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新潟県ホーム の中の家庭・子育て・青少年の中の教えて!コラム② 子どもを叩く(怒鳴る)のが止められない!
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教えて!コラム② 子どもを叩く(怒鳴る)のが止められない!

2016年10月21日

怒鳴ることや叩くことが止められなくなるパターン

①子どもが言うことを聞かないと、困った親は怒鳴ったり、叩いたりすることも。

②怒鳴られたり叩かれた子は最初はビックリしてすぐ止めますが、何が悪かったか理解したわけではないため、また同様な行動を繰り返してしまいます。親は前に成功した事(叩く・怒鳴る)をもう一度しますが、前と同じ強さでは効果が薄くなっているため、さらに強く怒鳴ったり叩いたりします。

③ふたたび叩かれたことと叩く強さが増したことで、その場では問題行動は止めますが、その後子どもは攻撃性やイライラが高まったり、「自分はダメな子なんだ」などと自己否定の気持ちがどんどん高まります。

児童相談所でよく出会うこじれた親子関係

※ここまでエスカレートすると、叩かれた子どもは『その場で固まり無表情・無反応となる』『叩かれても痛みを感じていないような平然とした態度になる』などの防衛・逃避的な態度となり、それが親にとっては「ふてぶてしい」「真剣に怒っている親をバカにしている」と感じられ、さらに体罰→身体的虐待にエスカレートしてしまうなど、こじれた親子関係となり、その修復は簡単ではありません。

暴力(体罰・虐待・DV等)がエスカレートする仕組みは依存症や嗜癖(しへき)と同じ

本当は親も叩くことは嫌であり、やむなく叩いてしまうのでしょう。しかし、一度叩いてしまうと、叩かれた子どもは「痛み」や「恐怖」でその行動を一時的に止めただけなので、その人のいないところでは同じようなことをまた繰り返してしまいます。
 叩くという体罰は「即効性」があり、すぐに目に見える効果がある事に加え、親がため込んできた子どもに対するイライラやストレスが一気に放出されることで、習慣性や依存性が高まることも最近分かってきました。(依存症や嗜癖のメカニズムと同じであり、ドメスティックバイオレンス=DVなどと同じサイクルで暴力がエスカレートしていきます。)

ドメスティックバイオレンス=DV

口で言ってもダメなら身体で教えるしかないのか?将来への悪影響をよく考えて!

叩くことを繰り返している親の中には「口でいくら言っても聞かないんだから身体で教える(痛みで教える)しかない」と言う人もいます。しかし、どんなに怖い(痛い)叱り方をしても、親の思いどおりにならない事はその後も幾度も繰り返し出てきます。そこで繰り返し叩いてしまうと「子どもを支配し言うことを聞かせる」ことがいつのまにか目的になっていきますし、その子が大きくなって力関係が逆転し我が子から力で支配されても文句は言えません。「思いどおりにならないなら力で支配していい」を教えたのはまぎれもないその親自身なんですから。

親からすると、子どもは叩かれたことなどすぐに忘れてケロッとしており、反省もせず同じ事を繰り返しているようにも見えます。
 しかし、大人になっても「あのとき訳も分からず叩かれたことが許せない。」「自分は叩かれても仕方が無い(大切にされていない)人間なんだ」と、憎しみや自己否定の気持ちで苦しみ続けることも珍しくありません。それが原因で「いじめ」「非行」「不登校」に陥ったり、大人になってからも「DV」「家庭不和」「引きこもり」「我が子への虐待」等で家族や他者とも良い関係を結べないで長く苦しむことも多いのです

じゃあ「叩く」ことはしない代わりに、大きな声で一喝しカミナリを落とすなら良いのではないか?と考える方もおられるかもしれません。
しかし、大声で怒鳴ることも叩くのと同じで「恐怖」で子どもを思考停止にして固まらせるだけであり、その後の親子関係に悪影響や悪循環を引き起こします。
 怒鳴り続けることは「叩く」よりも深い傷を子どもに残し、将来に悪影響を及ぼすことすらあります。

全く逆に「叱らない子育て」「ほめるだけで子どもは伸びる」として子どもの行動に制限を一切せず「押さえつけずにやりたいようにやらせるのが子どもにとって一番いい」と言う方もいますが、現実には「相手の気持ちを思いやる、他人に迷惑をかけない躾け」を身につけておかないと、将来、周りと上手くいかず孤立していくことにもなりかねません。

間違ったことをしたときには、正しいことを周りの大人から分かるまで丁寧に教えてもらえる権利=『叱られる権利』(賀川豊彦「子どもの権利6項目」のひとつ)が子どもにはあると考えるべきでしょう。

厳しすぎたり放任主義にならずにバランスの取れた子育てをするために「親の思いどおりにならなくても感情的にならず、生きていくのに必要な社会のルールをしっかりと伝える」というような「叱る技術(コツ)」が必要となります。

叱る技術(コツ)で大切なことは次の3つです。

①まずは叱る方がイライラを沈めるため深呼吸し冷静に
※それでも冷静になれないときはいっそのこと叱らない方が良い。
※鏡で自分を見て深呼吸するとより効果があるため、部屋のあちこちに鏡を置いてみるのも良いかもしれません。

②その子に合った「言葉」と「態度」と「環境」を準備
※「~はダメ」ではなく「~しよう」などできるだけ肯定型で、ゆっくりとかみ砕いて、冷静に毅然とした態度で常に一貫して、子どもにとって音や光などの刺激が少ない環境で(雑音が多く明るすぎる場所では子どもは落ち着けません)

③子どもの言い分を聴き、シンプルに短く伝える
※「~したいんだね。でも今は~しようね。」などその子や相手の気持ちに焦点を当てた言葉で

叱る技術(コツ)の一例:小学校低学年まで

1歳半~小学生低学年ぐらいの子どもを叱る場合は次のような手順が1つの例です。
①子どもの目を見ながら子どもの言い分を真剣に聴き、今のその子の気持ちを先ず「~したいんだね」などと受け止めてから親の「今ここでして欲しいこと」を伝える。
※「~するな」「~はダメ」というような否定型の言葉は使わず「~しようね」と説明。

②それをしても同じことを繰り返す場合は、もう一度わかりやすく説明する。
※クドクドした説教にならないように短いフレーズで

③2回して駄目な場合は、3回目で静かな刺激の少ない場所(部屋の隅、壁に向けて椅子に座らせるなど)に連れて行く。子どもが落ち着くまで親もそばについて、子どもが興奮状態になっているなら「ちゃんとお話ができるようになったら言ってね」と伝えて黙って待つ。

※小さい子なら後ろから抱きしめたり手を握ったり優しくさするのもよい。

※事前に「これからは叱るときはこうするよ」と子どもに説明しておくことも忘れずに。それでも子どもによっては泣き叫んだり強い抵抗をしますが、最初は親も負けないで抱き止めて下さい。

叱る場面では親が大声で怒鳴ったりヒステリックに叱責するのをよく見かけますが、実際には子どもはそのときに親が言っていることはほとんど頭に入っていません(落ち着いている時でも子どもは年齢によっては大人の言うことの20~30%しか理解していないと言われています)。
 上の例であげた「沈黙の時間」があると子どもの考える時間になります。また、子どもが反省の言葉を言うタイミングも増えます。自分の行動をふりかえさせ冷静になるためには、親の沈黙が一番効果的です(沈黙は無視したり放っておくことではありません)。そのときに親が言葉をかけるとしたら今その子ができていること、過去にできたことを思い出させるポジティブな言葉かけをすると良いと思います。
 これは罰としてやるのではなく、悪い行動をしている場所を移動し、刺激の少ない場所で場面転換しつつ、その行動を中断して子どもにも考えさせることが目的です。
※罰ではないので、くれぐれもトイレに閉じ込めたり、物置に閉じ込めたりはしないで下さい。

最終的にするべき事がちゃんとできたら「できたね」「がまんしたね」と認めてあげましょう。そのときにおだてたり大げさに「すごいね」「さすが」「すばらしい」などとオーバーにほめちぎると次にはもっとほめられることを求めてしまい、しまいには「親からの賞賛」を得ることが目的になってしまってきちんと善悪を考えられなくなることもあるので、単純に「できたことを認める」言葉かけが一番よいようです。