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新潟県女性のチャレンジサイト~事例紹介~「焼継江利子さん」

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:3013006 更新日:2022年4月1日更新

焼継江利子さんの画像
焼継江利子さん

~危機的経営状況から6期連続の黒字経営へ カギは「社員目線」で考える~
新潟文化自動車学校 専務取締役

かつては敏腕の営業ウーマン

 「自分のこれまでやってきたことを改めて見直してみる機会だと思って、今日のインタビューを楽しみにしていたんですよ。」と明るくインタビューに応じてくださった焼継 江利子さん。現在45人の社員を抱える新潟文化自動車学校の専務取締役として、幹部社員との経営改善会議、取引企業との打合せから経理まで幅広い業務をこなす毎日を過ごしている。
 生まれは新潟市秋葉区(旧新津市)。祖母に厳しく躾けられた。高校卒業後、アパレル関係の会社に就職するも、「誰がやっても同じことじゃなくて、自分だからこそできることをやってみたい。」と思い、営業の仕事に就く。当初は、全く売り上げることができなかったが、「あえてマニュアルに縛られず、そして他人の3倍は努力しました。」結果、全国2位の売り上げを達成した。
 さらに、「自分が達成するだけでなく、他人を育ててみろ。」との上司の言葉を受け、自ら手本を見せ、スキルを伝授。事務所全体の売上も全国2位まで押し上げた。
 その後も様々な職種を経験しつつ、現在の会社とは20年以上、関係のない生活を送っていた。

突如の専務就任、会社は危機的状況

 転機は突然だった。
 「平成24年、夫である社長が突然、病気で倒れて、急に経営に携わることになったんです。今まで会社の経営状況を聞いたこともなく、財務状況を見てみたら、2か月後の経費も払えなくなりそうな状況だったんです。」就任当初は3か月寝る暇もない程、厳しい環境に立たされた。最初は経理だけという約束だったが、立場上、会社全体の状況を把握し、見直しを進めていかざるを得なくなった。
 「会社全体の雰囲気や社員のモチベーション、その他にも給与体系を含めた人事制度など、ありとあらゆることを変えていかなくてはいけない状況でした。でも、業界特有の言葉の意味もわからなかったから、本当に一からのスタートでした。」真剣に話す口調からは、当時の苦労が伝わる。

『私が働いてみて楽しいかしら』

 まず、社員の話を聴くところから始めた。堰を切ったように、多くの社員からこれまでの会社に対する不満や不平を聞かされた。ただ、ひたすら話を聞き、謝るべきところは謝った。「2~3年後、『いい会社になったな。』と感じてもらえるようにするから待ってほしい。」と誠意を持って伝えた。「今まではトップダウンでやっていました。そうすれば楽な一面もあるかもしれませんが、それで本当に社員が活き活きと喜んで働いていると言えるでしょうか?」と話す。今では『恐怖のお茶会』と呼ばれている焼継さんと全社員が行う1対1の面談で、分かったことがあるという。「実は社員一人ひとりが色んな考えを持っていて、改善案を胸の内に秘めていてくれたことがわかりました。でも、それを気兼ねなく自由に伝えてもらえる雰囲気ではなかったんだなと反省しました。」
 人事評価についても、年齢にかかわらず頑張っている社員、縁の下の力持ちで支えてくれている社員がきちんと評価されるように改めた。
 「当初は幹部社員から「なぜ専務が現場の社員と話すんですか?」と聞かれました。そういう風に言われたこと自体にも驚きましたが、「私が社員だったら、その方がうれしいから。」と答えました。上司や同僚がしっかり一人ひとりのことを見てくれていて、「こういうことをしてくれて、ありがとう。」とか「いつも感謝してるよ。」などと声をかけ、待遇面でも評価する。そうすることで、モチベーションも上がり、もっと頑張りたいなと思ってもらえるでしょ。社員のモチベーションが好循環していくと思うんです。」
 「今では、本当に風通しがよく、社員同士がお互いを助け合い、感謝を忘れない、いい会社になったと思っています。固い言葉で言えば、お互いが「信頼」され「承認」される、少し柔らかい言葉で言えば、「ハートが温かくなった」という表現になるんでしょうか。」と嬉しそうに話す。
 「経営状況についても情報開示して、みんなで理解して、お互いに納得する。社員を信頼しているからこそ、伝えることができるんです。」

「柔らかな」心で

 「男性」の経営者との違いについて尋ねてみたところ、「男性は弱いところを見せない、他人に頼りたくないというようなところがあるのではないでしょうか?私は誰かに頼ったり、意見を聞いたりすることに関しては『天才的』だと思っています。」と笑いながら話す。続けて、「出産や子育ての経験が、他者をもてなす心だったり、柔和な心を育むのかもしれません。」とも語ってくださった。
 そんな心が社員にも伝わっていった。女性の指導員について、場合によっては体調面を考慮して、勤務体系で配慮しなくてはならないこともある。当初、否定的に捉えていた男性社員も、現在は率先して勤務面でのサポートや助け合う姿勢を見せてくれるようになった。

一緒に山を登ろう!

 自動車学校を取り巻く環境は厳しい。免許取得者は、県全体で毎年1,000人程減少し、人手不足も深刻だ。それでも「会社が潤い、社員にもいい人生を送ってほしい。みんなで山を登り、美しい景色を見たら、美味しいお弁当を食べたら、その喜びを共有したいなと思っています。」と前向きだ。
 「地域社会にも貢献したい。」とも語る。「自動車学校として、社会のニーズに応えて高齢者講習にもしっかり対応したいと考えています。また、地域のお祭りに車両を貸し出したり、寄付もさせていただいています。動物愛護や児童虐待に関する問題にも関わっていきたいです。」

チャレンジするあなたへのメッセージ

 女性ならではの柔軟性を活かして、上手に周りに頼りながら、楽しんで仕事をしてください。
 女性ならではの華やかさを活かして、職場も地域も明るく照らしてください。
 志と能力を持っているからこそ、天があなたにそのポジションを与えたのだと思います。
 皆さんなりのやり方で、自由闊達に個性を活かして頑張ってください。
 女性の皆さんが活躍されることを大いに期待しています。

新潟文化自動車学校<外部リンク>

(平成31年1月取材)

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