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【第21回 ピックアップ!地域づくり人】小林 紘大さん(新潟市/グリーンホームズ新潟、コウダイ企画室。)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0321467 更新日:2020年10月15日更新

今回ご紹介するのは、まちづくりの場において、建物設計というハード面から、コミュニティ設計というソフト面まで携わる「コウダイ企画室。」代表の小林紘大(こばやしこうだい)さんです。

工務店で設計の仕事に携わる傍ら、コミュニティマネージャーとしての活動を開始

第21回地域づくり人 小林紘大さん
第21回地域づくり人 小林 紘大さん

大学卒業後、新潟市内の工務店で会社員として設計の仕事に携わっていた小林さん。新潟市中央区の賃貸集合住宅「グリーンホームズ新潟」への入居をきっかけに、コミュニティマネージャーとして地域づくり活動を開始しました。

―どのような経緯で「グリーンホームズ新潟」でコミュニティマネージャーを始めたのでしょうか。

私がグリーンホームズ新潟に入居したとき、住人なら誰でも使える共用の場、センターハウスがあったのですが、当時はほとんど使われていない状態でした。センターハウスが使われていないことを、グリーンホームズ新潟のオーナーさんが課題に思っていたこともあり、「このセンターハウスを使ってイベントを開催してみませんか?」とオーナーさんに提案したのが、コミュニティマネージャーとしての活動の始まりでした。

―グリーンホームズ新潟入居以前からまちづくりに携わっていましたか?

いえ、グリーンホームズ新潟が初めてのプロジェクトだったんです。 

まちづくりにはずっと関心を持っていて、「自分で何かプロジェクトをしてみたい!」という想いがありました。しかし、サラリーマンとして働いている自分がまちづくり団体に入るとか、何かのプロジェクトに参加するというのがイメージできなくて。そこで、自分が住んでいる半径10メートル以内のところをより良いものにできないかと思い立ち、入居していたグリーンホームズ新潟で活動を始めました。

―グリーンホームズ新潟ではどのようなイベントを行ったのですか?

一番盛り上がったのは「庭園祭」というイベントでしたね。日曜日の夕方からセンターハウスにミュージシャンやフードトラック(キッチンカー)を呼んで、食事やお酒を楽しみながら音楽を聴くというイベントでした。ちょうどその頃にグリーンホームズ新潟に空室があったこともあり、興味をもってくれた人が空室を見学できるよう、オープンハウスも開催しました。

イベント開催後、住人同士が顔見知りになり、ゴミ出しや出勤の際に会話が生まれるようになりました。そういった住人同士が声をかけ合うコミュニティを、イベント開催を通じてつくることができました。

「グリーンホームズ新潟」でのイベントの様子

「グリーンホームズ新潟」でのイベントの様子

―グリーンホームズ新潟での活動をきっかけに、地域づくり活動を広げていったと伺いました。どのように活動を広げていったのでしょうか?

工務店に勤めながら建築の仕事に携わる中で、「これからの建築は建物のようなハードをつくるだけではなくて、どう活用するかのようなソフトの部分を提案する必要があるんじゃないか」と感じていました。またそのような提案をしていくためには、「場」で起こることを自分でプロデュースし、建物の設計だけではなく「場のキャスティング」を含め設計していく能力が必要だと思うようになりました。ですがサラリーマンのままでは、その能力は身につきません。そこで、グリーンホームズ新潟での活動で得た「コミュニティマネージャー」という肩書きのもと、活動の場を会社の外へ広げていくことにしました。

―「コミュニティマネージャー」という役職にはどのような思いがあるのでしょうか。

グリーンホームズ新潟での活動を進めていく上で、私の役割は(1)コミュニティをつくる、(2)入居者とオーナー双方の意見を聞く、(3)広報業務を行う、の3つと考えていました。他の肩書きについても検討しましたが、賃貸集合住宅であるグリーンホームズ新潟を一つのコミュニティと捉え、そのコミュニティのマネジメントを行なっていくという意味合いで「コミュニティマネージャー」がしっくりくると思い、この役職で活動することにしました。

ハードとソフトの両面から建築を設計し、地域づくりを行うために「コウダイ企画室。」として独立!

シェアキッチン「CROSS HARBOR」プロジェクトメンバー

シェアキッチン「CROSS HARBOR」プロジェクトメンバー(左から2番目が小林さん)

―現在は「コウダイ企画室。」として、フリーランスで活動を行っているとのことですが、何がきっかけでフリーランスで活動することになったのでしょうか。

グリーンホームズ新潟での活動や、その後行なったエリアリノベーション「松浜Rプロジェクト」や、シェアキッチン「CROSS HARBOR(クロスハーバー)」の立ち上げプロジェクトを行う中で、地域づくり活動の場が増えていきました。仕事の依頼が私個人宛てで来るようになったので、サラリーマンの頃にはできなかった、「仕事としての地域づくり」を担っていきたいと思い、フリーランスの道を選びました。

―「コウダイ企画室。」ではどのような取組をされているのでしょうか。

仕事の半分は工務店や設計事務所から業務委託や、広報支援、コンサルティング、プロデュース業務を行っています。もう半分は場づくり・まちづくりといった、地域づくりの活動をしています。

―印象深い取組はありますか?

一番印象に残っているのが「全日本茶豆サミット」ですね。私の出身地である黒埼の名産品「茶豆」を中心に据え、「茶豆をきっかけに未来をつくる」というテーマを設定し、イベントとして展開しました。「身近な地域で何かコトを起こすこと」を目標に始めた取組でしたが、結果的に仲間づくりのきっかけにもなりました。同年代や、自分より若い世代の方と話がしてみたくて。「バズるコトづくり」を意識し、若者が面白いと思うことを切り口にプロジェクトを進めていきました。そのためのツールとしてキャッチーだったものが茶豆で。「お茶目な茶豆」といったダジャレなど、とにかく面白さを重視してやっていくことを戦略にしていました。

この戦略が奏功し、初回茶豆サミットのInstagramを見た方が翌年の茶豆サミットにゲストとして登壇してくださったり、茶豆サミットの会場で「プロジェクトを一緒にやろう!」と意気投合したりと、地元の仲間が増えました。今でも茶豆サミットを通じて出会った人たちと仕事をしています。茶豆サミット以前は、建築分野の人たちとのつながりはあったものの、農業分野の方や福祉関係の方と何かを一緒にやる機会はなかなかありませんでした。「茶豆」や「黒埼」というキーワードから、農業や福祉といった建築分野以外のプロジェクトにつながったことは、すごく意味のあることでした。地域の中にある様々な切り口からつながりをつくっていくということが大事だなと感じましたね。

100の「いいね」よりも、10の「超いいね!」

―小林さんがまちづくりをする上での想いを教えてください。

私が意識しているのは、100の「いいね」よりも10の「超いいね!」をもらえるようにしたいということです。100人が「なんとなくいいね」と思うことじゃなくて、10人でも「それめちゃくちゃいいじゃん!」と、地域への愛を持って言える人たちがいる方を選択していきたいと思います。また、「変化すること」と「現状維持」のいずれかを選ぶなら、「変化すること」を積極的に選んでいきたいと思っています。

―仕事をしていく上で大切にしていることはありますか?

共感できるかどうか、です。地域づくりとは少し離れますが、この間、お寺にフードトラック(キッチンカー)を呼ぶという取組を行いました。グリーンホームズ新潟での取組を見てくださったお寺の住職さんが声をかけてくださって。例年であれば、お盆はお参りにきた檀家さんと本堂でお茶を飲んだり、世間話をしたりしているのですが、今年は感染症対策の観点からそれが実施できない。けれど、せっかく来てくださった檀家さんに何かしてあげたいという住職さんの思いに共感し、お寺の外で檀家さんのおもてなしをするという取組に至りました。様々な制限がある今だからこそ行うということに、すごく意味があったと感じています。グリーンホームズ新潟での活動からお寺にフードトラックを呼ぶことにつながった、波及していったというのはすごくありがたいことですね。

離れた地域とリモートで関わっていくことへの挑戦

―今、県内で気になっている地域はありますか?

気になっているというか、関わらせていただいているのが、糸魚川です。糸魚川では大火からの復興を掲げて、「リノベーションまちづくり」という取組が行われています。そこに初年度は参加者として関わり、二年目からは事務局として運営のサポートをしています。糸魚川は新潟市から車で2時間半かかる地域なので、時と場合に応じてオンラインを駆使し、リモートで関わることにも挑戦しています。

―どういった取組を考えていますか?

糸魚川市って、新潟市よりもずっと東京に近いんですよね。新幹線から降りたらすぐ眼前にまちが広がっているという立地なので、東京から来る人のワーケーションや仕事の場づくりができたらいいなと思っています。もちろん、新潟県内各地から糸魚川へ足をのばしてもらうということも意識していきたいです。糸魚川は県境を跨がずに、他の地域とは少し違う西日本の文化を味わえる地域です。身近な地域でありながら気持ちを切り替えて仕事ができる、そういうストーリーで、新潟県内の人にとっても面白いと感じられる場をつくっていきたいと考えています。

「不動産オーナー」とともに進める地域づくりを目指して

―今後の展望を教えてください。

 私は地域づくり、まちづくりのキーパーソンは、不動産オーナーだと感じています。不動産オーナーの意識が変わらないと、同じような建物ができたり、使われないものが増えたりしてしまう。不動産オーナーが愛を持ってその土地や建物を所有しているかというところがポイントだと考えています。私は幸い、土地や建物に愛を持っている不動産オーナーさんと出会うことができ、グリーンホームズ新潟も松浜Rプロジェクトも、想いをもったオーナーさんたちと仕事をすることができました。新潟県内でもそういうオーナーさんが増えていくことが大事だし、オーナーさんもそういう役割を担っているという意識をもってもらえるよう活動していきたいと思っています。将来的には、遊休不動産活用プロジェクトを推進するチームをつくり、新しい会社を立ち上げたいと思っています。

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