新潟県ホーム の中の農林水産業の中の「たんぼダム」始めました!

 「たんぼダム」始めました!

2009年08月15日
新潟地域振興局企画振興部
新潟地域振興局が所管している地域は、新潟市、五泉市、阿賀町です。
 この、「にいがたふるさとレポート」では、地域にある隠れた名所やイベントなどのさまざまな地域情報を、インタビュー形式でご紹介しています。
 ぜひ、記事をご覧になって、各地に足を運んでくださいね!
 
このスティックはなんでしょう?(下の見出しをご覧ください。)

このスティックはなんでしょう?(下の見出しをご覧ください。)

我々にできる排水対策はこれだ!

 私たちの暮らしている新潟市南区の白根郷は、信濃川と中之口川に囲まれた南北約20kmに渡る縦長の土地、いわゆる「輪中地帯」です。
 水が溜まりやすい「低い土地」に暮らす私たちの生活は、排水機場の排水ポンプに支えられています。
 しかし、たんぼの水位を30cm以上越えるような急激な雨が降れば、排水が間に合わず住宅も畑も全て水に浸ってしまいます。
 現在稼働しているポンプの排水能力には限界があります。では、どうやって浸水を防ぐか、「できる範囲で!負担を軽く!」を合言葉に知恵を絞りました。
 ある日、元々たんぼが持っている貯水機能をフルに活用する「たんぼダム」はどうかな!と閃きました。

白根郷土地改良区理事長の河内さん

白根郷土地改良区理事長の河内さん

「平場にダムはそぐわない!」と言われましたが・・・。

白根郷は平らな田園地帯です。

 「たんぼダム」というネーミングで、白根郷内の全組合員にこの取り組みをPRしようと思ったところ、「平場にダムはそぐわない」と言われたこともありました。私はピッタリのネーミングだと思ったのですが・・・(苦笑)。新潟大学が「田んぼダム」と呼んで研究成果を発表したりもしまして、今では認知されてきたようですね。
 白根郷はポンプの排水能力を上げてもらうことも、排水路を大きくしてもらうこともなかなかできないので、実際に自分でやってみることにしました。
 取り組んで実感しましたが、降った雨をたんぼから少しずつ排水路に流すので、排水路に余裕ができ、転作田の排水が楽になり、水に浸かると根腐れをおこす大豆などの作物を保護することができました。

白根郷は平らな田園地帯です。

「たんぼダム」が与える恩恵に感謝。

たんぼダムのイメージイラストです。

イラストにあるように、たんぼダムには様々な機能が備わっています。

農家のメリット 
・たんぼに水をたくさん貯めるので、転作田から水をどんどん流しても排水路に水があふれません。
・転作田を完全に排水できるので、転作農作物を保護します。
・安心して転作することができ、転作率の向上が期待できます。
・水が地域内にあふれなくなり、特に果樹農家の多い白根郷では、果樹の保護につながります。
・たんぼの乾かしすぎを抑えるので、コメの品質向上にも貢献します。

都市住民のメリット
・たんぼに水を貯めると夏場の「水打ち」と同じ効果で周辺の気温が下がり、ヒートアイランド現象を防止する効果が期待できます。
・ゲリラ豪雨にも「たんぼダム」は対応します。我々のたんぼで約200~300万トンの水を貯めるので、市街地の浸水を防ぐ効果が期待できますよ!
・動植物がたんぼ周辺に戻ってきました。特に、カエル、コブナ、どじょう、メダカ、タニシが増え、昔ながらの田園風景が楽しめます。
 これらの水生生物は、かつては用水路でよく見られたものです。これを餌にする「サギ」がしょっちゅう飛んできます。
 「トキもつられて来ないかな~」なんてみんなで言っています(笑)

たんぼダムのイメージイラストです。

雨に金棒!!

これが噂の「マジカルたんぼダムスティック」です。

 「たんぼをダムにする」・・・。
 想像してみてください。

 ダムは水が漏れないように、しっかりとコンクリートで固めています。稲作田では、コンクリートの役目を果たす「畦(あぜ)」を土で作って、水が漏れないようにしています。畦をしっかりと作らないと「たんぼダム」の機能を果たしません。
 
 一番大変だったことは、「水を貯めながら少しずつ排水させること」。
 
 いろいろ試しましたがゴミが溜まるなどの問題が起こり、有効な手法が見つかりませんでした。
 試行錯誤の結果、昨年新潟大学さんと協同で「マジカルたんぼダムスティック」を開発!ステンレス鋼板で作った流出量調整金具で、ゴミ詰まりせず、いい按配で排水できるようになりました。
 このスティックを、たんぼの排水マスに突き刺して、突起を板の間に挟めば、貴方のたんぼも立派な「たんぼダム」!
 突起(左の写真)がギザギザになっている事にも意味がありますよ。
 たんぼの面積(20・30・40アール)に応じて、板を乗せる場所も突起の左端から右へ一段ずつ変えます。
 ほんの小さな工夫ですが、たんぼの大きさが違っても同じ水位を保ちつつ排水できるようになりました。

これが噂の「マジカルたんぼダムスティック」です。

「マジカルたんぼダムスティック」はこのように正しくご使用下さい

「マジカルたんぼダムスティック」はこのように正しくご使用下さい

最後に一言!

 昨年、この取り組みに白根郷の農家からご協力をいただくことができ、白根郷全田面積の約半分を「たんぼダム」にすることができました。取り組む面積が増えれば増えるほど効果があります。
 地域だけではなく、地球を守ること。そして、安全に農作物を作ること。この二つを目標としながら、白根郷内で「意思を統一して」進めていきたいですね。
 いつか白根郷に蛍が戻り、乱舞する日を夢見ながら・・・。

笑顔でうれしそうに語る河内さん。

笑顔でうれしそうに語る河内さん。



★☆★☆レポーターより★☆★☆
 川のはんらんとの戦いだった輪中地域「白根郷」。
 行政だけに頼るのではなく、農家自らが水をコントロールする「たんぼダム」の取り組み。河内さんを始め、白根郷のみなさんのご尽力には頭が下がります。
 市街地に住んでいる私たちにはその恩恵がわかりにくい、「たんぼ」。
 この夏、たんぼや用水路で、童心に返って水生生物を探すとっておきの穴場は「たんぼダム」かもしれません。
 昔ながらの田園風景を維持いただいていること。それだけでもありがたいことです。

 新潟地域振興局農林振興部 星野 
 新潟地域振興局企画振興部 佐々木&鎌倉