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【三条】「三条地域災害時食のセーフティネット検討会」を開催しました

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0057091 更新日:2019年3月29日更新

 新潟県三条地域振興局健康福祉環境部では、近年多発する自然災害の発生に対応するため、産学官が連携した食の面からの要配慮者対策及び減災対策を推進することを目的に、「三条地域災害時食のセーフティネット検討会」を立ち上げました。
 平成28年7月22日(金曜日)午後2時から三条地域振興局第1、2会議室で行った検討会の様子を報告します。

  • アドバイザー ホリカフーズ株式会社取締役執行役員 経営戦略室長
     新潟大学大学院 客員教授、日本災害食学会副会長 別府 茂 氏
  • 構成メンバー(順不同)
    三条市医師会、三条市歯科医師会、栄養士会三条支部、三条地域食生活改善推進員連絡会、県央食品衛生協会、三条地区調理師会、(公社)中越防災安全推進機構、NPO法人にいがた災害ボランティアネットワーク、イオンリテール株式会社、株式会社オーシャンシステム、亀田製菓株式会社、ホリカフーズ株式会社
    三条市、加茂市、燕市、弥彦村、田上町の防災担当課及び栄養担当課並びに教育委員会

1 開会あいさつ

1 開会あいさつの画像

 当部の後藤部長が、検討会立上げの経緯も含め挨拶しました。
「三条地域は、2004年の『7.13水害』及び『7.29水害』の被災地域であり、その後も複数の自然災害の脅威を経験してきた地域であります。こうした災害対応を通して、被災生活を健康に乗り切ることが継続的な課題となっており、大規模災害を生き抜く、被災生活を乗り切る対策として、食の面からの要配慮者対策及び減災対策が重要であります。
 本年4月に発生した『平成28年熊本地震』に対する支援活動も踏まえ、今年度より新たに検討会を立ち上げ、災害時の食に関わる保健医療福祉団体、防災関連、住民組織並びに食品関連事業者の皆様にお集まりいただきながら、産学官が連携した対策の推進に向けて検討を進めていきたいと考えております。新潟県三条地域から、全国に向けた発信ができればと考えております。」

2 取組報告と意見交換「食の面からの要配慮者対策と減災対策」

 はじめに、「食の面からの要配慮者対策と減災対策」について、2つの市町村及び2つの団体・組織から取組報告がありました。

左から燕市、三条市教育委員会、中越防災安全推進機構、三条地域食生活改善推進員連絡会の皆さんの画像 左から燕市、三条市教育委員会、中越防災安全推進機構、三条地域食生活改善推進員連絡会の皆さん

  • (燕市)過去の被災状況や住民の現状、自主防災組織結成率の推移や総合防災訓練への参加者数などを踏まえ、食料備蓄を行っている。この中で、今後の課題となる要配慮者への食料備蓄の検討や物資の配送方法など引き続き検討するとともに、市民への啓発・普及を進めている。
  • (三条市教育委員会)市全体の防災教育の目的についての説明。本年が4年目(1年目は地震、2年目は水害、3年目は原子力災害)となる「防災教育授業研修会」や市内9中学校区輪番で開催している「セーフティアドベンチャー(防災キャンプin三条)」について、自治体や様々な関係団体が連携して実施している。健康福祉環境部からも本年より参加団体として関わってもらっている。
  • (中越防災安全推進機構)災害食に関する学校防災教育の実践例について紹介。三条地域は今年度からとなる。昨年は教職員対象の研修会でもパッククッキングの研修も行っている。現在は、防災士や中越市民防災安全士等地域の人材を対象とした「地域防災スペシャリスト養成」についても「災害食」をテーマに設定し、人材育成カリキュラムの検討を進めている。
  • (三条地域食生活改善推進員連絡会)「7.13水害」や「7.29水害」を教訓に平成24年度から三条市において「サバイバル料理」の体験として、ポリ袋でご飯を炊く実習を開始。その後三条市を中心に活動してきたが、本年9月に連絡会全体の研修として取り組み、三条健康福祉環境部主催事業についても協力していく。

左から三条市歯科医師会、三条市医師会、亀田製菓(株)のみなさんの画像
左から三条市歯科医師会、三条市医師会、亀田製菓(株)のみなさん

前段の報告を受けて、特に要配慮者対策の観点から三条市歯科医師会、三条市医師会より、要配慮者用食品製造企業の立場から亀田製菓株式会社よりそれぞれご発言いただきました。

  • (三条市歯科医師会)避難所においては通常の食事が食べらない方の中には、摂食嚥下、飲み込みが悪く、誤嚥性肺炎につながる可能性がある。避難所でそれらの方向けの食品を備蓄できないだろうか。行政機関が中心となって進めて欲しい。
  • (亀田製菓株式会社)日本災害食学会理事としても今回の検討会に参加している。要配慮者向けの食品は、長年の開発も含めてビジネスとしては小さな市場。いざ災害が発生しても、もともと2、3万食程度しか製造できない。自助が基本であるが、一般化するまでは行政機関がもっと積極的に備蓄を進めて欲しい。
  • (三条市医師会)小さい子供向けの災害食の備蓄があるとよい。市内の応急診療所で取り扱いしているおかゆについて、購入する親が増えている。病気の時に食べやすいものも追加して備蓄されるとよい。

3 情報提供「平成28年熊本地震における栄養・食生活支援活動について」

3 情報提供「平成28年熊本地震における栄養・食生活支援活動について」の画像

 平成28年4月に発生した熊本地震の支援活動として、熊本県に派遣された当部職員による栄養・食生活支援活動についての報告を行いました。
「地震発生から現地への派遣までの間に、要配慮者食品について県内企業からの提供を受け、5月2日から8日までの熊本県宇城市及び宇城保健所での支援活動の際に活用した。保健師と合同チームであり新潟県からの管理栄養士の派遣は初めてであった。
 被災地へは、中越沖地震等で活用した熱中症予防のチラシや栄養相談窓口のチラシなどを持参し、避難所巡回時に活用した。また中越大震災や中越沖地震の際に機能した『弁当プロジェクト』のノウハウを提供し、被災地の弁当提供につながった。被災地での食料供給とニーズのマッチングは課題であり、当地域においても教訓を生かす必要がある。」

4 講義「被災生活の現状と課題ー産学官が連携した要配慮者対策・減災対策の推進-」

4 講義「被災生活の現状と課題ー産学官が連携した要配慮者対策・減災対策の推進-」の画像

 本検討会のアドバイザーである、ホリカフーズ株式会社取締役執行役員 日本災害食学会副会長の別府茂 先生より講義をしていただきました。
「阪神・淡路大震災以降、日本は連続した地震に見舞われ、死者を減らす対策が急がれてきた。一方被災者対策の重要性も年々高まり、中でも食の対策の必要性が浮き彫りとなっている。特に研究班の試算によれば、国民の3人に1人が普通の食事が食べられないなどの現状を踏まえ、賞味期間を重視する非常食から災害時の役立ち度や日常的に販売・利用が可能な災害食への転換が求められている。
 災害対策基本法の改正や『避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針』の制定など、食の面からの要配慮者対策を進める法的整備を背景に「日本災害食学会」を平成25年年9月1日に設立した。学会としては、被災地域での食の課題を背景に、賞味期間6か月以上の常温食品を対象とした認証制度を制定し災害食の種類と流通量の増大につなげていきたい。併せてライフラインの代替え対策、中食・外食事業者のBCP、流通在庫や現物在庫の増大など、産学官が連携した社会全体の備えと生活の強靱化を目指すとともに、本日のような検討会での議論屋取組が三条地域で深まること、また全県に向けて広がることを今後も期待したい。」

5 事業提案と検討

5 事業提案と検討の画像

 今年度当部で実施する「食のふしぎはっけん・おやこジャングル!」(防災と食の親子体験教室:弥彦村・燕市で開催予定)及び「災害時の食の備えと食品衛生講座」(三条市で開催予定)について、当部職員より説明しました。

 説明を受けて、災害応援協定締結企業の立場で2つの企業から報告がありました。

  • (イオンリテール株式会社イオン三条店)小売業としては、一日も早く営業を再開することが使命。栃木県が東日本大震災で被災した際、翌日には店頭で販売した経験を元に、災害に対する取組・しくみが整えられている。
     本部を通じて商品が届くしくみとなっており、衣食住すべてを取り扱う店舗であり、要望に応じて取りそろえることも可能。従業員が被災した際の応援体制もあり、今回の熊本地震についても関東より従業員が応援に向かっている。紙皿や紙コップなど、被災地優先に供給している。
  • (株式会社オーシャンシステム)店舗の再開が最優先。三条の水害の際は、5日間休業した。中越地震の際は、小千谷市総合体育館の近くでカレーを提供したり、店内の食材で食事を提供した。
     災害の際にこれまでの経験を生かしてきたが、今冬の見附-長岡間の雪害の際は流通も停止し、ヨシケイの食材、弁当等が届けられなかった。幹線道路が閉鎖し動けなかったことから、今後は宅配用の小型のトラックの確保など、新たな対策が求められていると実感。今後もいろんな形で地域に貢献したい。

 最後に管内市町村から、要配慮者用食品の備蓄状況や住民への普及・啓発に関する取組について報告があり、当部伊藤副部長より全体のまとめと本日の参集機関の連携した取組についてお願いし、会を締めくくりました。

 新潟県三条地域振興局健康福祉部では、今後も本検討会を継続的に開催すると共に、管内市町村や関係団体の皆様と災害食の普及・定着化に向けた取組を進めていきます。

熊本地震での支援活動のパネルとこれまでの「災害時栄養・食生活支援活動」に関する検討会報告書、にいがた災害食レシピなどを展示しましたの画像
熊本地震での支援活動のパネルとこれまでの「災害時栄養・食生活支援活動」に関する検討会報告書、にいがた災害食レシピなどを展示しました

関連リンク

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