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森林研究所たより 思いがけず=想定外(林業にいがた2018年1月号記事)

2018年01月01日
会員の皆様、明けましておめでとうございます。今年が平穏な1年となりますよう、願うところでありますが、想定外の現象というものが様々な場面で見られます。

まずは、身近な生き物にまつわる思いがけないエピソードを2つご紹介します。

1.この冬、オオハクチョウが近くを通りかかった子供を驚かせる場面を2回も見ました。長距離を飛ぶ大きく強力な翼と水かき先端の鋭い爪で必死に家族を守ろうとしていました(子供にとっては想定外。ハクチョウには近づくな。)。

2.当所のW氏は、松林を囲う網に絡んで動けなくなったニホンザルの子供を優しく抱きかかえて絡んだ網を外してやりました(猿にとっては想定外。人間には近づくな。)。

また、森林・林業の関係では、東北地方のヒトを襲うツキノワグマ、ニホンジカ被害の増加、平成16年頃から毒性があるとして食べられなくなったスギヒラタケなど、自然と人間の関わりにおける想定外のハプニングは数多く見られます。

小松左京のSF短編「牙の時代」と「笹の花」では、動植物が攻撃性を身につけるという想定外の現象を書いています。

現実の世界では、直接襲われるわけではありませんが、海岸クロマツ林を枯らす松くい虫や花粉症を引き起こす植物など、誰も予想していなかった深刻な脅威があります。

そうしたことから、現在、当所を含む多くの研究機関、企業などが自然の脅威から人間社会を守るための研究を行っています。

花粉を作らない・飛散させない(この性質はスギにとっては想定外で大変不都合なため)遺伝子は潜性であること、無花粉の形質には複数の遺伝子が関わっていることがわかってきました。この性質と精英樹の性質を合わせ持つスギが実際に植栽され始めています。

また、松くい虫抵抗性クロマツの選抜も代を重ね実用化に近づいてきました。

このように、当所では、想定外の事態に対処するため実用化を急ぐ研究、林業の現場で実際に使える森林制御技術の研究、そのための森林の性質や仕組みの解明など、多岐に亘る研究を行っています。

今年も、本誌にて、最新の研究情報、すぐに使える技術などを厳選してお届けします。

なお、当所ホームページでは、最近10年間に本誌に掲載された当所関連記事がご覧いただけます。きっと「思いがけない」情報が見つかるはずです。

最後に、今年1年の会員の皆様のご健勝・ご多幸をお祈りし新年のごあいさつといたします。

育種業務新任職員

防災林業務新任職員

所長 本間 晋