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森林研究所たより アカマツ採種園のサル対策について(林業にいがた2014年6月号記事)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0058548 更新日:2019年3月29日更新

 県内にはニホンザル(以下サル)に畑を荒らされ大変困っている地域が散見されます。電気柵を設置したり、サルが食べない作目へ変更を迫られたりすることから経済的に大打撃となります。研究所のある村上市でもサルのために作目変更をしたり畑作を止めたりしたところが目立ち、当構内にもサルが出没しています。
 最近ではアカマツ暫定採種園へ被害を及ぼすようになり、平成20年からたびたび剥皮害と枝折れが発生。看過できない状況となってきました。
 アカマツ暫定採種園では「にいがた千年松」の種子を生産しており、このまま放置しておくと種子生産に影響が出て来かねないことから、採種園自体を網で囲いサルの侵入を食い止めることとし、平成24年12月に囲い網設置工事を行いました。(写真1)
 これは奈良県開発の「猿落(えんらく)君」を参考にしたもので、支柱部分はしなる素材のためサルが網や支柱につかまって登ろうとしても、簡単には登ることができません。
 さて、網を設置したのにも関わらず平成25年5月に網の「下」からサルが侵入してしまいました。
 そこで網を地面とぴったり密着させて入られないよう改良しましたが、6月には隣接するパイプ小屋を伝って網の「上」から侵入。その後、網と網のつなぎ目のところからするりと脱出されてしまいました。
 網の継ぎ目を細かく結束し、侵入箇所と網を離す対策をすれば万全だろうと思っていると、一週間後にまた侵入。今度は、網の一番近くに生えているクロマツの支柱を伝って出入りしたようです。まさにいたちごっこです。
 ところで、食べるものもない構内のアカマツ採種園がなぜ狙われるのでしょうか。これは推測になりますが、サルは松ヤニに興味があり、樹皮を剥いで(写真2)幹や甘皮をなめていることと、採種園全体が猿たちの格好の遊び場になっているためだと思われます。また、出没日を調べると10~16日周期で現れることも分かってきました。
 現在では、いろいろな対策が効を奏した(?)ため平成25年8月以降はあまり現れなくなりました。網を嫌がって来ないのか、人のいない土日に現れているのか、サルの気持ちはよく分かりませんが、被害が激減したことから、我々の気持ちは安らかになりました。おかげで、平成25年度のにいがた千年松種子生産量は1.7キログラムと久々の豊作になりました。

採種園を囲っているサルよけ網とダンポール支柱の画像
写真1 採種園を囲っているサルよけ網とダンポール支柱

サルに樹皮を剥がされたアカマツの画像
写真2 サルに樹皮を剥がされたアカマツ

森林・林業技術課 岩井淳治

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