新潟県ホーム の中の健康・医療・衛生の中の島民クローズアップ・インタビュー(テーマ:“育む(はぐくむ)”)vol.2

 島民クローズアップ・インタビュー(テーマ:“育む(はぐくむ)”)vol.2

2008年08月21日
島内で頑張っている人を紹介する「島民クローズアップ・インタビュー」をお届けします。
 毎月、佐渡地域振興局の各所属や事務所が「育む(はぐくむ)」というテーマをもとにふさわしい方を訪ね、インタビューを実施します。
※インタビューの記事は、毎月21日に更新します。

 第2回目は、社団法人「認知症の人と家族の会」新潟県支部佐渡エリア(さどマイマイ)の世話人の川原佳代子(かわはらかよこ)さんを訪問しました。川原さんはご自身も2人の認知症の家族を介護しその経験を生かし家族の会を立ち上げ、交流会で家族同士の絆を「育んで」いらっしゃいます。家族の会や認知症について語っていただきました。

さどマイマイ世話人の川原さん

さどマイマイ世話人の川原さん

Q1 「認知症の人と家族の会(さどマイマイ)」の活動内容を教えてください。

川原さん

 月に1度、家族交流会を行っています。家族同士の集い・交流会なので「つどい」を大事にしています。県内各エリアで相談業務、電話、面接、メール相談をやっていますが、佐渡では電話と面接相談をしていて平均して、電話相談は月5~6件、面会相談3人~4人くらい受けています。ほかには世界アルツハイマーデーの広報活動などです。

川原さん

Q2 世界アルツハイマーデーって?

 毎年9月の21日が世界アルツハイマーデーで、世界60以上の国と地域で、アルツハイマー型認知症に関する理解を求めるための様々な活動が展開されています。佐渡で一番人が集まる所はさみしいけど病院です。今年は9月21日が日曜日なのでその前後の平日の朝の時間帯に病院の前でリーフレットを配ってアルツハイマーを周知したいと思っています。
 また、10月9日の木曜日に佐渡市と一緒に講演会を予定しています。講師に家族の会の新潟県支部の代表の金子裕美子さんを呼んで介護講演会を行いたいと思っています。

Q3 家族の会を立ち上げたきっかけを教えてください。

 佐渡市の家族介護教室で介護者の人達が集まって、1年間ほぼ同じメンバーで話し合いをしてきました。「仲間になったのにこれで終わりっていうのは寂しいよね。来年はこの教室があるかどうかもわからないのでせっかくここで会ったんだし、何かやりたいよね。また集まる場所を作りたいね。」ということで、立ち上げました。

Q4 立ち上げてみて皆さんの反応はどうですか。

 介護者同士だからわかる内容の話し合いの中で「勉強になったなぁ。」という意見があります。「今はまだそこまで進行してないけれどもうちもいずれはそうなるんだな」ということをふまえて話を聞いていると、いざそのときになって案外「この間、聞いた話がうちもとうとう来たよ」って感じで対処できるという話をよく耳にします。

Q5 正式名称は「認知症の人と家族の会」新潟県支部佐渡エリアですけど、通称としての「さどマイマイ」の由来を教えてください。

 「さどマイマイ」ってカタツムリの名前です。佐渡の一部の地域(外海府)にしか生息していなくて一般的なものより小さくて、うずまきがちょっと違う、希少価値の高い佐渡固有種の珍しいカタツムリです。そんなことから「佐渡独自の活動があってもいいんじゃないか、背負っているものはあるけれど、ゆっくりでもいいマイペースで自分たちだけのそういう会があってもいいんじゃないか。」ということでつけました。

Q6 世話人として、活動のなかで配慮している点、大事にしている点を教えてください。

 つどいで皆さんが話しをする内容は一番つらい事とか、家族の中の話なので、気をつけているのはこれを表に出さない、絶対口外しないという事です。世話人だけでなく参加している人にも、ここだけの話で外には持ってでないようにしようと絶えず言っています。安心して話しをしてもらうためにはここから話を持ち出さないという事に一番気をつけています。

 つらい時期の話が多くて、泣きながら話をされる人も多いので気持ちをできるだけくみ取りたい、簡単に返事をしちゃいけない、簡単に答えが出る問題じゃないので、相手の気持ちが今どういう状態であるのか見極めることが大事で自分が発する言葉にものすごく注意しています。

Q7 平成19年4月に会を立ち上げて以来、今までの中でうれしかった出来事は。

 うれしい一言っていうのが、集いの帰り際に「あー、これでまた次までがんばれる」という言葉。

 かなり行き詰まって泣き泣き来た人が笑顔で帰れる。はじめは1時間経ったら帰らなきゃと行っていた人が話しているうちに、お弁当を買いに行って結局1日過ごすとか、それはやっぱり気持ちを許してくれてリラックスできる場所であるんだなと、言葉ではなく行動で手に取るようにわかる、そんな家族の人の反応が一番うれしい。

Q8 つらかったこと、大変だったことを教えてください。

 「死にたい、つらい、これで限界だ。相手をどういう風に終わらせようか、昨日遺書を書いた。」という思いは、介護を経験する家族であれば誰でも感じることではあるけれど、そういう言葉を現実に耳にすることがつらい。たいへんだ私このまま死ぬかもしれないって飛び込んできたときとか、どうしようか、病院にいってもらったほうがいいのか、落ち着いてもらうのが先か、ギリギリのところで来る人の対応がむずかしい。

Q9 佐渡地域と他の地域の違い,特徴などがあったら教えてください。

 佐渡での介護者が大変という中のひとつに、視野が狭い、世間が狭いというのは避けて通れない問題という事があります。つらくてある人にポロッと愚痴をこぼしたら、たまたま遠い親戚だったとか、近所のひとだった。このつどいに施設の職員が仕事上の参考に家族がどういう思いでいるのか、家族とのコミュニケ-ションをうまく取るために一緒に話しを聞かせてもらいたいと来ることがあるけど、自分の家族を預けている施設の職員だったりするとちょっと待ってくれ本音の話なんかできないぞとなってしまいます。

 認知症に対して地域の理解が少ないために家族が隠したがる。介護者が佐渡の狭さに直面しているのは現実です。安心して自分の気持ちを全部話せるかというとむずかしい。リフレッシュできる場所って佐渡ではなかなかないかもしれないので、この会をそういう場所にしていきたいと思います。

Q10 ホームページを見てくださっている方に、メッセージをお願いします。

 認知症をもっと理解してもらいたいです。今は認知症って言葉がマスコミでも特集などが組まれたりします。昔と違って認知症、アルツハイマーなどに対して、症状とかを理解してもらえていると思いますが、認知症と一言で言っても、その原因となる脳の病気はいくつかあります。認知症は症状がみな同じってわけではなくて、原因となる病気で違います。

 また、今は若年期の認知症がすごく増えている。若年期で困るのは仕事に差し障りがあって仕事が続けられなくなる。男性ですと家庭を支えているお父さんが認知症になってお客とのトラブル、同僚とのトラブルで仕事を辞めて家にこもってしまうケースが佐渡でも増えています。その中でどこまでみんなが理解できるか、若年期の認知症の初期の人をサポートしながらでも職場に使ってもらえるか、そういう時代に入っていくんじゃないかな。


 今年のアルツハイマーデーに揚げている「地域のみんながサポーター」って言葉のとおり、家族だけじゃなくて、地域が理解して支えようという気持ちがないと家族だけでは対応できる事ではないのです。地域が協力して家族・本人などをサポートしてくれる制度や体制ができるといいなと思います。病気を知ってもらい、近くにもし認知症の方がいたら自分がどういうサポートができるか考えてもらえると本人も家族もほっと安心できると思います。

「認知症の人と家族の会」新潟県支部佐渡エリア(さどマイマイ)

   住 所:佐渡市真野新町132-3
       真野商工協同組合2階 (看板あり)
   電 話:090-3087-1125


☆インタビュアーから☆

 ほかにも川原さんから、「認知症がかなり進んだ人でも自分の将来が不安だったり、家族に私はどうなるのと質問するくらい、自分の置かれた状況をそこまで分かっているのかということがあります」「認知症は、進み方はそれぞれだけど、時間をかけてだんだん死に向かっていく病気。それをどうやってなだらかにするか、その人がどうやって人生を全うできるかは周りのサポートにかかっているかもしれません」といったお話がありました。

 認知症は、身近な病気で、特定の人だけではなく、誰にでも起こる可能性がある病気です。しかし、実際は単なる老化による物忘れと見過ごされてしまったり、病気と気付かず本人の心がけが悪いと批判されることは珍しくありません。家族が変だなと思ってから何年も経ってようやく受診するというケースもあります。「ひょっとして認知症かな?」と気付くことがまず大切です。認知症があっても、ご本人もご家族も安心して暮らせる地域を「育む」ために、1人でも多くの方に、認知症について関心を寄せていただけたらと思います。

健康福祉環境部 地域保健課 清水