各位の取組や「新しい生活様式」を取り入れた備えについても共有し、地域の備えの充実につなげたい。

全体画像

2 取組報告と意見交換

 担当者から検討会の目的と方針について説明があった後、令和元年度から今年度にかけて行政機関や関係組織で取り組まれた内容について報告がありました。

魚沼市食品衛生協会魚沼市魚沼市教育委員会NPO法人ふるさと未来創造堂

○ 魚沼市食品衛生協会(写真左上)
 食品営業者を対象とした「災害時の食の備えアンケート調査」を取り組み、会員における営業用食材の常備と災害時の食料・物資の備蓄状況、災害時の協力・連携体制について確認した。また、会員が支援できる情報を集約し、市に提供した。このことで、災害時も地元の営業者が早期に活動し、災害からの復興・地域の活性化が期待できる。

○ 魚沼市防災安全課・健康増進課(写真右上)
 魚沼市の地域防災計画に基づく食品の備蓄に関して報告する。目標量に対する備蓄状況と備蓄の考え方、有効活用と課題について確認し、管理栄養士が主体となり、特に要配慮者用備蓄食品(乳幼児、高齢者、病態)については市立小出病院や食品企業との協議などを行うとともに、1年間を4期に分けて払出計画を作成した。備蓄を無駄にしないよう防災教育への活用などフードローディングを行っている。

【防災教育の観点から】

○ 魚沼市教育委員会(写真左下)
 「災害時食の備え」の普及に向けて、10月23日(中越大震災の日)に防災給食を全市一斉実施したり、栄養職員部会で防災だよりを発行している。防災給食のメニューは、はしやスプーンを極力使わない等の食べやすいものや、防災安全課から提供された市の備蓄食品を活用したものである。継続した取組となっている。

○ NPO法人ふるさと未来創造堂(写真右下)
 「コロナ禍」におけるICTを活用した防災教育を実施している。あえて防災という言葉をはずし、ヨガ体験やパッククッキングなども加え、家族や親子を基本とした体験の機会を提案している。

 

食生活改善推進委員協議会魚沼支部NPO法人エンジョイスポーツクラブ魚沼

○ 食生活改善推進委員協議会魚沼支部(写真左)
 感染対策のため、これまでの活動を見直し、できるところから活動している。保健所と連携して、食生活と運動に関するリーフレットを健康づくり支援店である市内のスーパーに設置配布してもらい、新型コロナウイルスに負けないからだづくりのための啓発活動を行った。

○ NPO法人エンジョイスポーツクラブ魚沼(写真右)
 感染拡大以降運動指導の方法が変わり、運動時間の短縮や体調チェックの徹底等、「新しい生活様式」を取り入れた運動教室を行っている。その結果、集中度が高まり健康意識も上がった。免疫力を上げるためには、運動、食事と睡眠が重要であり、さらに市民への教育を行っていく必要がある。

 

3 講義「食の危機管理-産学官で取り組む災害食の新たな展開-」

 本検討会のアドバイザーである別府茂先生から講義をしていただきました。

〇 災害の種類は大きく分けて3つ。自然災害と感染症と人為災害であり、自然災害は防災、感染症は防疫、人為災害は防犯。感染症は以前は水際対策でよかったが、一人一人の対策が必要であり、新しい生活様式を実践しなければならなくなった。

〇 災害時の救援物資は避難所にしか届かず、しかも平常時には置かれていない。公的支援は避難所にしか届かないことからすると自助をしっかりとやっていかないといけない。

〇 自助をしっかりやろうとすると普段と同じものを備えることが求められ、備えて無駄にならない、災害時に役立つ災害食の考え方のもと、2013年に日本災害食学会の立ち上げ、2015年に日本災害食認証制度が発足した。今年2月の時点で20社151品目に達している。20社のうち、7社が新潟県の企業となっている。

〇 要配慮者用食品については(一社)健康ビジネス協議会が「おもいやり災害食認証制度」を制定し、低たんぱく質、アレルギー、介護食、水分電解質補給サポートのマークを作って、災害時仕分けの際に優先して届けられるしくみをつくっている。現在3メーカー10品目、いずれも県内メーカーで製造されている。

〇 農林水産省が2019年家庭用備蓄の実践アイディア災害時に備えた食品ストックガイドを2種類発表。現在では日本発の災害食の国際規格化(災害食ISO)に向けたプロジェクトが進んでいる。プロジェクトの推進に向けたモデルの創出を検討している。

〇 新潟県地域防災計画における「食料・生活必需品等の確保計画」では、要配慮者への配慮を事前に検討し、災害時に速やかに提供できる体制を整備するとしている。その際食料の備蓄、輸送、配送等にあたっては管理栄養士の活用を図るとあり、「新潟県災害時栄養・食生活支援活動ガイドライン」に具体的な活動を示すとともに、市の地域防災計画とも連動している。

〇 魚沼地域においては、自助・共助・公助がかなり重なり合っており、それぞれ誰が何をやっているのかがわかった上での連携が進んでいる。自助は家庭だけでなく組織や企業の備えまで進んできている。共助は横のつながり、公助は備蓄だけでなく、災害食に関する教育が進んできており、進化していると感じた。全国に向けたモデルとして考えられるもの。

〇 本日の参集者がこのモデルを形成しており、この検討会を活用したネットワークによる生活の強靭化、ライフスタイルの変革も行っていくことが必要。今までの経験をさらに磨いて次の災害に向けた対策の強靭化につなげていただきたい。

アドバイザー
(別府 茂 氏)

 

4 取組提案「備えておけばあちこたねえ!うおぬま式災害時の食の備え」(増補版)の作成について

 当部担当者から、2016年に作成した魚沼版家庭用食料備蓄リーフレット「備えておけばあちこたねえ!うおぬま式災害時の食の備え」について、最新情報や社会情勢を踏まえて内容を補充することとし、本日出席の関係機関の皆様と検討しながら作業を進める旨を提案しました。

「備えておけばあちこたねぇ!うおぬま式災害時の食の備え」のページはこちら

 提案に対して出席者から、「災害発生後はすぐに救援物資は届かないことや避難所には通常食料を置いていないことから、さらに市民に向けて自助を促すメッセージを追記した方が良い」との御意見をいただきました。

 

5 全体討議・まとめ

 最後に出席者の皆様から各組織での取組や方向性について御報告をいただきました。

小出病院ホリカフーズJDA-DAT

【要配慮者対策】

○ 魚沼市立小出病院栄養課(写真左上)
 現状は食事提供を委託会社にお願いしている。要配慮者用食品の備蓄については、今後院内で検討する予定。魚沼市、ホリカフーズ、魚沼保健所と協議し、市の要配慮者用備蓄食品について患者さんへの普及につなげている。今後は院内での試食訓練も行っていく。

○ ホリカフーズ(株)(写真右上)
 県内外を問わず特殊食品を取り扱っている。災害食も製造していることから、要請に応じて講演会など啓発活動を行っている。「コロナ禍」で自粛が広まる中でも講演依頼は増加している。災害弱者に対する取組が必要である。

○ 新潟県栄養士会災害支援チーム(JDA-DAT)(写真左下)
 日本栄養士会が災害時に設置する特殊栄養ステーションについて、全国にブロック単位で設置できるよう体制整備を進めている。特殊栄養ステーション設置後の運用(特に特殊食品を必要とする方に届ける方策)について、日頃から県や市町村と協議しておく必要がある。

 

おおもも中越防災安全推進機構魚沼市社協

 

【食品営業者の取組】

○ 和洋酒・惣菜・弁当専門おおもも(写真左上)
 中越大震災発生の際、電話が通じなかったため、時間をおいて夜間に炊き出しの要請が入った。米、食材、ガスや水は調達できたが、電気がなく対応が難しく悔しい思いをした。水害時の食事提供や東日本大震災時の食事提供なども経験し、弁当やパンの提供に加えてバイキング形式でも対応した。感染拡大の影響でバイキング形式の提供は難しくなったため、今後は検討が必要だ。

【避難所運営・被災地支援における災害食の取組」

○ 魚沼市
 地域防災計画を見直し、「福祉避難所設置運営マニュアル初動編」に感染症対策についても盛り込んだ。食については要配慮者を想定して、慢性疾患患者等に対する備蓄についてマニュアルに新たに追加し、管理栄養士を配置して対応するとした。今年度は大規模な防災訓練はできなかったが、市内数カ所で地元の人を含めた訓練を実施した。

○ (公社)中越防災安全推進機構地域防災力センター(写真右上)
 防災関連商品を様々な会社が製作しているが、ニーズは多様であることから、いろんな分野が関わって新たな防災産業のネットワークづくりを行っている。(新潟県事業である防災産業クラスター事業。) また災害時における支援物資の流通のIC化、デジタル化に向けて取り組んでいる。福祉施設等でも利用が進むよう議論していきたい。

○ 魚沼市社会福祉協議会(写真左下)
 東日本大震災時、他県からの被災者を受け入れて食事提供した実績があるが、バイキング形式での提供は慎重に考えなけばならない。「もしも」を支えるのは「いつも」。日常のつながりが災害時に大事になってくる。学校や地域での出前講座では、どうやって支え合ったら良いのかを考えてもらいながら取り組みを進めたい。

 

医師会歯科医師会会議の様子

○ 小千谷市魚沼市医師会(写真左上)
 魚沼地域では医療・介護情報の共有システム「うおぬま・米ねっと」の普及を進めているが、災害時にも役立つと考えている。市民へ普及・登録が広がるとよい。

○ 小千谷北魚沼歯科医師会(写真右上)
 災害時の食に関係した会議には初めて出席した。魚沼市の取組はとても良くできている。入れ歯を使用している場合は、家が倒壊して取り出せず食事がとれないこともある。高齢者でなくても入れ歯をしている場合もあるため、災害食を考える際には、必要とする者への想像の幅を広げることも必要。


最後に別府アドバイザーから次のようなアドバイスをいただきました。

〇 中越大震災以前は本日のような検討会を行っていなかった。被災を経験してあらためてこれだけの広い関係者が集まり、必要性を実感した。感染症もいつ起こるかわからない災害と同じであり、「新しい生活様式」に基づく食生活や運動の必要性を確認した。

〇 検討会等を通じた関係者のつながりを作っていくことが大事であり、毎年少しずつ積み上げていくことで生活の強靱化が図られていく。自然災害や感染症に対していつか来るかもしれないという認識を持つ。それぞれの仕事のなかで今回の検討会を一つのシステムとして考えていってほしい。仕事の中で手伝って欲しいとか一緒にやりたいなどの声がかかったら協力していきたい。これがセーフティネット検討会の本来の役割ではないかと考える。


 今後も魚沼地域振興局健康福祉部では、災害時の食の備えについて、地域の関係団体や事業者の皆さんと協働して取り組んでいきます。

関連リンク

当部記事「健康を守る食」について考えるページ

 

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