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森林研究所たより 松くい虫の発生予察について(林業にいがた2014年5月号記事)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0058552 更新日:2019年3月29日更新

1 はじめに

 松くい虫は、下越地域を中心に大きな被害となっています。
 この被害を予防するには、薬剤散布が有効であり、現在被害の沈静化のために海岸保安林を中心に広く実施しています。
 この薬剤散布を効果的に行う上でマツノマダラカミキリ(以下、カミキリ)の発生時期を押さえて、それに合わせて散布することが必要です。森林研究所では、過去に県内全域で調査を行っており、その結果、概ね6月中旬に発生し、遅くとも8月中旬までには発生が終了するとしていました。
 しかし近年、現場からカミキリの発生が遅くなっているのではないかとの声が聞かれ、再調査の必要性が出てきました。
 そこで、平成24年度から治山課の事業でマツノマダラカミキリの発生時期(発生予察)の再調査を行っているので、今回は、その内容を紹介します。

2 マツノマダラカミキリの発生時期

 材料は、胎内市の海岸保安林の被害木を用いました。カミキリが確実に寄生した被害木を伐採し、村上市にある森林研究所構内の網室に搬入し、カミキリの発生日時とその頭数を5月~9月にかけて調査しました。
 結果は、最初の1頭が発生した日(初発日)が7月4日、最後の1頭が発生した日(終息日)が8月9日でした(図)。研究所構内で行った過去の調査の平均では、初発生が6月下旬、収束日が8月中旬でしたので、初発生は遅め、終息日は例年並みという結果になりました。
 他県などの調査では、初発生は気温などの気象条件の影響により年間の変動が大きいが、終息日は変動が少ないと言われています。
 このため、今回の調査では、特にカミキリの発生に変化が見られたとは考えられませんでした。しかし、今後も何年間か継続して実施し、データ数を集めて結論を出していきたいと考えています。

3 おわりに

 森林病害虫防除事業等により前年度の被害木の伐倒駆除が5月末まで、予防薬剤散布が6月上旬~中旬に行われます。これらは、時期を厳守のうえ実施してください。
 また、治山事業で海岸林の本数調整伐を行う場合、4月~9月に行うと伐採木にマツノマダラカミキリが誘引されます。特に近隣に被害地がある場合は、松くい虫被害の発生を誘発します。伐採木を林内に残す場合は、10月~3月までの間に本数調整伐を実施して下さい。

被害木から出たカミキリのオス(下)とメス(上) の画像
写真 被害木から出たカミキリのオス(下)とメス(上)

マツノマダラカミキリの発生状況の画像
図 マツノマダラカミキリの発生状況

森林・林業技術課 宮嶋大介

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