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森林研究所たより きのこ栽培に適する広葉樹の探索(林業にいがた2019年3月号記事)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0125188 更新日:2019年6月29日更新

1 はじめに

新潟県は全国第2位のきのこ生産県ですが、その生産に必要なオガ粉の大半を県外に依存してきました。森林研究所(以下、「森林研」)では、県内に多く存在する広葉樹資源の活用を図るため、平成25年度からきのこ菌床栽培における各種広葉樹の栽培適性について研究を行ってきました。

なお、ナメコの試験結果については、本紙平成29年9月号のこのコーナーで詳しく記述しています。今回は、菌床マイタケに対する栽培適性について加筆して報告します。

2 試験栽培の方法

試験栽培は、ナメコとマイタケの2種類で行い、ナメコは森林研が、マイタケは共同研究実施者である一正蒲鉾株式会社がそれぞれ担当しました。オガ粉は森林研が作製して、同じものを使用し、ナメコはビン、マイタケは袋を用いて、栽培方法は両者とも通常行っている管理方法により実施しました。

3 栽培適性

試験栽培に使用した樹種と栽培適性に関する評価については表-1のとおりです。

ナメコでは、ハクウンボク、アオダモ、イタヤカエデ、ブナが、マイタケでは、ハクウンボクとシロヤナギが、対照区として使用した一般に流通している広葉樹オガ粉より収量が多く、栽培日数も同程度であることがわかりました。

原木栽培では、ナメコはブナ、トチノキ、クルミ類等が、マイタケでは、ミズナラ、コナラ、ブナ等が栽培に向いているとされてきました。

今回の結果から、原木栽培に適する樹種以外にも、菌床栽培に適する樹種があることが明らかとなりました。

イタヤカエデのオガ粉から発生したナメコの画像
イタヤカエデのオガ粉から発生したナメコ

シロヤナギのオガ粉から発生したマイタケの画像
シロヤナギのオガ粉から発生したマイタケ

表-1 樹種別栽培適性
試験順 樹種名 菌床ナメコ
の場合
菌床マイタケ
の場合
1 オニグルミ
2 ブナ ×
3 コナラ
4 クリ × ×
5 ホオノキ ×
6 ウワミズザクラ ×
7 アオダモ
8 キハダ
9 カラスザンショウ
10 イタヤカエデ
11 ミズキ ×
12 ハクウンボク
13 オオバボダイジュ ×
14 シロヤナギ
15 ネムノキ ×
16 トチノキ

◎:対照区と比べ10%以上の収量増加
〇:対照区と比べ±10%の収量
△:対照区と比べ10%以上の収量減少
 もしくは±10%の収量で標準偏差が40以上
☓:対照区と比べ20%以上の収量減少
 もしくは±10%の収量減少で標準偏差が40以上

4 おわりに

ナメコ栽培の現場では、これまでブナオガ粉が最良のものとされてきましたが、今回の試験で県内に蓄積量が多いとされているイタヤカエデがブナと同様に栽培に適していることがわかりました。

マイタケ栽培においては、シロヤナギに栽培適性が認められました。この樹種は、河川敷で大木の状態で自生しており、河川管理の観点から定期的に伐採処分されている光景が見受けられます。

どちらの樹種もこれまでなかった利用方法である菌床きのこ栽培に適したオガ粉として、今後有効活用されることを期待しています。

きのこ・特産課 倉島 郁

 

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