このページの先頭です メニューをとばして、このページの本文へ
新潟県ホーム の中の防災の中の【長岡】「災害時の食の備えを考えるセミナー」を開催しました
本文はここから

【長岡】「災害時の食の備えを考えるセミナー」を開催しました

2018年03月29日
 長岡地域振興局では、被災生活における食生活が災害後の健康状態に著しく影響を及ぼすことから、災害が起きても「健康的な食生活が継続できる」ことを目指し、平成26年度から「災害食」の普及啓発に関わる様々な取組を重ねてきました。
 今年度は1月30日(火)に、これまでの取組の成果を関係者と共有するとともに、未だ残されている課題である「自助の充実」と「要配慮者に関する食の備え」を更に進めるため「災害時の食の備えを考えるセミナー」を開催しました。

主催者あいさつ

 セミナーの開催にあたり、片桐部長が挨拶しました。
 平成16年の中越大震災、平成19年の中越沖地震等の災害の経験から、食や栄養に関する多くの課題が浮き彫りになってきました。「災害食」の取組を始めた平成25年度当初は、「被災生活において栄養・食生活が災害後の健康状態に著しく影響を及ぼす」ことについて関係者の皆様と共有するところから始め、その後、関係者の皆様の御理解と御協力のもと、課題解決に向けた取組が徐々に進めれらてきました。しかし未だに、災害が起きるたびに「避難所では、炭水化物中心で野菜等が不足している」、「高齢者には食べにくい」、「冷たい、硬い」等の栄養・食生活の問題が続いていることも事実です。本日のセミナーは、被災生活を健康的に過ごせるよう「あらゆる人のための食の備え」特に「自助の充実」と「要配慮者に関する食の備え」に焦点を当て参加者の皆様と共に考える機会としてこのセミナーを企画しました。本日のセミナーをきっかけに各地域、各所属で食を通じた防災・減災対策がより一層推進されることを期待しております。

片桐幹雄部長

セミナー日程

【出席いただいた皆様】
○給食施設(病院、介護老人保健施設、老人福祉施設、社会福祉施設、学校、保
育所等)の管理栄養士・栄養士及び防災訓練担当者等
○災害食の普及啓発に関する取組を企画運営する関係組織(自主防災組織等)の担当者
○教育機関等(幼稚園・保育所、小学校、中学校、専修学校、大学)の担当者
○参加を希望する県の地域機関職員等
○長岡地域災害時食のセーフティネット検討会構成組織の担当者
長岡市医師会、長岡歯科医師会、新潟県栄養士会長岡支部、長岡地域介護支援専門員協議会、食生活改善推進委員協議会長岡地区連絡会、中越防災安全推進機構、中越市民防災安全士会、有限会社エコ・ライス新潟、株式会社タケショー、ホリカフーズ株式会社、市町(危機管理部門、保健福祉部門、教育委員会)

【参加者数】  117人

基調講演「災害時の食の課題を解決するための『食の備え』について」

【講 師】 
  藤村 忍 新潟大学 地域連携フードサイエンスセンター事務局長・准教授
【内容】
①これまでの災害が残した教訓から、今後の食の備えについて
 ~被災時の状況と食の課題~
  ・成人に比べ、子ども・高齢者・要介護者の食事対策は不十分
  ・栄養素や量などの制限食を必要とする方が多い
  ・高齢の方等、誤嚥性肺炎が増える等の健康被害が起きる
  ・普段食べ慣れないものを、食べ続けることは難しくストレスとなる

 ~被災者のストレスを和らげるための食事~
  ・日ごろ食べ慣れた、温かい食事
  ・落ち着いた雰囲気でできる食事
  ・朝・昼・晩という個々人の規則性を持った食事
  ・毎日違う食べ物、おいしい食べ物 等

②非常食からの脱却と災害食という考え方について
 これまでの非常食は、残念ながら食べる人への配慮が少なかった。重視されていたのは、「賞味期限」「大量に保存できる物」「炭水化物中心(乾パン等)」であった。しかし、災害への食の在り方の基本は、個々人の体調を考慮した日常の食事と同様に考えることが求められる。

③日本災害食認証制度、おもいやり災害食認証制度について
 上記①②の考え方からできた制度
 「日本災害食認証制度」
  災害時に役立ち、また日常でも積極的に利用可能な加工食品について日本災害食学会が認めた食品
 「おもいやり災害食認証制度」
  被災地で生活する人々の健康をおもいやり、食品の栄養、食形態に配慮した災害食

藤村 忍准教授

実践報告・意見交換

【テーマ】
「災害時の食の課題を解決するために~『食の備え』の定着を目指して~」

【コーディネーター】
別府 茂氏 ホリカフーズ(株)取締役執行役員 経営戦略室長 日本災害食学会 理事・副会長

【助言者】
藤村 忍氏 新潟大学地域連携フードサイエンスセンター事務局長・准教授

(1)これまでの取組について

 平成25年度から食育事業の一環として「長岡地域災害時の食のセーフティネット検討会」を立ち上げ、長岡地域の食を通じた防災・減災対策の検討をスタートさせ、平成26年度から長岡地域振興戦略事業調整費事業として取組を続けてきました。その取組と成果、及び今後の目指す姿を説明させていただきました。

(2)コーディネーターからの趣旨説明

 長引く被災生活で体調を崩す避難者も災害の人的被害者であり、そこを減らすという考え方が大切になってきます。そして、災害は全ての人に降りかかってくることから、一人一人がどう備えるかが大切で、本日参加された皆様には、そのことを発信する役割を担ってほしいと思います。
 本日の実践報告は、長岡地域の好事例として報告いただきます。ぜひ、参考にしていただき、できるところから実践していただきたいと思います。

別府 茂氏

(3)実践報告

◆津軽 智子氏 小千谷市立東小千谷小学校 栄養教諭 「防災給食の取組について」
◆髙野 謙治氏 見附市企画調整課 主査  「地域防災訓練における『自助』の働きかけについて」
◆五十嵐 初代氏 特別養護老人ホームすずらんの園 管理栄養士  「施設での災害対応について」
◆井口 陽子氏 長岡市子ども家庭課 主査  「子育ての駅の備えと子育てあんしん支援者養成講座について」
◆「防災給食の取組について」 小千谷市立東小千谷小学校 津軽智子栄養教諭
 平成26年度から小千谷市内全小学校において10月23日の「中越大震災の日」に「防災給食」を食べることにより、被災生活において生き抜くためには食事が大切であることと、そのために何を備えると良いのか、備えたものをどう利用するのかを児童に伝えています。

◆地域防災訓練における「自助」の働きかけについて 見附市企画調整課 髙野謙治主査
 市で開催する「総合防災訓練」及び「原子力防災訓練」等において市の備蓄食品を紹介することを通し公助の限界と自助を促す取組を行っています。

◆給食施設の災害対応について 特別養護老人ホーム すずらんの園 五十嵐初代管理栄養士
 平成27年度から入所者と全職員を対象に災害食訓練を実施しています。訓練参加者に災害食アンケートをとり備蓄食品等の内容検討に活かしています。訓練を通し、食を切り口とした災害対応のPDCAサイクルをまわしています。

◆子育ての駅の備えと子育てあんしん支援者養成講座 長岡市子ども家庭課 井口陽子主査
 長岡市内に13箇所ある子育ての駅に「あんしん避難所(母子避難所)」として離乳食・ミルク・オムツ 等が備蓄されている。平成29年度からは「子育てあんしん支援者養成講座」がスタートし、災害時も安心して子育てができるよう母子をサポートする支援者の養成が始まりました。講座に「子育て世代の災害への備えについて」も含まれています。

(4)意見交換

~コーディネーターより~
◆見附市は、自助を促す取組を進めていますが、公助として要配慮者用食品の備蓄を増やせないとの発表がありました。課題は何か?
⇒見附市 髙野主査
 予算確保と賞味期限の課題があります。やはり一人一人が自分にあった食品を備えていただくことが大切と考えています。

◆食べてもらえる食品を備蓄することが大切であり、すずらんの園では利用者の視点にたって備蓄食品を検討されている。取り組まれての感想は?
⇒大変でしたが、試食訓練を行うことで、現実の問題が見えてきてより良い備蓄につながりました。

◆防災給食を展開されている東小千谷小学校において、災害を想定して学校給食で備える食品の選び方のポイントはありますか?
⇒東小千谷小学校 津軽栄養教諭
 栄養教諭が防災給食で伝えたいことは、学校での備蓄ではなく災害が起きた時に食に困らないよう一人一人が備えることの大切さです。基本は家庭での備蓄と、その活用を伝えたいと考えています。

◆粉ミルクを備えることについて、賞味期限の課題についても話があったが、お湯の確保の問題もあるかと思う。他の発表者の話を聞いていかがか?
⇒長岡市 井口主査
 次年度にカセットコンロを準備するということも含めて、粉ミルクの備蓄ロスについても検討を重ねていきたいと考えています。

~会場からの質問や意見~
◆要配慮者用備蓄が進まないとの話があったが、管理栄養士のいる高齢者施設に要配慮者用備蓄を行い、ローリングストックで対応するようなことができると、質・量ともに充実するように思うがいかがか?
⇒別府氏
 初期投資を自治体が行い、ローリングストックするシステムができると、入替えする必要がないので、効率が良いと思う。実例は聞いたことがないが、おもしろい考え方だと思う。

◆学校の防災教育に「被災生活を生き抜くための食の備え」に関することが組み込まれると継続した取組につながると思う。新潟県防災教育プログラムに明記するような考え方はいかが?
⇒別府氏
 食育にも防災教育にも「災害食」に関することは明記されていません。どちらにも必要になってくると思います。
⇒津軽栄養教諭
 学校の防災教育に食のことが入るのは、その学校が興味を持っていることが前提になります。防災教育プログラムに「災害食」が入れば、取り組みやすいと考えます。

◆長岡地域では災害食インストラクターを養成しています。長岡市子育ての駅で活動できるよう検討してほしい。
⇒長岡市子ども家庭課 井口主査
 次年度に向けて検討したいと考えます。

(5)まとめ

◆藤村 忍氏 新潟大学地域連携フードサイエンスセンター事務局長・准教授
 具体的な実践例が聞けて大変参考になりました。全国の防災関係者と接点があるが、新潟の取組は進んでいて参考になるとよく言われます。本日、話を聞いて改めて進んでいることが分かりました。各々の取組を共有することでさらに理解が進み、取組が充実すると思います。

別府 茂氏 ホリカフーズ(株)取締役執行役員 経営戦略室長 日本災害食学会 理事・副会長
 災害食をイメージする時、自分事として何日間か食事を抜いた時にどうなるかを考えてみるとイメージしやすくなります。そこから、要配慮者の方についても思いを馳せてほしい。災害多発時代であり超高齢化社会でもある。今までの考え方では立ちゆかない。各々の立場で今日からできることにぜひ取り組んでいただきたいと思います。

参加者アンケートのまとめ