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にいがた農業水利施設百選 「日本有数の河岸段丘へ水を押し上げる用水施設群」
清津川揚水機場(きよつがわようすいきじょう)
清津川揚水機場の外観(25年8月13日撮影)
津南町から長岡市に至る信濃川やその支流には、日本でも有数の河岸段丘があります。戦後の食糧増産時代、水源がなく畑作主体の段丘地帯で開田が進められ、高台の遥か下を流れる川から水を引くため揚水機場が数多く建設されました。
中里土地改良区が管理する清津川揚水機場もその中の一つで、揚水機場から水田までの高低差164メートルは、当時、東洋一と言われました。
揚水機場内の様子(25年8月13日撮影)
清津川揚水機場は、毎秒1.2トンの農業用水を直径500ミリの多段ボリュートポンプ(原動機1350キロワット)2台により164.35メートル揚水し、中里の台地の大部分を潤しています。
昭和40年から48年に「県営総合農地開発事業 清津川右岸段丘地区」で設置されたポンプは、約45年に渡り、中里の台地を潤してきました。ポンプが止まると、田んぼへは用水が掛からなくなるので、管理者によって大切に管理されてきました。
桔梗原頭首工から取水(25年8月13日撮影)
昭和30年代の構想段階では、清津川の水を市之越地区の台地まで揚げて田んぼをつくることは夢物語という人たちがいたと、中里土地改良区の村山さんは語ってくれました。
開発前の市之越地区の台地は、沢を流れる水や湧き水を利用したわずかな水田があっただけで、他はなだらかな野原のまま、長い間利用されることがありませんでした。
直径900mm導水管(25年8月13日撮影)
右は、揚水機場からの導水管で、台地手前の最も勾配が急な箇所の写真です。管の直径は900ミリ、揚水機場から台地までの延長が756メートルあります。
写真から、164メートルの高低差を感じることができると思います。
揚水された水は幹線用水路へ(25年8月13日撮影)
台地に揚水された水は、用水路を介して、水田に配られます。
かつては野原だった台地ですが、揚水機場からポンプアップされるきれいな用水と、夏場の昼夜の気温差が大きいことなどから、おいしい米の産地となっています。