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中越教育事務所「所長室から」

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:20191025 更新日:2019年10月25日更新

大川小学校事故を教訓として

  過去最大級の台風19号は広範囲に記録的な大雨を降らせ、特に関東甲信越、東北を中心に大きな被害を与えました。気象庁は早い段階から「今までに経験のない台風であり、命を守る行動を・・・」と呼び掛けていたにもかかわらず、死者84名(10月23日現在)の甚大な被害となったことは、いかに今回の台風が強大なものであったかを現しています。あらためて自然災害の脅威とそれに対する備えの重要性を思い知らされました。

 近年、何十年に一度の異常気象が常態化しており、それに伴う災害も今までの予測をはるかに超えたものになっています。それだけに、子供たちの命を守ることが最大の責務である学校にとって、日ごろから危機意識を高め、最悪を想定した危機管理が一層求められています。

 そんな中、学校事故として忘れることができない、宮城県石巻市立大川小学校津波事故の訴訟で、最高裁は市と県の上告を棄却し、遺族側に14憶円の賠償を命じた高裁判決が確定しました。
 平成23年3月、東日本大震災による津波で児童・教職員84人が犠牲になった事故です。校庭に裏山があるにもかかわらず、40分間も空白時間を置き、高台ではない所に避難する途中、津波に遭ったものでした。事故後の検証で分かったことは、震災後の学校の対応のまずさでした。また、危機管理マニュアルに避難場所や避難経路の記載がないなど、事前の防災対策の不備も明らかになりました。

 判決では、学校や行政の組織的な「震災前の防災対策の過失」を認めています。震災前に、津波の予測や小学校の立地を詳細に検討すれば津波の危険性を予見することは可能だったとしたうえで、「震災前の危機管理マニュアルに不備がなければ、悲惨な事故は回避できた」と指摘しています。

 また、児童の安全確保義務にも触れ、義務教育で児童を預かる以上、一般住民よりも防災に対してはるかに高い知識や経験が必要だとして、ハザードマップが震災予想区域外であっても「独自の立場から信頼性を検討すべきだった」とも指摘しています。

 さらに「学校保健安全法」により、学校には「児童の安全を確保する義務がある」と結論付け、子供たちの命を守ることが学校の責務であることを明言しています。このことを重く受け止め、子供の安全を最優先に考えた事前防災を徹底しなければなりません。

 今回の判決は学校現場にとって厳しいとの声もあります。しかし、ハザードマップの安全性を疑うことなくマニュアルの不備も正さず、震災後40分間も避難させず犠牲になった児童らの無念さを思うと、判決は妥当であると言わざるを得ません。

 今後、学校や行政により高いレベルの防災対策が求められることと思います。各学校では、自然災害への危機意識を一層高めるとともに、危機管理マニュアルが形骸化せず、より実効性の高いものとなるよう、絶えず見直し、改善を図っていくようお願いします。

中越教育事務所長 市川 茂明

「所長室から」(令和元年10月25日) [PDFファイル/103KB]

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