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【長岡】「食の事業継続セミナー」を開催しました

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0053085 更新日:2014年12月15日更新

 新潟県長岡地域では、自然災害が頻発する中、被災生活を支える食の確保が課題となっております。食品や物資の製造・加工・流通関連企業の事業継続が課題であり、自治体は地域防災計画における食料供給分野での現物備蓄や協定に関する内容の充実・具体化が求められています。
 こうした状況を踏まえ官民が一体となった食の事業継続を考える企画として、新潟県長岡地域振興局では、平成26年12月15日(月曜日)午後1時30分から長岡地域振興局大会議室において、「食の事業継続セミナー」を開催しました。当日は、自治体の防災や保健福祉の部局、企業のそれぞれの立場から50人の出席がありました。

1 主催者あいさつ

主催者あいさつの画像

 セミナーの開会に当たり、長谷川誠新潟県長岡地域振興局長があいさつしました。
「平成16年発生の新潟県中越大震災では被災者が10万人を数える震災となり、ライフラインの復旧にも1か月以上の期間を要した。
 平成26年は震災発生から10年になるのを機に、当地域振興局においては地域振興戦略事業調整費事業として『食を通じた産学官連携による防災・減災対策』を推進している。具体的には、9月にはTeNYテレビ新潟主催『みんなの防災フェア』の企画で『にいがた災害食グランプリ』を、11月には『災害支援活動学生シンポジウム』をそれぞれ開催した。
 本日は一連の事業を締めくくる第3弾として、官民が一体となって食の事業継続に関する取組を共有するとともに、県内初の長岡地域の取組として参加の皆様から積極的にディスカッションに参加いただきたい。」

2 事例発表

 事例発表は「企業・自治体における事業継続への取組」として、3名の方からの発表がありました。
 自治体の立場で、新潟県見附市の取組について、企画調整課の堀江主査より報告がありました。
「見附市は、被災規模や被災場所により、個人や市の備蓄、炊き出し等により食料供給を想定している。見附市は、平成20年県のモデル事業を活用して、災害時要援護者用備蓄品を整備し、期限のあるものについては期限切れ前に小中学校での防災教育で使用している。災害発生時に要援護者に迅速かつ確実に物資を配布する体制についても検討してきた。
 また、妙高市や村上市など遠隔地の自治体との災害時相互応援協定を締結した。東日本大震災時企業と委託契約したことで、当市への避難者の方に早急に温かい食事が提供できたことから、今後も必要に応じた食料供給に関する協定の締結に努め、企業との連携を強化していきたい。」
 続いてBCP策定に取り組む企業の立場で(株)野村防災代表取締役の野村祐太氏より報告がありました。
「2013年3月1日に設立、従業員3名の会社。防災機器・用品の販売及びリースや防災普及活動を行っている。大きな仕事はできないが、すぐ決定でき,情報共有がしやすい。
 BCPはなぜ策定するかといえば、自分と従業員の命(生活)の確保が最優先。そして企業にとっての優先業務を維持し、継続させるためで、連携先とプロセスを共有することが大切。
 今年連携先との想定訓練を行った。首都直下型で船を使っての輸送訓練を実施。やってみて見えたことは大きかった。お客様に何を提供できるかの実証が必要と感じた。」
 さらに流通協定企業の立場でアクシアルリテイリンググループ(株)原信高山総務主任より報告がありました。
「スーパーとしては普段使いの物を日々安価に提供し、災害が起きた時にすぐに事業再開することがお客様の満足につながる。
 自治体との流通協定を締結しているが、災害発生時は被災地域にある店舗からは提供されず、離れた店舗から食料や物資は提供される。通常バックヤードには在庫はなく、流通センターにもない。災害時に店舗に入れなくても駐車場で営業活動を行う。従業員2名がいれば売る。
 会社としてはお客様に販売する分以外の物資の提供は考えにくい。お客様ありきの判断であり、災害規模に応じてグループ全体として供給できるかの判断を行う。被災後時系列によってお客様の必要な物を考えながら営業活動を進めている。」

事例発表者のみなさんの画像 事例発表者のみなさん

3 講演「被災生活を支える食料供給と新潟県中越地域に求められる広域支援について」

講演「被災生活を支える食料供給と新潟県中越地域に求められる広域支援について」の画像

 一般財団法人危機管理教育&演習センター理事長の細坪信二氏による講演を行いました。
「自治体と民間事業者との応援協定について、災害時すぐに企業から物資が届くとは限らない。ニーズは時間の経過と共に変化する。
 被災生活を支える栄養管理の必要性と食料供給の重要性を認識する中で、継続した体制をとるためには民間企業との連携は不可欠。自治体が物資を輸送するのには、流通面での問題がある。人手がない。物流はプロに任せるべきである。
災害時の避難所が問題。新潟であれば農家に行けば食べ物がある。被災者の自立を考える仕組みづくりが重要。県外者向けには食をテーマとした定期的に行われる企画として、地域ビジネスモデルとして「災害食グランプリ」などの企画をもっと首都圏に向けてPRすべき。
 また、新潟発である『お互いさま連携ネットワーク』は首都圏との日頃のつながりが重要。首都圏自治体が新潟県中越地域を支援することは比較的取り組みやすいが、その逆は難しい。しかしそれができれば巨大なビジネスチャンスになる。
 全国の自治体が、災害応援協定の実効性について検討しており、成功モデルを求めている。その中で被災経験のある新潟県中越地域への期待は大きく、取組への理解が求められている。」

4 レクチャー・パネルディスカッション

レクチャー・パネルディスカッションの画像

 コーディネーターのホリカフーズ株式会社取締役、新潟大学大学院客員教授の別府 茂氏より、ディスカッションに先立ちレクチャがありました。
「事業継続計画は、行政、企業、職種、規模に関わらず必要であり、リスク発生時に実行できなければ意味がない。
 大規模災害などでリスクの度合いが大きく長期化する場合には、BCPを実行する職員や社員の生活面の備えは不可欠である。
 生活面の備えに占める食の意義は大きく、発災前の対策と発災後の救援活動が対象となる。食料備蓄には、現物備蓄と流通備蓄の両者が有効であり、流通備蓄では、食関連企業のBCPが不可欠となる。」

コーディネーターを中心にディスカッションが行われましたの画像 コーディネーターを中心にディスカッションが行われました。

  • (別府氏)自治体として企業と食に関する協定はどのように考えているか
     (新潟県見附市)現在協定は行っていない。自治体としては流通備蓄ができるに越したことはないが、災害時に必要な物が入手できるかどうかを考えると、現物備蓄をしながら補完する意味で流通備蓄をするのが良いと考える。一人一人の備蓄も市として働きかけが必要。
  • (別府氏)輸送訓練は実際にどれくらいの量を輸送したのか。実施前後で変化したことは?
     (野村防災)10人分を10日間のイメージで用意。2人で運んだが、準備していなければできなかった。
  • 実際に災害時、東京に入れるかどうか。
     (細坪氏)東京は規制がかかる。建設業、病院、医療は可能。自治体と協定を締結していれば入ることができる。何らかの自治体とのつながりは必要。
  • (別府氏)家庭内での備蓄する食品についてPRしているか?
    • (原信)緊急時に役立つものとしてのPRは積極的に行っていない。
    • (別府氏)ロングライフの食品というと家庭内備蓄は進まない。1.5年くらいの賞味期限があれば家庭内で時々食べられる。自助が大切。
  • 内食・外食・中食。実は中食が大事ではないか。災害時に需要が高まる。
  • 災害時に供給するレストランの指導も行っている。
  • アレルギー対応については、災害時以外にも日頃から旅館やホテルなど家族で宿泊するところはニーズも高い。日頃からサービス業として特別な食事を提供したいホテルや旅館について、栄養士会や病院などがもっと協力できる体制ができるとよい。

講師の細坪信二氏より最後にコメントがありました。

 「企業の備えと自治体とが有効につながる可能性は無限に広がっている。お互いの支援の可能性、特に民間企業と自治体との連携は、お互いに有効。
 本日のセミナーをもとに、自治体と企業とが参加する災害時の訓練が行えるとより実効性が高まる。」
新潟県長岡地域振興局では、今後も災害時の食の備えに関する取組を進めていきます。

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