ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 組織でさがす > 農林水産部 内水面水産試験場 > ルーバースクリーンによる魚類迷入防止技術開発

本文

ルーバースクリーンによる魚類迷入防止技術開発

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0053943 更新日:2019年3月29日更新

要約

 効果的な魚類誘導を行い、迷入防止を行うことのできるルーバースクリーンとバイパスの設置条件について明らかにした。

背景・ねらい

 当県の河川は、農業県であることから農業用取水施設が数多く存在しているが、その施設から取り入れられた水は複雑に分岐し、魚とともに用水路や田んぼに入り資源の減耗を引き起こしていることが過去の調査から確認されている。
 このような実態から資源の有効活用を図るため、取水口へ迷入*1してしまった魚を再び元の川に戻す誘導方法について検討を行う必要がある。
 本試験は、ルーバースクリーン*2を用い魚類誘導を行うこととし、その効果的な設置方法について検討した。
*1魚類が、本来生息域ではない場所に入り込むこと
*2格子状のスクリーンで格子の間隙が大きいため取水に影響が少ない構造であり、格子間隙を水が通過するときに間隙内に細かい渦が生じることで、その渦を魚が嫌うことを利用し誘導を行う。(写真1、図1)

成果の内容・特徴

 スクリーンは基礎試験を踏まえ、設置角度30°格子間隔18cmと固定し、バイパス幅15cm、25.5cm、36cmのそれぞれについて試験を行った。その結果、バイパス幅25.5cm、バイパス流量比*3 約40%のとき、最も効果的な魚類誘導(魚類誘導率*4 73.8%)を行えることが判明した。(図2)
 *3 バイパス流量比 バイパス内流量/水路全体の流量
 *4 バイパス内に誘導された尾数/降下した全尾数
※ 魚類誘導率は、バイパス流量比を大きくすることで、高まることが判明した。ただし、ある一定以上のバイパスの流量比を越えると魚類誘導率は低くなる。(図2)

成果の活用面・留意点

  1. 魚類誘導が、ルーバースクリーンにより可能となり、魚類が各種の取水口を回避し降下及び遡上できる。
  2. 各種の取水口に迷入し減耗していた資源を有効に活用でき、資源増大が期待できる。
  3. 実用化するには、対象河川に適応する条件設定が必要である。

具体的データ

写真1ルーバースクリーン(魚類を左方向に誘導する)の画像
写真1ルーバースクリーン(魚類を左方向に誘導する)

写真1の模式の画像
図1 写真1の模式図

 試験は供試魚サクラマス稚魚200尾をスクリーン上流に放流し、スクリーン付近での魚の行動をビデオカメラにより観察した。バイパス側とスクリーン側へ入った供試魚を分類し、バイパス内への魚類誘導率を算出した。なお、スクリーンの格子枚数を10、9、8枚と変えることでバイパス幅を調節し、検討を行った。

各バイパス流量比における供試魚のバイパス誘導率の画像
図2 各バイパス流量比における供試魚のバイパス誘導率

その他

研究課題名:内水面放流資源等利用向上対策委託事業
予算区分:国委
研究期間:平成8年~12年
発表論文:平成12年内水面放流資源等利用向上対策委託事業報告書

内水面水産試験場 資源課
Tel 0258-22-2103

<外部リンク> 県公式SNS一覧へ