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森林研究所たより きのこ菌床栽培に適した県内産広葉樹オガ粉の検討 ナメコ(林業にいがた2015年6月号記事)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0058577 更新日:2019年3月29日更新

 きのこ菌床栽培の培地基材として用いられているオガ粉の樹種は、広葉樹ではブナやナラ類、針葉樹ではスギやヒノキが主体となっています。

 これまで新潟県内のきのこ生産は、広葉樹オガ粉では8割弱を県外に依存していましたが、東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故以降、供給が不安定な状況となり、依存する割合が減少しています。

 また、一方で県内には多種多様で豊富な広葉樹資源はあるものの、きのこ菌床栽培における広葉樹オガ粉の樹種別適性についての報告は少なく、有効に利用されてきていない状況にあります。

 そこで、県内に分布する広葉樹を用いて、県内生産量が全国1位のナメコ、マイタケの菌床栽培試験を行い、樹種別適性を明らかにすることで、今まで使われているブナやコナラなどのオガ粉よりも増収が見込める樹種、逆に混入することで減収などの影響がある樹種を判別することを目的とした試験を行いました。

 ここでは、平成25年に村上市内及び周辺から搬出した、オニグルミ、ブナ、コナラ、クリ、ホオノキ、ウワミズザクラ、アオダモ、キハダ、カラスザンショウ、イタヤカエデ、ミズキ、ハクウンボク、オオバボダイジュの広葉樹13種のオガ粉と菌床栽培用に市販されている広葉樹オガ粉(以下、対照オガ粉)を用いてナメコ菌床栽培試験を行った結果を報告します。

 栽培方法、栽培環境は、通常森林研究所で行っている条件と同様とし、種菌は県内で多く使用されているキノックスN008号を使いました。

 樹種ごとの良否の判定方法は、収量、栽培日数、子実体の形質について判定基準を定め、総合的に4段階(最適:◎、適:○、やや適:△、不可:×)に判定し、対照オガ粉を「適」としました。

 判定の結果は、ブナ、アオダモ、イタヤカエデ、ハクウンボク、オオバボダイジュの5種が対照オガ粉より良く「最適」、オニグルミ、コナラ、ホオノキ、キハダ、ミズキの5種が対照オガ粉と同程度で「適」、カラスザンショウがやや劣り「やや適」、クリ、ウワミズザクラの二種がかなり劣るので「不適」という結果となりました(表、写真)。

 なお一般には、コナラを主体とした数種類の樹種を混ぜたオガ粉が菌床栽培に使われています。また、添加する栄養材はナメコ生産者によって添加物、添加量が異なっています。ですから、今回の結果については、広葉樹資源利用に向けた、基礎資料、参考情報と考えています。

 機会があれば、広葉樹13種オガ粉を用いて行ったマイタケ菌床栽培試験の結果についても紹介したいと思います。

表 ナメコ菌床栽培樹種別良否判定表
No. 樹種名 判定
  対照オガ粉
1 オニグルミ
2 ブナ
3 コナラ
4 クリ ×
5 ホオノキ
6 ウワミズザクラ ×
7 アオダモ
8 キハダ
9 カラスザンショウ
10 イタヤカエデ
11 ミズキ
12 ハクウンボク
13 オオバボダイジュ

凡例:◎最適、〇適、△やや適、×不適

アオダモのオガ粉でのナメコ発生状況の画像
写真 アオダモのオガ粉でのナメコ発生状況

きのこ・特産課 阿部一好

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