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これまでぽんしゅびよりでは、日本酒ビギナーさんにおすすめの新潟清酒をご紹介してきました。
しかし、『私はアルコールが苦手だから、日本酒はあまり飲めないな…』という方もいるのではないでしょうか。
ちょっと待ってください! 日本酒を諦めるのは!!
日本酒はお酒として飲むだけでなく、他にも楽しむ方法があると思うのです。この章では、いろいろな角度から日本酒の楽しみ方をご紹介していきます!
かつて県議会が行われていた建物、新潟県政記念館(新潟市中央区)を背に本町通りを進んでいくと、右手の小路に黄緑の目を引く建物を発見👀
実はここ、食にまつわる本を集めた私設の図書館なのです!
ウッドデッキを上がったところが入口で、靴を脱いで入ります
本間文庫 にいがた食の図書館では、新潟県を代表する食文化研究者・本間伸夫先生(県立新潟女子短期大学名誉教授)の蔵書を中心に、1,000冊を超える食に関する本を所蔵しています。もちろん日本酒に関する本も!
写真は全て、日本酒やお酒に関する本です!他にもまだたくさんありますよ
事前、または来館当日に会員登録することで、誰でもこれらの蔵書を自由に閲覧することができます。(※貸出はしていません。)
こちらの図書館を運営している株式会社ニールは、雑誌『新潟発R』や『cushu手帖』を発行している出版社です。
『新潟発R』と『cushu手帖』
髙橋さんと鈴木さん
本間先生に取材をさせていただいたことをきっかけに、貴重な蔵書を譲り受けることとなった代表取締役の髙橋真理子さん(写真左)は、古町地域の活性化や食文化の発信の場の1つとなることを願い、2021年6月に図書館を開館しました。
「ここで食に関するセミナーやイベントなども行っているので、食の図書館をきっかけにいろいろな形で人と人との繋がりが生まれると良いと考えています」(髙橋さん)
フリーランスのライターをしているスタッフの鈴木希望(のぞみ)さん(写真右)は、元々は図書館の利用者だったそうです。
「仕事で食文化や料理について書く機会が多く、興味もあったので、図書館開館のニュースを知ってすぐに会員登録をしました。でもなかなか足を運べず、やっと訪問できたのが昨年の10月です。そこで、問い合わせなどで何度かやり取りをしていた髙橋さんに会い、お誘いをいただいて、こちらのお手伝いをすることになりました」
まさに食の図書館をきっかけに、髙橋さんと鈴木さんの「繋がり」が生まれたのですね!
それにしても押入れを改造して造作された3層の可動式の棚は圧巻です。
本間先生の書いた論文や、現在は手に入りにくい貴重な資料の数々
それぞれの本の位置や内容は把握されているというお二人に、食の図書館で読める、おすすめの日本酒に関する本📖をお聞きしました。
鈴木さんのおすすめ
『日本酒語辞典』(こいしゆうか著・誠文堂新光社)
「日本酒にまつわる言葉を読み解く辞典です。専門用語はもちろん、誰かに話したくなるような豆知識もたくさん掲載されています。かわいいイラストと一緒に楽しんでください!」
「大虎」とは何か、みなさんはご存知でしょうか。分からない方はぜひ、この本で意味を確認してみてください!
髙橋さんのおすすめ
『清酒大洋盛 絵図 蔵の一年探訪』(平田大六著・大洋酒造株式会社)
「村上市の大洋酒造さんで製作、販売している、平田大六先生が酒蔵の一年を楽しい文章とイラストで描いた一冊。平田先生らしいユーモアあふれる文章の中に、新潟清酒への敬愛を感じる、新潟清酒の本当の姿を知ることができる貴重な一冊です」
大洋酒造の社長や会長を務めた平田大六先生は、ぽんしゅびよりでもご紹介している新潟清酒学校の創設者の1人であり、3代目校長も務めた方です。そんな新潟清酒業界で著名な平田先生ならではの視点や、のびのびとしたタッチのイラストが楽しめる1冊です。にいがた酒の陣を描いたページは必見です!
『町の酒屋 新潟銘酒と早福岩男』(谷澤雅視 編・醸界タイムス)
「日本酒文化を守り、人の交流を支えてきた〈町の酒屋〉、早福酒食品店(新潟市中央区)の早福岩男さんの人となり、新潟清酒のために動いてきたことを紹介した一冊。早福さんに初めてお会いした時に『蔵元の人柄が酒の味に表れる』と言われたことは今でも忘れられません」
早福氏が会長を務める酒屋は、県庁そばの千歳大橋を渡った先にあります。こんな近くに、そんなすごい方のお店があったとは…。私も大変勉強になりました。
日本酒に関する本をご紹介頂いたところで、お二人に「ところで日本酒はお好きですか?」と伺うと、「はい!」と笑顔で答えていただきました!
成人してお酒を飲むようになった頃、最初は苦手だったという髙橋さん。確かに、学生の頃の飲み会で飲む日本酒は「悪酔いする」という印象が私もありました…。しかし県外出身の髙橋さんが新潟へ移住され、仕事で新潟清酒を取材する中で、「自分が今まで飲んできたものとは違う」と思ったそうです。造り手の顔が見えること、それを販売する人の思いを聞くことで、新潟のお酒がますます美味しく感じるようになり、今では「新潟清酒が一番!」とのこと。
出版されている本や雑誌を読むと、髙橋さんの新潟清酒への愛を強く感じることができます!
出版された雑誌等は閲覧の他、購入も可能です!
対して鈴木さんは、最初から日本酒に対してとても良いイメージを持っていたそうです。
自分の好きな物を人に語るのが好きだったお父様に、小さい頃から日本酒の美味しさや素晴らしさをたくさん聞かされて育った鈴木さんは、「早く大人になって日本酒を飲んでみたい!」と、まだ知らぬ日本酒の味にわくわくしていたとか。
「父のおかげで日本酒が大好きになりました。味だけでなく、ストーリーも楽しめるのも良いところですよね」
大切な家族から教えてもらったものは、より思い入れのあるものになりますよね。この日鈴木さんは、お父様の遺品だという酒蔵の前掛けを身に付けてお仕事をされていました。
また昨年末、同じ建物内にBOOK CAFE つきうえがオープンしました!
今年の3月いっぱいまでのメニュー
つきうえでは、新潟県内の各地域にフィーチャーしたドリンクや軽食を楽しむことができます。もちろん日本酒やそれに合うおつまみもあります✨
数カ月単位でメニューに取り上げる地域は変わるとのことで、お伺いした時は本間先生の出身地でもある佐渡がテーマでした。(3月末まで。)
名前の「つきうえ」とは漢字で「坏居」と書き、「机」の語源となった古語で、元は食器や食卓を指す言葉だったそうです。月を連想する語感でもあり、綺麗な名前ですよね。
佐渡5蔵飲み比べセット
メニューの一部は販売もしています
通年のおすすめはブレンドコーヒー。
本に熱中して冷めてしまっても美味しく飲めるよう、こだわってブレンドしているそうです。温かい時と冷めた時で違う味わいを楽しめます。
佐渡・赤泊の郷土料理である「せんぞうぼう」(3月まで)もおすすめとのことで、いただいてみました!
炒った大根をすりごまであえたものを、蕎麦の上に乗せています。つゆは焼きあご・昆布・しいたけの出汁を使用
ごまの味が香ばしく、ほっとする味わいでとても美味しかったです。みなさんはこの料理を知っていましたか?今ではこれを作る家庭も減り、島内でも知らない人が増えているそうです。
作る人が減って消えつつある郷土料理をメニューの1つにすることで、〈食文化の発信〉に繋げていきたいとのこと。ここで食べた人が、家で作ってみたり人に教えてあげたりすれば、食文化が消えてしまうことを防ぐことができます。
昔の人が残したものを未来に伝えていくことが、現代に生きる私たちの使命の1つといえるかも…と、お話を聞いて考えさせられました。とても素敵な取り組みですよね。
本間文庫 にいがた食の図書館では、食に関する本を読みながら県産品や郷土料理、地酒などをゆっくり楽しむことができます。
今後、読書会などのイベントも定期的に開催されるそうなので、最新の情報は公式サイトやFacebookをご覧ください。
みなさんも本を通して知識を豊かにすることで、日本酒を楽しんでみるのはいかがでしょうか✨
※新型コロナウイルスの感染拡大の状況によって、営業日や営業時間の変更等がある場合があります。最新の情報は、公式サイトでご確認ください。
本間文庫 にいがた食の図書館 ・ BOOK CAFE つきうえ
住 所 … 新潟県新潟市中央区本町通1番町178-3 MAY1階
JR新潟駅から新潟交通バス八千代橋線<八千代橋・附船町経由>入船営業所行き「本町通五番町」下車 徒歩3分
JR白山駅から新潟交通バス新潟駅行き「市役所前」下車 徒歩8分
開 館 … 水曜・木曜・土曜 10:00 ~ 17:00 (入館は16:00まで)
休 館 … 日曜・祝日
※その他曜日・時間は応相談
入館料 … 無料 ※ただし会員登録が必要。会報誌購読希望の場合は年間1,100円
詳しくは下記リンクの公式サイトをご確認ください
駐車場 … なし ※近隣の有料駐車場をご利用ください
公式サイト… https://honmabunko.jp<外部リンク>
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