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経口投与剤によるニシキゴイの寄生虫駆除

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0053972 更新日:2019年3月29日更新

要約

 プラジクアンテル製剤を経口投与することで、ニシキゴイの寄生虫を駆除し、寄生虫症の被害を低減でき、従来の薬浴法に替われる。

背景・ねらい

 ニシキゴイの魚病において寄生虫症が占める割合は高く、大きな問題となっている。また、寄生虫による害作用には、細胞に対する食害や固着刺激による粘液分泌過多などの直接的な作用のほか、魚体を池底面等に擦り付けることによって生じる傷口が細菌性疾病の原因となることなどがあげられる。従来、ニシキゴイの寄生虫駆除は、使用できる薬剤の種類が限られている上に、経口用の水産医薬品がなかったことから薬浴を中心に行われてきているが、魚の移し替えにおけるハンドリングによるストレスと作業労力が大きいことから改善が望まれている。そこで、プラジクアンテル製剤の経口投与による寄生虫駆除効果について検討した。

成果の内容・特徴

  1. 対象寄生虫は単生虫類(ダクチロギルス、ギロダクチルス)、繊毛虫類(トリコディナ、キロドネラ)であり、特に単生虫類に有効である(図1,2)。
  2. 投与方法:魚体重1kg当たり0.15g(力価)のプラジクアンテルを3日間連続投与する。
  3. 使用方法
    1. プラジクアンテル製剤を適量のアルコールに希釈する。
    2. 餌料に均一になるように十分に混合して吸着させる。
    3. アルコールを揮発させるためにしばらく放置する。
    4. 餌料に展着剤を混合し、餌料表面をコーティングする。
    5. 全ての飼育魚が摂餌するように給餌する。

成果の活用面・留意点

  1. 本剤を餌料に添加した場合、味、においに起因する摂餌低下がみられることがあるので、展着剤によるコーティングを確実に行う。
  2. 摂餌能力が低下した重症魚では効果が得られないため、早期発見、早期治療に努める必要がある。
  3. 寄生虫のうち、甲殻類のイカリムシ、チョウ、繊毛虫類の白点虫には無効。

具体的データ

プラジクアンテル製剤経口投与による体表粘液0.1g中のダクチロギルス虫体数の増減の画像
図1 プラジクアンテル製剤経口投与による体表粘液0.1g中のダクチロギルス虫体数の増減

プラジクアンテル製剤経口投与による体表粘液0.1g中のトリコディナ虫体数の増減の画像
図2 プラジクアンテル製剤経口投与による体表粘液0.1g中のトリコディナ虫体数の増減

その他

研究課題名:魚類防疫体制整備事業
予算区分:国補・経常
研究期間:平成11~15年度
発表論文等:なし

新潟県内水面水産試験場 病理環境課
Tel 0258-22-2109

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