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新潟県ホーム の中の建設・まちづくりの中の流雪溝(りゅうせつこう)
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流雪溝(りゅうせつこう)

2005年11月17日
●流雪溝は、自然の流水の運搬作用を利用して雪の塊を流して排雪するための施設ですが、人力や機械による流雪溝への雪の投入作業が伴ってはじめて効果が発揮される施設です。
 既成市街地においては、家屋が密集しているにもかかわらず、道路幅員の狭い所がたくさんあります。このような地域では、屋根雪処理も含めて除雪した雪を処理しなければなりませんが、機械による除排雪には交通規制が伴い困難を極めますし、仮に消雪(しょうせつ)パイプが設置されていたとしても、それだけではとても処理しきれない状態になります。
 このようなことから、家屋が密集する市街地内にある道路の除排雪対策として、流雪溝はたいへん有効な施設です。
●いつから活躍し始めたのでしょうか?
 雪国に住む人たちは、独特な方法で雪と闘いながら生活をしてきました。雪道を歩くための履物や屋根の雪降ろしに使う道具、雪の中で通路を確保する「雁木」等がその良い例です。
 これらの中には水を使って雪を消そうとする試みが取り入れられていて、「タナ」と呼ばれる池や「ホーリッコ」と呼ばれる水路があります。この「ホーリッコ」と呼ばれる水路が流雪溝の原形と言われています。
①タナ(タネ、タナキ、種池)
 屋敷内の池に川水を引き入れ、春先は種籾を浸して発芽を促し、夏季は鯉を泳がせる池として朝晩農作業を終えて家へ上がる前に農具や手足を洗い、冬季は消雪に用いる池を「タナ」と言っています。
 雪が降り始める頃、入口を広げて川水を多く流し込み、流れ出るようにします。降りしきる雪も「タナ」の上には積もらず、屋根雪を投げ込んでおくと、融けるものと流れ出るものとで、一夜のうちに消雪できる施設です。
②ホーリッコ(中掘)
 魚沼市四日町は、豪雪地域にありながら消雪施設が整備されていて、冬期間でも荷の上げ降ろしが容易にできることから、物資輸送の基地として栄えた魚野川沿いの川港で、大正12年(1923年)に上越線が開通するまで重要な川港でした。道路の中央を流れる「ホーリッコ」の中へ土俵を入れて水を路面にあふれさせ、道全体が「タナ」となって雪を流したり、消したりしていました。そして屋根雪は南側と北側とを交互に流し、その上をソリが通れる道となるような配慮も払われていました。
 これが流雪溝の原形です。
③ホリッコ(溝)
 四日町に隣接している小出(島)は、文化年間(1804年~1817年)の頃、製糸業が始まりました。明治になって製糸業は輸出の花形産業となり、小出には大小の製糸工場が新設されました。
 その頃の動力は水車で、水車の効率を高めるため、工場が共同して「ホリッコ」の川幅を拡げ、屈曲を少なくするため人家の床下を通したり、石垣を積む等の大工事が行われました。
 大正期に入って水車は電気モーターに変わりましたが、「ホリッコ」は生活用水路、冬は雪流しに用いられていました。ところが「ホリッコ」に雪の塊がつかえて、床上浸水がたびたび起きたので、いつの頃からか、秋末に水口を細くするようになりました。
 昭和9年は最深積雪378cmという大雪の年で、雪は屋根より高く積み上げられ、雪のやり場がなくなりパニックの状態となりました。この時、3人の若者が決死隊となって雪のトンネルを掘り続け、「ホリッコ」の水口を探しあてて、水を流すことに成功しました。水番という水路管理人を設け、浸水事故もなく、雪の大山も「ホリッコ」の偉力で処理することができました。
 その後、住民の自主的な管理体制のもとに、細い小路にも「ホリッコ」の支流を設ける等の改善が行われてきたのが魚沼市(小出)の流雪溝です。
 このように水を利用した「ホーリッコ」、「ホリッコ」が雪流しに活用されるようになり、改良に改良を重ねながら、街の中を網の目のように配備されるようになりました。

●水はどこから来るのでしょうか?
 流雪溝を設置するのに最も必要な条件は、付近に取水可能な適切な水源、が安定して豊富に得られることです。水源としては、河川水、湖沼水、地下水、都市下水等がありますが、一般的に最も水源として利用されているのは河川水です。
 地形的に適度の高低差があれば特別な方法によらなくても取水が可能で、取水した水を流雪溝に流して再び取水した河川に戻せるからです。
 流雪溝の勾配は地形の勾配(高低差)の影響を受けますが、流雪に適した勾配は一般的には1/50~1/500が良いと言われています。
 勾配がきつすぎると水深が得られないために雪塊が流雪溝の壁に貼り付いてしまい、水が下方のみに流れてしまう危険がありますし、逆に勾配が緩すぎると雪塊の流れが不良となり詰まってしまい、溢水等の危険があります。
●誰が雪を投入しているのでしょうか?
 流雪溝への雪の投入方法は大部分が人力主体で、沿道住民の克雪に対する意識と協力体制が合わさってはじめて効果的に運用できる施設です。
 流雪溝の流下能力以上に雪を投入した場合、雪が詰まってしまい溢水して人家や道路に浸水することがあります。このように雪投入のルールを無視して、自分の都合で自分勝手に雪を投入しては大変な結果になることがあります。
 流雪溝を円滑に運営していくためには、地元住民が中心となって「運営組織」を作って運営計画を策定し、その計画をみんなで守っていくことがたいへん重要です。
 流雪溝は、うまく運営していくための組織化や運営計画の策定、遵守が前提の施設であるとも言えますね。 

【参考文献】
・「流雪溝設計運営要領」 (社)北陸建設弘済会