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第1回  地域おこし協力隊と地域住民インタビュー(諸岡龍也さん/妙高市地域のこし協力隊)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0040684 更新日:2019年3月29日更新

 新潟県内で活動する地域おこし協力隊の活動地域を訪れ、協力隊員の活動の様子や地域への思いに焦点を当て、インタビューを通じて紹介することにより「地域おこし協力隊って何?」を知っていただくコーナーです。
 また、このインタビューでは、協力隊員をサポートする地域住民の皆さんにもスポットを当て、協力隊員への思い等についても併せて紹介します。

 記念すべき第1回は、妙高市地域のこし協力隊の諸岡 龍也(もろおか たつや)さんに注目し、インタビューを行いました。

諸岡さんが協力隊になるまで

諸岡龍也さん(妙高市地域のこし協力隊・2年目)の画像

諸岡龍也さん(妙高市地域のこし協力隊・2年目)

 大阪府で12年間、保育士として働いていたときに、保育園の中だけにとどまるのではなく、自然体験活動を軸にした子育て・保育を行う「森のようちえん」に興味をもち、「本場の森のようちえんを知ろう」と思い立ち、休暇を使いデンマークへ。
 デンマークでは、自然に囲まれ、子どもたちだけでなく、大人も輝いている様子を目の当たりにし、国の制度自体も日本と違うことを実感する。
 また、阪神淡路大震災での被災経験や、東日本大震災の際にボランティアとして働いた経験もあり、徐々に自然の中でたくましく生きることに関心をもつようになるとともに、「人としてもっと豊かになりたい」と思うように。
 「自然」というキーワードのもと、保育士を辞め、一転、妙高市にあるアウトドア専門学校に入学。妙高市の市街地で暮らし学校に通っていたが、あるとき、瑞穂地区の空き家見学会に参加したところ、現在住んでいる家を見つけたという。
 その時お世話になったのが、現在世話人として諸岡さんをサポートしている作林一郎さんと飯吉慎一さんをはじめとした地区の皆さんだった。それが諸岡さんと瑞穂地区の人たちとの出会いとなった。
 その頃の瑞穂地区は、少子高齢化に向かいつつある現状に向き合い、まさにNPO法人を設立して「これから動きだそう」としている、「過渡期」だったという。
 瑞穂地区の人たちは、一緒に遊びながら色々なことを諸岡さんに教えてくれたのだという。そのうち、諸岡さんは「このまま地域にいて、皆さんに何か返していきたい」と思うようになった。

協力隊としての活動地域:
 妙高市瑞穂(みずほ)地区担当・新井南部地域を中心に活動中。

諸岡さん、瑞穂地区で活躍中!

― 本日は、妙高市地域のこし協力隊の諸岡龍也さんと、世話人の作林一郎さん、飯吉慎一さんのお2人にもお集まりいただきました。よろしくお願いします。
 それではまず、諸岡さんの協力隊としての業務(ミッション)を教えてください。

(諸岡さん(以下、敬称略))募集時の活動内容は、NPO法人の活動支援。農業、農産物の商品開発、販売促進、耕作放棄地の活用支援、地場産業の振興支援、民泊推進のための受入調査、各種プログラム開発、空き家対策・・・その他たくさんですね。
 これ全部できたらスーパーマンですけど、こういうことが求められているんだなというのは頭に置きつつ、自分なりに特に必要なのかなと思う活動から行っています。

看板製作

(1)看板製作

しめ縄づくり

(2)しめ縄づくり

活動中の写真もお持ちいただきました。それぞれ、どんなことをしている場面ですか。

(諸岡)1枚目(看板製作)は、NPO法人で始めた直売所の看板製作の依頼を受けたのでデザインをしたのですが、その看板を緊張しながら書いているところです。

 2枚目(しめ縄づくり)は、NPO法人の活動で、スゲを使って作った「しめ縄」を地域内から注文を受けて作ったときのものです。後々、地域外にもどんどん売れたらいいなと思いますし、しめ縄づくりの体験を通じて瑞穂地区のいいものを使ってこういうことができるんだということを伝えたい。
 田んぼの中に生えているスゲをみんなで探して、雑草とスゲを分ける作業をしました。注文も地域内では50本以上入っていて生産が追いつかない状態なので、そこは今後の課題ですが、嬉しい悲鳴です。

地元産こんにゃく

(3)地元産こんにゃくのPR

田んぼ

(4)田んぼでの作業

(諸岡)3枚目(地元産こんにゃくのPR)は、こんにゃくを食べているところですが、このこんにゃくも、NPO法人が地場のこんにゃく芋から作って製品として直売所や道の駅に出して売っているものです。
 これはイベントでこんにゃくを出展したときのようすです。今は地元の人にも生産を依頼して、今後生産をより広げていくということに取り組んでいるところです。そこで自分は「商品目線」(こんにゃくが意思をもったかのような目線)での製作工程の動画を作っていて、少しでも注目してもらえるきっかけにできたらと思っています。

4枚目は、田んぼでの作業をしているところですが、江戸時代のように、耕すことから手作業で行う農業に挑戦しています。何も米のことがわからないので、まずは自分の手でやってみようと思い、住民の方に田んぼを借りているんですが、今年、水害で田んぼの畦が崩れてしまって・・・。それも地域の人の助けがあってしっかりと修復をしていただいて、今は田んぼが復活し、稲もすくすく育っています。

いきもんGOの画像1

(5)川のイベント「いきもんGO」

いきもんGOの画像2

(6)川のイベント「いきもんGO」

(諸岡)5,6枚目は、川のイベント「いきもんGO」の様子です。このイベントは、ただ生き物を見つけるだけじゃなくて、川の水辺にいる生き物によってその川がどういう川かが判断できるので、見つける楽しさに加えて、学びの要素も併せたイベントにしています。「レア」な生き物を見つけようと、子どもだけでなく大人も必死になってやっていました。
 このイベントは、アウトドア専門学校で学んだことが活きているし、「この川は入っても大丈夫」とか、地域に住んでいるからこそ得られる知識が活きていると思います。


諸岡さんは隊員として2年目ですが、1年前と比べて変わったことはありますか?

(諸岡)地域の人たちが「ああ、あの兄ちゃんか」という反応をしてくれて、「おまえ誰だ?」って言われることが少なくなりました。知ってもらうきっかけになっているのが、南部全体を舞台にしたランレース「MURA18」。これは、使われてない林道等を走って南部を走って旅する大会です。
 開催にあたって、18の集落にお願いしに行かないといけないし、地域の人たちにところどころでブースを出してもらうお願いをしたりしていて。でも、このイベントは2回とも大雨で・・・。嵐を呼ぶ男と言われて認識されたりして、「このイベントをやっている人」として顔を覚えてもらえるようになりましたね。

様々な活動の中で、達成感があった活動は何ですか。

(諸岡)今、作林さんの指導のもと、酒米づくりに挑戦しています。これがすごく楽しみです。
(作林さん(以下、敬称略))種まきから教えているんです。諸岡さんは、ちょっと教えたらすぐ覚えてくれて。
(諸岡)この田んぼで作った五百万石を地区内にある酒蔵の鮎正宗さんに買い取ってもらって、いつかはここのお米で作った酒を造りたい。まずはここで作ってみて、地域に酒米づくりを広げていけたらいいなと思います。
 他の活動でいうと、「いきもんGO」。ただ網持って、川をがさがさして、見つけた生き物をバットに上げて、図鑑見てもわからなかったら自分が教えたりします。宝さがしみたいな感覚のイベントです。
 これは、毎日問合せがあるくらい人気でした。子どもを川で遊ばせたいけど、どこの川が良いかわからない親からの問合せが多かったです。ここは、地形的に川が集中している場所。だから災害も多いけれど、そのフィールドがあるのはこの地域の強みだと思ったので、体験できる場所として活用することを考えました。やってみたら大人気で。高校生や、大人も楽しんでで参加する人もいましたし、子どももそうですが親も川遊びを求めているんだという気づきもありました。
 あと、このイベントには地域の人にお願いして作ってもらった豚汁とおにぎりが付くんですが、おいしいので、参加者からどうやって作るんですかとか地域の人に聞いていたり、そこで交流がうまれたりもしています。

諸岡さんにとって、この地域で最も印象的なものは何ですか?

(諸岡)「水」です。今日も自分の家の裏の湧き水を持ってきたんですが、周りの人は井戸水を家の中に引いて暮らしたりしているし、昔は豆腐屋やところてん屋があって、川や田んぼも多い。
 暮らしてみて思ったのは、災害が多いこと。それに抗いながらも、たくましく生きている皆さんが「かっこいいな」と思います。特に田んぼは、自分も農作業をしているので直に感じることですが、地域の皆さんは田んぼのことを一生懸命考えているし、あきらめない。それが自分の求めていた姿で、周りの人たちの生き方が勉強になります。

地域の皆さんの姿は、デンマークで見た「輝いている大人」に近いのでは。

(諸岡)デンマークで見た光景の日本版を作れたらいいなと思います。自然と近い暮らしで学んで、そして心地よい場所をこの南部地域で作っていきたいし、夢です。それに向けて、自分なりの、地域の人と協力してできる「引き出し」を増やしていっているところです。

瑞穂地区の皆さんから見た諸岡さんは

次に、世話人のお2人にお聞きします。まず、瑞穂地区に協力隊を受け入れた経緯を教えてください。

(作林)去年の2月にNPOが設立され、事業の柱は、山菜などの資源を使って商品をつくって販売すること、国道沿いに道の駅を作るための取組、地域の交通・バスを走らせようという事業。それらの手伝いを協力隊にしてもらおうと思っていたタイミングに、ちょうど「あそこにいい兄ちゃんいるな」と見つけて。(諸岡さんに)どうだろうと、話をしたらやってみても良いよと返事をもらって、早速市に話をもっていって、応募してもらった。まったく知らない人ではないから、動きやすいし、親しみやすくもあった。そのおかげで、お互いに良い協力関係が築けているんじゃないかな。
 そして、理事会の中で、行き詰まっている課題や取組の進捗状況を諸岡さんから地域の人に発表してもらう場を時々設けて、地域の人により深く理解していただけるようにサポートしています。また、それを記事にして全戸配布もしています。
 うちは業務内容としてこれ(NPOの取組)全部やってよって、欲張って書いて募集していたけど、ある程度、こんなふうに地域としての目標をもって隊員を受入れしないと、なかなかうまくいかないんじゃないかと思っている。それがないと、途中でいなくなったりするケースも出てくるんじゃないかな。
 うち(瑞穂地区)の場合、そういう意味では丁度よいタイミングだった。道の駅構想もあるし、NPOもできたし、いろんな思いが地域から出てきて動きだそうとしていたときに協力隊に来てもらったのが良かったと思う。

諸岡さんが瑞穂地区に入った感想を教えてください。

(作林)諸岡さんは、人柄が親しみやすく感じるのが良い。積極的に物事に取り組んでいて、地域の人からの評価も高い。
(飯吉さん(以下、敬称略))住民の人たちの孫、子ども、兄ちゃん、弟という感覚。お年寄りが大好きで、食べ物をおいしく食べる。「おいしそう」ではなく、本当においしく食べていて、その表情を見てお年寄りも喜んで「もっと作ろうかな」となっている。少しずつお年寄りの生きがいも生まれてきているのかなと思います。
 あと、移動販売車に諸岡さんが付いて回っていたときに、おばあちゃんたちが「諸岡くーん!」って呼んでいたんです。おばあちゃんたちがこんなに大きい声を出すことなんて、この地域ではなかったと思う。それだけ、少しずつみんなが元気になってきているのかなと思う。彼の日々の行動の積み重ねの結果がそういったところに、見えてきていると思います。

諸岡さんの世話人は2人いらっしゃるのですね。

(作林)一般的には、地域の長が世話人になると思うのですが、年齢が近くて話しやすい人が良いと思って、飯吉さんに面倒見てもらうことをお願いしました。そうした方が、活動しやすいと思って。
(諸岡)活動しやすいですね。2人いることで気持ち的に楽だと思っていて、普段の細かいことは飯吉さん、地域全体のことは作林さんに相談するなど、内容で使い分けているので、地域の窓口が2つあるというイメージ。
(作林)協力隊を受入れしたいと思ったきっかけとなった、行ってもらいたい業務はいっぱいあるんです。だけど、その中でも諸岡さんの一番得意とする分野に取り組んでもらいたいと思う。ラベルのデザインや看板の製作をお願いしたり、諸岡さんの得意分野を活かしてもらっています。

インタビュー風景の画像1 インタビュー風景の画像2

LINE講座も地域内でやっているとお聞きしています。

(諸岡)NPOと協議会が行った住民アンケートの中で、情報伝達の改善、交流の場が少ないという課題が出てきたんですよね。そんな中で自分に何ができるかと考えたときに、50~60代の層にとっての情報伝達の向上を図ろうと思って。そこで始めたのがLINE講座です。
 8回やって61名の方が参加してくれた。情報伝達できる人が何人か地域にいれば、後々広がっていけばどんどん変わっていくその基盤になると思ってやっていました。みなさん楽しみながらやっていて、最後はLINEスタンプまで作りました(笑)。
 地域の人からは、Facebook講座をやってくれという声もありますが、幅が広がりすぎて教えるのが難しい・・・。でも、興味のある人はいると思うので、今後やってみても良いかなと思います。

地域の人から次々と要望が出てくるようですね。

(諸岡)自分に声が上がるのは、何してよいかわからないよりは良い。それから自分なりに考えたりとか、調整したりとかしています。言ってくれるのは有り難いことだと思う。しかも地域の人が、自分に言ってくれるというのは嬉しい。
 うまく使われたら嫌だというのではなく、信頼してもらわないと言ってくれないのだから、言ってくれるのは良いことととらえています。でも皆さん、無理はさせようとしないのを感じますね。

諸岡さんに今後期待することは何でしょうか。まず、作林さんから。

(作林)3年経ったら定住してもらいたい。道の駅構想の中心的な仕事をしてもらえたらなと。それだけじゃなくて、多業ということで、農業もやってもらえると嬉しい。諸岡さんはすごく性格が良いし、行動力もあるので。
 一番びっくりしたのが、各公民館の集会所に、黒板を置いて、行事予定とか描いたり、こんなことをやりましたよとか、写真を貼ったり、各集落への情報発信を黒板でやってくれているんだよね。年寄りの間では「また何か描いてあるね」と話題になっている。そんなこともやってくれているから、地域内での存在感がちゃんとある。
(諸岡)自分の活動を知ってもらうのが狙いですね。どんな活動しているかわからないと言われるのは嫌だから、黒板に描いている。地域内情報発信は絶対必要だなと思ったので。回覧板で月1新聞で回しているんだけど、回覧板は早く回ってしまうので・・・。
(作林)回覧板は、世帯主しか見ないんだよね。瑞穂協議会だよりも回覧で回していたんだけど、どんな議論があって結果はどうなったかまで書いて、全戸配布することに変えた。無駄かも知れないけど、お年寄りはスマホでなくまだまだ紙ベース(が主流)。

(飯吉)彼が最初に「蛇の中で一番おいしいのはシマヘビで、肉厚でおいしい」と言っていたのが印象的だった。学生時代に食べていたらしいのですが(笑)。
 まず、蛇を食べるという感覚がなかったし、周りにあっても食べようと思わない。あと、この辺りで水が湧いてるのは当たり前だし、米のおいしさや鮎正宗の酒がおいしいのはみんな当たり前だと思っているので、そこで我々も発想が止まっちゃってる可能性があるんだけど、彼はこの地域に残っている資源や魅力、財産を教えてくれて、再発見させてくれてるのかな。これからもそういうものを増やしていってほしい。
 また、彼はここにある色んなものを活用して人を呼べるような、かつ地域の人を巻き込んだ体験プログラムの案を持っているので、そういったものを続けていってほしい。そしてそれを道の駅などにつなげていければいいのかな。
 地域でのバックアップはおもにこの2人(作林さん、飯吉さん)がやっているんですが、あと、やっぱり地域のキーマンは女性だと思います。彼には3人ほど、面倒見てくれる女性がいる。お年寄りが地域には多いんですが、おばあちゃんたちが多いんですが、おばあちゃんたちと我々(男性たち)はそう多く付き合いがないんですよね。女性とつながることで、おばあちゃんたちの情報が入ってくるというのもあると思いますので、女性たちとのつながりも持っている彼がいるのは地域にとって心強いです。
(諸岡)おばあちゃんたちのお茶の間に顔だしたりとか、あとは頼まれごとをきいたりしています。おばあちゃんたちからは色んな話が聞けて、地域のことがすごくよくわかる。
 52年くらい前の鮎正宗音頭というものがあって、NHKの連続テレビ小説「おはなはん」と鮎正宗のコラボお酒を出したときに作られたレコードで、なぜかこの辺の地域の人が一番歌えるのがこの歌なんですよね。
 レコードをCDに落として、歌詞をコピーしたので、今度また歌ったりとかしたいなと。あと、踊る人もいましたね。今度のお祭りの時とかに歌を披露できるように、おばあちゃん方に提案したいなとも思っています。
(作林)(今週末の)敬老会に間に合わないかな?流すだけ流してみようか。流せば踊り出すかも。諸岡さん、9日来るよね?(諸岡:はい)これ持ってきて。
(諸岡)わかりました。こんなのも、面白いなと思っています。

諸岡さんが地域の人が気付かなかったものを再発見している様子が伝わってきますね。

(作林)飯吉さんのお父さんと私たちが「瑞穂を考える会」を立ち上げて、色々地域の宝探しからしていたんだけど、(諸岡さんが)その頃地域に来ていればよかったのに。そうすれば、随分変わったと思うよね。ここまで高齢化して人口が減ってきちゃうと、各集落の維持さえ厳しくなってきつつあるんですよね、この地域も。その中でこの地域をどうしていこうかって、そのへんの構想も打ち出してはいるんですけどね。
 今は9人の役員で組織を動かしているけど、今後はそれも難しくなる。180戸くらいあったのが、今は103戸。しかも、1人暮らし、2人暮らしの家庭が多いんですよ。去年やった調査で、例えばあと5年後、田んぼで米を作れる人って集落に何人いるかなって調べたら、恐ろしいことに、自信を持ってできるって答えた人、18人しかいなかったんですよね。やっぱりそういう環境になってきちゃってる。だから、ここで生活していける基盤を作りあげていかないと、ここでは住めなくなってしまう。ここには、店が1軒もないんだから。生鮮食料品も、店がないから買えない。それで移動販売車なんかも走っているわけですし。
 あとは交通の問題。高齢者が病院行くとか、買い物に行くといっても、運転免許を返上してしまったらなかなか行けない。他人事ではなく自分の問題になってきた。だからバスとかも自分たちで地元でやれれば、時間やコースも自分たちで作れるわけだからしっかりやろうと、NPO法人で今取り組んでいるんだけど、まあなかなかうまくいかないんだけどね(笑)。

地域への思いと、これから

諸岡さん

諸岡さんにとって、地域おこし協力隊の魅力とは何でしょう。

(諸岡)協力隊ってなると、最初、地域の人にも抵抗があって。でもそれがどんどん顔見知りになって、ほどけてくると、受け入れられてる、必要とされてるっていう感覚が出てきて、それが生きがいになったりとかやりがいを感じたりとかします。
 あと、地域の皆さんからよく「ありがとうね」とか、「よくやってるね」とか言われるけど、自分は逆に皆さんに教えてもらっているので、感覚的にはこちらがありがとうと言いたいくらいなんですよね。そういうところで、やりがいも感じるし、しかも自分は生きる術、生活のたくましさを教えてもらって、少しずつ成長していけてる。それが自分が求めてきたところだったので、ありがたいと思う。地域の皆さんからも感謝されるし、お互いに「ありがとう」と思える関係になれる。こんないい仕事ないんじゃないかなと思います。地域の人からしてみると、まだまだ自分には足りてない部分も大きいと思うけど、これからもっと関係を深くしていけたら、もっと面白くなるんじゃないかなと思います。

諸岡さんの、瑞穂地区への思いを教えてください。

(諸岡)地域の人にたくさん教えていただいているので、自分がどれだけ地域の人たちに恩返しできるかを大事に活動していきたい。そして、ちょっとでも自分が来て良くなったわと言ってもらえる活動ができるように、動き続けるしかないと思っています。その言葉で頑張れるところはあるので。皆さんのこうしたいという思いがあればサポートしたいし、自分もこうしたいと思う活動も増えてきているので、それを一緒にできる仲間や、集落の人を増やしていけたらなと。集落だけでなく、南部地域を活用していきたいなという思いがあります。

諸岡さんに定住してほしいという地域の皆さんの希望もあるようです。

(諸岡)3年後も住んで活動し続けたいと思っています。自分はここにいたいと思うし、妻の活動拠点は向こう(津南町)にありますが、お互いに思っているのは、お互いの地域同士も関わりたいということ。活動がぐっと(軌道に乗って)なっていかないと地域の外にはいけないけれど、地域間をまたいで活動拠点がある人、雪国と雪国をまたいで活動するライフスタイルの人っていないと思うんですよね。そこでさらにお互いの地域を知れたり、交流が生まれたりしたら本当にすごいことだと思う。それはまだずっと先のことだと思うけど。まずは互いの拠点で自分の活動の足固めをしていかないと、と思っています。
 瑞穂地区の人たちには、妻もお世話になっています。自分も妻も、お互いの地域で「また来てね」って言われるのがすごく良い。受け入れてもらっていると感じます。こんな風に、お互いの地域を1時間半かけて行き来して活動を続けていけたらと思っています。
 子どもが2人生まれたら、こっち(瑞穂地区)でも自分が育てたいと考えたりしてはいます。どっちかに拠るという感覚よりも、互いの拠点で活動しながら、乗ってきたなとなったら、ちょっとずつ関わっていったりとか。
 今は2人ともまだまだだけど、そんな暮らし方もあるという、ライフスタイルの柔軟性もひとつの自分たちのウリなんじゃないかな。皆さんにどう思われるかわからないけれど、お互いに出稼ぎというか、単身赴任しているというイメージ。
 今、自分は妻にイベントのチラシデザインの仕事を依頼したりとか、逆に自分は妻の古民家改修を手伝ったりとか、そういったお互いの地域の小さなことをしながら、どっちの地域もよくなるようにとお互いに思っています。ある意味欲張りなんですよ。

諸岡さんの画像2

今後の目標をお聞きします。

(諸岡)ここでのお酒を造れたら嬉しいし、それを地域の皆さんと飲みたい。それがここで一番やりたいことですね。
 皆さんと作ったお米と、鮎正宗さんに作ってもらったお酒で、皆さんと飲んで、これ持ってどっか行こうぜ!って、そのお酒をひとつの武器としてこの地域のアピールができたらめちゃくちゃ強いと思う。そんなお酒ができれば、どこにでも持って行ける気がするくらい。美味しいお酒になると思う。

 また、このイベント(MURA18)の第1回の時に自分の出身地の大阪で飲食系の経営者をしている友達が出展してくれたんですが、「妙高のお酒うまいから店で取り扱わせてくれ」と言われて。その友達の店に、鮎正宗さんがお酒を置いてくれていたんですよね。その友達が、今年また新しく店1つ出すということで、そこには妙高の酒しか置かないって言ってくれて。
 それで、かんずりさん、鮎さん、君の井さん、千代の光さんに全部アテンドしたのですが、普段から私の活動を応援していただいていて、少しでも企業さんに自分からちょっとでも返したいなという気持ちからで。今はその友達は実際、かんずりを焼き鳥に付けて食べるお店を大阪の中心にオープンさせています。
そうやって、自分が瑞穂地区に来たことで、新潟のおいしいものや魅力が外に出て、妙高のファンが増えたら嬉しいと思う。そして、少しずつでも、妙高のここ(瑞穂)も外の人に知ってもらえたら嬉しいし。そうやって自分を使ってもらえたらそれは有り難いし、嬉しいと思います。

地域外から来た人ならではの外とのつながりを持っていることと、日々地域の中で関係者と接しているからこそ、その2つをすぐにつなぐことができたということでしょうか。

(諸岡)自分がイベントをやる理由はそこで、妙高のファンを増やすためにやっている。走るイベントをやりたいわけではなくて(笑)、大会に参加することで妙高の美味しいものと自然を知ってもらいたい。コースも、地元の人が「あんなところ走るの?」と言うようなコースを走ります。
(作林)今年で3回目かあ。コース作り大変だよね。
(諸岡)大変です。整備っていうかもう、崖崩れが・・・。そういう苦労もあるけど、ここでしか見れないものだし。

(諸岡)それから、愛(愛着)をもって地域に関わってくれる人(仲間)を増やしたいのが大きな目標ですね。そういう人と一緒に関わって、ここの人たちの暮らしや生き方をかっこいいなとか素敵だなと思うことによって、地域の人が普段の暮らしの良さを見直すきっかけになるので、そういうことを仕掛けていけるようなものを考えていきたい。
 最終的には、これは大きな目標ですが、人を地域で育てるような、学校じゃないですけど、生き方や暮らしから学ぶ場所というのを南部でできたら面白いんじゃないかな。それをやれば長期滞在もするし、もし気に入ったら住んでもらえたりとか、地域に通える色んなハードルを作っていければ。
 地域にはまだ、居られる場所が少ない。単発の短期イベントだけではなくて、長くいてこの地域を感じられるような、定住の1個前、2個前くらいからスタートしてちょっとずつ気に入っていく・・・っていう、自分もそうだったから、その受け皿となるのも今後の自分の役割なのかなと思います。

それでは最後に、世話人のお2人から諸岡さんにメッセージをお願いします。

(作林)ぜひ3年後は地域に残ってほしいね。それくらい地域のみなさんからの期待も高い。
(飯吉)午前中も(諸岡さんと)一緒にいたので・・・(笑)。
(諸岡)そう、いきもんGOのイベントを手伝ってもらっていたんで、稼いだお金を地域の手伝ってくれた方にバックするつもりだったんですけど、ただお金渡すだけよりも何か面白い体験でバックできたら面白いんじゃないかと。それで、自分はカヤックができるから、「カヤック体験しませんか?」って言って(笑)。ため池で、メダカ捕まえたりして。
(飯吉)メダカ、いっぱいいましたね。
(作林)へえ~。
(諸岡)ブラックバスもいると思います。
(飯吉)そんな感じで、午前中一緒にカヤックしていたんで、改めてのメッセージは特にないです(笑)。
(作林)こうしてちゃんと相談相手になっていただけてて、飯吉さんにも感謝していますよ。

諸岡さんと地域の皆さん

諸岡さん(写真中央)と作林さん(同左)と飯吉さん(同右)

諸岡さん、作林さん、飯吉さん。ありがとうございました!

編集後記

 このインタビューで、諸岡さんが自らの特技や発想を活かして地域でのびのびと活動していることがわかりました。それは世話人のお2人を始めとした、地域の皆さんからの活動しやすいようなサポートや、励ましがあるからだと実感しました。
 そして、諸岡さんがこの地域を心から好きで、住民の皆さんへの憧れをもっていることがこのインタビューを通じて伝わってきました。それが本当に地域を良くしたい、地域に何かを返したいという行動力にもつながっていて、そして諸岡さんの気持ちが住民の皆さんにも伝わって、皆さんを元気にしていっているという印象を受けました。
 まさに、地域の皆さんと諸岡さんの「お互いにありがとうと思える関係」が垣間見えるような、素敵な時間になりました。ありがとうございました。

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