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新潟県ホーム の中の市町村・地域振興の中の【津川】新潟ふるさとレポート「潜入レポート『いな虫おくり』 ~地域の絆を結ぶ行事~」

 【津川】新潟ふるさとレポート「潜入レポート『いな虫おくり』 ~地域の絆を結ぶ行事~」

2010年08月05日
新潟地域振興局が所管している地域は、新潟市、五泉市、阿賀町です。
 この「にいがたふるさとレポート」では、地域にある隠れた名所やイベントなどのさまざまな地域情報を、地域で活躍されている方々へのインタビューを交えながら、ご紹介します。
 今回は、阿賀町の伝統行事「いな虫おくり」についてお届けします。

「いな虫おくり」ってどんな行事?

 「いな虫おくり」は、稲に虫が付くことなく豊作になることを祈って行われる行事で「稲虫おくり」とも書き表されます。子どもたちを主役に地区をあげて行われる行事で、かつては町内各地区で行われていましたが、近年ではごく少数の地区でしか行われていません。
 そのなかで今回は、去る7月18日に綱木地区で行われた「いな虫おくり」の模様をご紹介します。
 当日は、照りつける太陽のもと多くの子どもたちが詰めかけ、地域の皆さんと一緒にまちを練り歩きました。

♪イーナームーシ オークロデー♪

 みんなで力を合わせて社檀(しゃだん)と太鼓を引きながら、地区内をひと回りします。太鼓を叩く子どもたちは、代わる代わる木の枝で作られたバチを使って力強い音を響かせます。
 地区によっては、大声で「イーナームーシ オークロデー」「いな虫送れや いな虫おくれや」とむし送りの唄を唱えながら歩くこともあるそうです。
 力強い太鼓の音や想いの込められた唄声が、稲から虫を追い払うのかもしれませんね。
 余談ですが数年前、地区内の綱木小・中学校(現在は廃校となっています)の子どもたちが、むし送りの唄を合唱風にアレンジして合唱大会で披露したところ、大喝采を浴びたことがあったそうです。その年は、さぞかし豊作だったのでしょうね。

うだるような暑さのなかでも、子どもたちは疲れ知らずです

 社檀は菖蒲や杉皮で作られ、アオイの花(別名「稲虫の花」)や赤いバラの花が結びつけられます。古くはその中に、泥で田んぼの型をつくって苗をさし、泥でつくったナメクジを入れていたそうです。
 社檀とともに子どもたちの元気な声と太鼓の音が地区を巡り、道々、住民の方々から子どもたちへの贈り物が、社檀を満たしていきます。

社檀はお菓子でいっぱい!

 住民の皆さんからの「お疲れさま!」「冷たい水でも飲んで行きな!」というかけ声や、子どもたちの「ありがとうございます!」「水うめぇー」という明るい声が、行列を賑わします。お菓子やお団子の贈り物を受け取る子どもたちの嬉しそうな表情がとても印象的でした。
 住民の方々も子どもたちが通るのを待ちわびていたようで、とても嬉しそうに子どもたちに声援を送っていました。

渡す方も受け取る方も皆笑顔です

子どもたちの笑い声が綱木川にこだまする

 行事の最後には、社檀を形作っていた菖蒲を綱木川へ納めます。昔は、綱木川の近くにある通称「社檀川」に納めていたそうです。
 疲れ知らずの子どもたちは、元気いっぱいに菖蒲をどんどん投げ込んでいきます。
 子どもたちの明るい声とともに菖蒲が川に舞って、「いな虫おくり」は終演となります。
 集合場所に戻ると、参加した子どもたちは、年長の子どもを中心に住民の皆さんから贈られたお菓子やお団子を分け合います。お菓子の分配が平穏に済むと、参加者は1日の労をねぎらいながら、みんなの元気と豊作を願って帰路につきました。

子どもたちの笑い声のなか菖蒲が舞います

「いな虫おくり」を続ける意味 ~上綱木区 二瓶区長~

今年の綱木地区「いな虫おくり」を無事終えた上綱木区の二瓶区長は、こう語ります。
「地区の子どもたちが年々減っていくなか、伝統行事を続けようとする地域の人々の強い思いを大切にしたいと思っています。仮に行事の本来の意味が薄くなったとしても、村の人々が集まったり皆で沿道に出て顔を合わせる機会があることで、地域のまとまりや絆を強めることになるのではないでしょうか。「いな虫おくり」が、地域住民や子どもたちのふれ合いの場となることが、一番の願いです。」
※綱木地区には上綱木区と下綱木区があり、毎年交互に開催を担います。

上綱木区長 二瓶さん


★☆★☆レポーターより★☆★☆
 今回ご紹介した綱木地区では、年々、地区内の子どもたちが少なくなりながらも、地区から離れた人々や他の地区の子どもたちからも参加を得て、伝統行事を続けています。「いな虫おくり」とは、地区の絆、地区を出た人々の絆をより一層強く結ぶ伝統行事なのだと実感しました。
 この記事をご覧になっている皆さんが住む地域にも、いろいろな伝統行事があると思います。その行事もきっと、人と人との絆が成すものでしょう。地域の伝統行事から疎遠になっている方は、遠のいていた足を少しだけでも向けてみませんか。その一歩はきっと、地域の絆をより強くする大切な第一歩になるはずです。

津川地区振興事務所 北村&剱