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森林研究所たより 花粉症対策品種の開発の加速化事業について(平成29~33年度)(林業にいがた2019年02月号記事)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0125187 更新日:2019年6月29日更新

花粉症対策品種の検定期間を短縮し、品種数を増やすために、(国研)森林研究・整備機構森林総合研究所林木育種センター(以下 林木育種センター)より委託されている標記事業について紹介します。

1 事業の目的

新しい品種が花粉症対策品種に該当するかどうか検定するためには20年以上調査する必要があると「雄花着花特性に関する特性調査要領(平成21年最終改正)」に定められています。

しかし、この検定期間の長さはスギ林を「花粉発生源」と呼び、早急な対策を求めている昨今の社会情勢には合わず、迅速な検定手法が強く求められています。
その要望に応えるため、林木育種センターが複数の県に試験・調査を委託しているのが本事業です。

2 調査内容

本事業の調査項目は、以下の3つです。

  (1)検定に使用する着花促進剤のジベレリン濃度の見直しのための試験

  (2)調査木の樹齢を下げても適正に雄花の着花傾向が評価できるか確認するための試験

  (3)過去の評価結果と現在の着花量が合致しているか調査する試験

新潟県で実施しているのは(1)と(2)ですが、今回は(2)について説明します。

検定に20年以上かかるのは前出の調査要領で、樹齢15年生以上の個体の雄花着花傾向を豊凶も考慮して5年間調査することとしているためです。もし、幼木と15年生以上の成木にジベレリンを散布してついた雄花の着花傾向が同じであることがわかれば、検定期間を短縮することが可能になります。しかし、過去に同様の調査が実施されておらず、どこまで調査木の樹齢を下げることができるか不明なため、本調査が実施されているのです。

新潟県では、研究所内にある32年生のスギ8品種と同じ挿し木苗を平成29年5月に作り、平成30年7月に成木と挿し木苗にジベレリンを散布し、11月に雄花の着花状況を5段階に分けて比較評価しました。

その結果、他県から着花しづらいと報告が上がっていた2年生の幼い苗木にも着花し、過去の評価よりも着花指数が高い(雄花がついている)苗木が多いという傾向がみられました。

3 今後の計画

新潟県では、事業終了の平成33年度末まで、同様の試験を継続して実施する計画です。

他県と連年データを解析し、結論を出すのは林木育種センターですが、平成30年、2年生苗木に多くの雄花が着花した原因については、様々なデータを活用しながら探っていきたいと考えています。

雄花の着花傾向の評価2の着花状況(2年生苗木) 着生している量が少ないの画像
図1 雄花の着花傾向の評価2の着花状況(2年生苗木) 着生している量が少ない。

雄花の着花傾向の評価5の着花状況(2年生苗木) 着生範囲・量ともに非常に多いの画像
図2 雄花の着花傾向の評価5の着花状況(2年生苗木) 着生範囲・量ともに非常に多い。

森林・林業技術課 番塲由紀子

 

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