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 【長岡】ふるさとレポート:伝統を受け継ぐ小国和紙

2007年04月15日
全国でも有名な和紙(小国紙)の産地、長岡市小国町を訪ねてみました。国と県の無形文化財にも指定されている小国和紙は、300年以上の歴史があると言われています。冬の間、出稼ぎに行ってしまう男性の留守を守る女性や子供たちを中心に、冬の農家の仕事として受け継がれてきた、雪や太陽などの自然の力を有効に利用して作られる和紙の作り方をご紹介します。

小国和紙ができるまで

小国和紙の原料は楮(こうぞ)です。楮は桑科の植物で、株で冬を越します。成長が早く、春に芽を出すと収穫時期(11月頃)までに3から4mも延びるそうです。その間、幹を太く長く成長させるために脇芽をとる芽欠き作業や下草刈りの作業が続きます。

楮畑での芽欠き作業

和紙は楮の皮の部分を使います。収穫した楮は1m程度に切り揃え、蒸してから皮をむき、表皮の黒い部分を取り除いて内側の白い部分だけにします。この白い繊維質の部分が和紙の原料となります。すぐに使わない場合は、これを乾燥して保存しておきます。

楮の木と皮引きした白皮

皮を冬の良く晴れた日に雪上に並べて天日にあてます。特に春先は楮の色素を破壊する紫外線量が多い上、雪面の反射も手伝って原料の楮を白くする効果が大きいようです。

楮の皮を雪晒ししています

ソーダ灰などを加えた水に楮皮を入れて4時間ほど煮た後、皮を水の中で洗いながらスジや汚れ、黒い表皮の取り残しなどを丁寧に取り除きます。綺麗な紙に仕上げるための根気の要る大切な作業です。この後、叩いたり機械にかけたりして細い繊維状にほぐします。

根気のいるチリヨリ作業

紙漉槽(かみすきぶね)に水をはり、叩いて繊維状になった紙の原料を入れ、更にトロロアオイ(オクラに似た植物)の根から出る粘り気のある樹液を入れてかき回し紙を漉きます。トロロアオイの樹液が持つ性質が紙漉きの重要な役目を果たしているようです。

紙漉きの作業

雪国の冬は滅多に太陽が顔を出さず、漉いた紙を天日干しできません。このため昔ながらの小国和紙の場合は、漉き重ねた紙(紙床)を春まで雪の中に埋めておきます。これは雪国である小国独特の方法で「かんぐれ」と言います。こうすることにより、漉いたばかりの柔らかい紙は雪の重みで圧搾され傷つくことなく、また一定の温度で腐食することもなく春先まで保存され、腰の強い紙になります。ここにも自然の力を借りた先人の知恵が生きています。

雪の中に埋める「かんぐれ」の様子

天日干しは3月頃の、まだ雪のある時期に行います。「かんぐれ」してあった紙を板にはりつけ天日に当てます。春先の強い直射日光と雪からの反射で多くの紫外線が当たり、紙を白く美しく晒してくれます。昔、小国では「顔が黒くなる分紙が白くなる」などと言われていたそうです。

晴れた日、雪の上での天日干し

薪で温めた乾燥機にローラーを使って貼り付け乾燥します。これはお酒のラベル(1升ビン)用の和紙を乾燥しているところです。できあがった和紙に銘柄が印刷されると、高級感のあるラベルができあがります。

漉きあがった和紙を乾燥しています

こんな製品ができあがります

透かしで模様を入れた新しい和紙も現在研究されています。現代の新しい住宅のインテリアなどにも合いそうです。

透かし入りの小国和紙

工場にあるショップには、小国和紙を使って作られた便箋や封筒、色紙などが並んでいて、つい見入ってしまいます。

ショップに並ぶ小国和紙の製品

小国和紙の歴史はこちらで

小国森林公園には「紙の美術博物館」があります。かつては盛んだったこの地域の紙漉きの様子が写真で克明に紹介されています。小国和紙だけでなく日本各地の和紙や世界の紙も見ることができます。なかでも和紙で作られた和室は見る者を圧倒します。(入館無料)

総和紙造りの和室

また、小国公民館の隣にある「小国民俗資料館」では、「小国和紙」の歴史や製作工程はもちろん、小国の歴史や文化を垣間見ることができるでしょう。

和紙作りを紹介したコーナー


レポーターから

かつては何十戸と有った紙漉きですが、今では「小国和紙生産組合」の今井さんだけになってしまったそうです。原料である「楮」の栽培から和紙の仕上げまで、雪深い小国特有の古き良き伝統を受け継ぎ、昔ながらの自然と調和した紙漉を続ける一方で、その紙に透かしを入れるなど現代風にアレンジした和紙の製造など新しい技術にも挑戦しています。和紙で作った電灯傘、電球も傘や覆いひとつで柔らかな雰囲気に変化します。今年は暖冬で肝心の雪が少なく、小国特有の「かんぐれ」や天日干しができず困ったそうです。こんな所にも異常気象の影響があるんですね。それでも小国和紙はちゃんと製造されていますので、ぜひ見学に訪れてみてください。新しい発見があるかもしれません。

長岡地域振興局 企画振興部  野崎 & 武士俣

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