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持ち込まれた魚(平成28年12月5日) 黄金色のヒラメ

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0060015 更新日:2019年9月2日更新

ヒラメ(カレイ目カレイ亜目ヒラメ科)

有眼側が黄金色のヒラメの画像
有眼側が黄金色のヒラメ

水産海洋研究所撮影・測定
全長55.3cm 標準体長46.1cm 体重1387g

採捕の状況

  • 採捕日:2016年12月5日
  • 場所:新潟県村上市
  • 漁業種類:小型定置網

特徴・生態

学名:Paralichthys olivaceus

  • 水深200m以浅の砂泥域に生息し、魚類、イカ類、エビ類などを食べる。
  • 5月~6月の産卵期には浅場に移動し、砂泥や砂礫域で産卵する。
  • 高級魚として知られ、新潟県での水揚量は多い。
  • 通常、有眼側は褐色~黒褐色ですが、今回は鮮やかな黄金色のヒラメが採捕されました。

分布

北海道オホーツク海と太平洋岸(少ない)、北海道~九州南岸の日本海・東シナ海沿岸、青森県~九州南岸の太平洋沿岸、瀬戸内海、屋久島;渤海、東シナ海北部、朝鮮半島全沿岸、江蘇省・福建省・広東省、ピーター大帝湾(希)

日本産魚類検索第三版全種の同定より

ヒラメの体色異常について

  • ヒラメは周囲の環境に合わせて体色を変える擬態を行うことが知られています。体色は皮膚に散在する色素胞に含まれる色素によって形成され、黒色素胞、黄色素胞、虹(白)色素胞の3種の組み合わせで体色を変化させています。
  • ヒラメの体色異常の一つに「アルビノ」があり、明るい黄色の体色と赤い眼を持つことが特徴です。正常魚に比べて黒色素胞の数が著しく少ないことが原因とされています。
  • 本標本は、有眼側は明るい黄色ですが、眼は赤色ではなく黒色で、体にも黒い色素を確認することができ、真のアルビノではないようです。なお、人工種苗では、有眼側の体色の一部が白くなる「白化」や無眼側に着色や黒斑が出る「両面有色」などの色素異常や脊椎骨の異常が稚魚期までの間に発現することが知られていますが、本標本ではそれらの異常は認められませんでした。
  • 人工種苗で散見される異常が無いこと、明るい体色の種苗が放流されるとは考えにくいことから、本標本は天然魚である可能性が高いと推察されます。また、本県沿岸域の海底環境を考えても擬態によって発現した体色とは考えにくく、本標本は真のアルビノではないものの、何らかの異常により黒色の色素が著しく少ない状態になったのではないかと考えられます。
  • 他県でも、本標本と同様に有眼側が黄金色で眼が黒色のヒラメが採捕された事例があります(二平1998、岩崎2015)。また、水族館で黄色のヒラメを展示したところ、半年かけて少しずつ茶褐色になっていったこともあるようです(茨城新聞2016)。今回採捕された個体も、もし採捕されずに生きていたとしたら、正常の体色に近づいていったかもしれません。
  • 本標本は全長55.3cmで、天然の正常魚の年齢と体長の関係からは4歳魚と推定されます(上原ほか2016、加藤ほか1987)。生存競争の厳しい自然界においては、明るく目立つ体色は外敵に発見されやすいと想像され、天然で見かけるのは極めて珍しい事例です。

無眼側の画像
無眼側

尾鰭と尾柄周辺部の画像
尾鰭と尾柄周辺部

眼位逆位のヒラメ」(持ち込まれた魚平成26年5月27日,6月4日)はこちら
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