ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 組織でさがす > 知事政策局 地域政策課 > 【第17回 ピックアップ!地域づくり人】本間 莉恵さん(新潟市/NPO法人みらいずworks副代表理事)

本文

【第17回 ピックアップ!地域づくり人】本間 莉恵さん(新潟市/NPO法人みらいずworks副代表理事)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0040702 更新日:2019年3月29日更新

 今回ご紹介するのは、社会、地域、学校で子ども達のキャリア教育に関する活動を行う「NPO法人みらいずworks」の副代表理事 本間 莉恵(ほんま りえ)さんです。

環境から教育へ、みらいずworks立ち上げ

第17回地域づくり人 本間 莉恵さんの画像

第17回地域づくり人 本間 莉恵さん

 本間さんは環境や建築に関する興味から、都市景観やまちなみ、公園等を設計するランドスケープデザインを専門に学んでいましたが、新潟で一緒に環境を勉強する仲間がほしいとの気持ちから環境教育に関するボランティアを始めます。

 「都市デザインを今後の仕事にするより、地元の方々と関わりながら地元の一人として一緒に環境を考える方が自分に合うと思った。」と話す本間さんは、早朝の福島潟を散歩した後、参加者の方々で朝食を囲む活動(「かたごはん」)を始めます。今では150回以上の活動を重ね、「この活動が、今の自分のベースになっているし、自分の「地域づくり」という意味では大事にしていきたい。」と本間さん。

 また、自然を解説する仕事に携わった際は、環境教育プログラムを作成する経験などを経て、「子どもへの教育が地域づくりや社会づくりにつながる」という思いや「次世代にどう環境に目を向ける大切さを伝えたらいいか」という観点を持つようになったそうです。
この二つを経験し、「環境」を軸にして「地域づくり」と「教育」に関わった事が今の仕事につながっているようです。

 その後、新潟NPO協会で「地域活動体験コーディネーター」として活動していた本間さんですが、現「NPO法人みらいずworks」代表理事の小見まいこさんから「学生の頃から将来を考えるキャリア教育事業をしたい。」と相談を受け、「じゃあ何かやってみようか。」と動き出した2人はその後、任意団体の「みらいずworks」を立ち上げます。

 本間さんは「みらいずworks」の活動を「やりたいことの多くは、形にしてきました。最初はスタッフが2人しかいない状況だったので、発案から実行までがとにかく早かったですね。これやってみたいね、じゃあやろっか、みたいな感じで。時間が今までの5倍速で流れていく感覚でした。」と振り返ります。

地域に根ざした教育を!

「教育ファシリテーション入門」の様子の画像

「教育ファシリテーション入門」の様子

小見さんと本間さんがめまぐるしい日々を過ごしながら拡大していった事業は、「自分から 自分らしく みんなとともに 社会をつくる人を育てる」という理念のもと、大きく3つの柱に集約されます。

 一つ目の柱は、「自分軸」と「社会軸」が育つキャリア教育の推進。
「自分軸」とは、自分は何が好きか、得意か、求められているかを深めることで育つ、自らの生き方の軸であり、そのような「自分軸」を通じてさらに人と関わり、社会とつながっていく「社会軸」を育てていくことで子ども達の自立を促しています。この取組の中では、子ども達自身が様々な意見やアイデアをまとめるため、ファシリテーターとなり得るような「人の話を聞くこと」「深める質問をすること」などの話し合いのスキルもレクチャーしています。
 また、年に一度発行する中高生向けキャリア教育マガジン『みらいずBOOK』では、同じ新潟に住む身近な企業の若手社員が、仕事ややりがい、挫折や失敗の経験など熱い思いを語っており、子ども達が将来を考えるきっかけ作りになっています。この功績が認められ、『みらいずBOOK』は新潟県異業種交流センター主催の「第14回 地域活性化大賞」で大賞を受賞しました。

 二つ目の柱は、子どもの学びを支えるネットワークの構築。
これからの学びは、学校の中で教科書を用いたものに加え、地域で抱えるリアルな課題などを取り入れていく時代になっていくことを踏まえ、地域と連携した学びをサポートしています。
 この取組としては、子ども達に地域が抱える課題を「ミッション」として与え、その課題の解決策を考えさせる授業などを行っています。子ども達はこのような経験を通じて、地域のために頑張っている大人がいることを知るだけでなく、「自分も地域のために何かしたい!」という気持ちが芽生える様子が見て取れるそうです。

 三つ目の柱は、社会に開かれた教育課程・学校づくりの支援。
この取組では、子ども達に対する取組のほか、先生に対するサポートも行っていて、例えば、子ども達の主体的な学びのために授業を改善する研修を実施しています。
 また、子ども達に対しては、新潟市の市立高校を対象とした市役所インターンシップの企画などを行っています。実際に市が抱えている課題に対して高校生が提案する解決策には、職員では考えつかないような発想が出ることもあるそうです。高校生からは、「課題を考えるのは難しいけど、一つのことからつなげると解決策が見えてくるのが面白い。」という声や「もしかしたら実現するかもしれないことを考えていくのが楽しい。」といった感想が寄せられているそうです。

 授業に参加した子ども達から寄せられた感想の束も見せてもらいました。「目の色が変わったなと思ったのは『今できることを見つけて挑戦する。』と書いてくれた子で、自分の将来が見つかってないことにすごくモヤモヤ焦っていたようでしたが、『明日からの一歩ぼーっとしてられない!』とも書いていまして、心に火が付いたなと感じましたね。」など、一枚ずつ大切に見ながら嬉しそうに話してくれた本間さん。

 「みらいずworks」は、「社会」「地域」「学校」という三つのフィールドの中で、地域や学校と連携しながら、未来へ踏み出す子ども達のために様々なアプローチで働きかけを行っています。

誰もが話し合える地域のために

未来のマナビフェス@東京での事例発表の画像

未来のマナビフェス@東京での事例発表

 インタビューでは、様々な質問をしっかり受け止め、一つ一つ丁寧に答える本間さんの姿勢が印象的でした。

 子ども達が地域を好きになり、この地域で暮らし続けたいと思ってもらうためには、「身近な大人ほどじっくりと自分の地域について語ってあげてほしいですね。仕事だったり生き様だったり。親が子どもに対して、良かれと思って『こんな田舎早く出た方がいい』なんて言うことがありますが、住んでいる大人一人一人が、地域を卑下せず誇りに思って、『ここでこんなふうに楽しく暮らしている』ともっともっと言ってあげたり。また、そういうふうに生きていれば、子どもは大人達の背中を見ているような気がします。学校の先生だけではなくみんなが教育者というか、子ども達に影響を与えていると思っています。」と本間さん。

 また、「学校の先生は学区に住んでおらず、地域をよく知らない場合が多いので、先生に地域に関する数値や課題などの実情を積極的に授業の中で取り入れられるように働きかけてほしい。」「新任の先生方に対して教育委員会とNPO法人が協力してバスツアーをするとか、一緒に子ども達を育てて行きましょうと伝える仕組みがあると良いのでは。」などを話してくれました。そうした活動を通じて、先生が作る教材が豊かになり、子ども達がリアルな課題に取り組めるようになると言います。「子どもの発想ってそのまま地域づくりに活かせるものになると思っていて、総合学習の結果を学校内で発表して終わりはもったいないので、地域に向けた発表を行い、取り入れてもらうといいと思います。まちづくりの取組みも、子どもを中心に行うと、うまくいく部分もあると思います。そこをもっと行政も意識してもらえると地域づくりももう一歩進むのでは。」と提案してもらいました。

 最後に「本間さんにとっての理想の地域とはどのようなものか?」を伺いました。
「何か課題を解決するとき、自分以外の人や行政に任せっきりだったり、他人事に捉えていたりする人が多いと思うんですよね。そうではなくて、みんなが自分事として話し合える地域にしたい。子ども達にもそうあってほしいと思っています。」

 地域のために、子ども達のために何ができるのか。冷静に分析しながらも、胸の内にはとても熱い思いを抱いていることが伝わってきました。
本間さんの今後ますますの活躍に注目です!

「みらいずworks」についてはこちらから

<外部リンク> 県公式SNS一覧へ