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【三条】「災害食・ものづくりセミナー」を開催しました
新潟県三条地域振興局では、今年度より「県央地域の食の減災対策推進事業」の一環として「災害食・ものづくりセミナー」を企画し、平成29年8月24日(木)午後1時30分より、燕三条地場産業振興センターメッセピアで開催しました。当日は保健医療福祉団体、防災関係団体、NPO、企業、大学、県内自治体などから90名が参加しました。
1 主催者あいさつ
セミナーの開会に当たり、山田新潟県三条地域振興局長があいさつしました。
「近年全国的に災害が多発しており、本県では中越大震災、中越沖地震と2度の大きな地震の他、ここ県央地域では平成16年の7.13水害、平成23年の7.29水害など自然災害の脅威を経験してきました。さらには東日本大震災の直後から避難者の方々の受け入れを積極的に行うなど、被災経験や支援活動により培われたノウハウが蓄積しております。
これまで災害時の食の面からの要配慮者対策は進められておりますが、東日本大震災や熊本地震などの大規模災害を経験する中、新たな課題も浮上しております。今回のセミナーではこれまでの取組を検証すると共に、県央地域の特色であるものづくり分野からの新たな取組展開についても検討していただければと思います。
本日のセミナーを通じて、次の10年につながる食の面からの要配慮者対策についての議論が深まり、新潟県県央地域から広く全国に向けてのメッセージが発信できればと考えております。」
2 講演・ワークショップ
災害食とものづくりの分野それぞれの先生からご講演をいただきました。
講演1「災害時に役立つ要配慮者用食品の検討と商品開発-災害食の認証と自治体の備蓄への提案-」
講師:日本災害食学会理事・副会長 別府 茂 氏
<講演要旨>
- 新潟県中越沖地震の発生から10年。この間新潟県は様々な自然災害を経験してきた、避難者の食事は誰が備えるべきかまだ答えが出ていない。地域に応じた対策が必要である。→災害対策は同時に必要
- 対象者や生活場所によって必要な食品は異なる。共助は運ぶまでに時間を要するためあらかじめ自助で備えておかなければならない。
- 今までの非常食は、賞味期限・種類が限定・味・製造数の問題があった。そこで、「日本災害食認証制度」を開始し日常で利用している食品を災害食にすることで災害時にも役立てることができる。さらに「日本災害食認証制度」の認定を受けたものから要配慮者にも対応できる「おもいやり災害食認証制度」も開始されている。
- 日本列島は災害多発時代へ 誰もが避けられない現状
- 非常食から災害食として普段使っている食品を活用したり、地元の特徴を生かしたものづくりによる備えにより生活を強靱化できる。
講演2「災害時に必要なものづくり・商品開発」
講師:一般社団法人健康ビジネス協議会理事・副会長:秋元 幸平氏
<講演要旨>
- 健康ビジネス協議会のものづくり部会では日本災害食学会と協力して「食」の関連する製品のものづくりをすすめる検討をしているところである。
今回は県央地域企業の自社製品で災害時に役立つ道具の紹介をした。 - 新潟県の自然災害経験を生かし県央地域の企業もチームとして、災害時に必要なものづくり・商品開発を今後新しいビジネスチャンスにしていきたい。
左から別府 茂氏、秋元 幸平氏
お二人の先生のお話をもとに、以下の点についてグループ討議を行いました。
- 特に要配慮者への対応を考えた時に、何を進める必要があるのか?そのために、必要な連携・協力・仕組みづくりは?(10年後を見据えた議論)
- 住民への情報提供と教育、全国への発信をどのように進めるのか?
全体の発表では、様々な意見が出されました。
- 10年後の希望として人体に個人の情報を入れたICチップを入れ、その情報でドローンから食事を運んでみるとよいのではないか。
- 手軽に汚水を水にかえる装置を作ってほしい。
- 10年後を見据えた要配慮者のターゲットとして、高齢者が想定される(豊かな10年後)。
- ICチップを活用した取組として、アレルギーに関する情報も有用。
- さらに進歩だけでなく、地域に伝わる食の備えも併せて両方をバランスよく備えることが重要。
- 自分の国では、保存が効く小麦があるため日本でも育ててみてはどうか、また、自宅の庭で野菜を育てると良いのではないか。植物の大きい葉はお皿にできる(ネパールからのインターン)
- 野菜を育てるには体力がいるが、自社製品は現代の身体にあった農機具もあるので、報告させていただきたい。
講演及びワークショップのコーディネーターとして、公立大学法人青森県立保健大学大学院健康科学研究科教授 栄養学科長であり、同大学院健康科学研究科長の吉池信男先生よりコメントをいただきました。
吉池先生には、平成16年の新潟県中越大震災の際の食生活実態調査や「新潟県災害時栄養・食生活支援活動ガイドライン」の策定、また平成19年の新潟県中越沖地震の際の「柏崎地域災害時食生活支援システム検討会」でのアドバイザーをお務めいただいており、「新潟県のこれまでの10年間に及ぶ被災地の栄養・食生活支援活動に関連する取組は、ビジネスへの展開も含めて重要である。本日の新潟県県央地域の取組についても、多様な人々による議論の機会は珍しい。全国に向けて発信していただきたい。」
とまとめていただきました。
家庭用備蓄食品(大人2人の1週間分)と熊本地震への支援活動のパネル展示
今後も新潟県三条地域振興局では、食の減災対策を推進していきます。
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