新潟県は、関係機関等の協力により、環境負荷低減に向けた鉄道や船舶へのモーダルシフトを推進するとともに、中核国際港湾である新潟港を中継点とした国内・国際鉄道網等の活用による物流回廊形成の検討を目的として、「国内・国際鉄道網等活用による物流回廊形成検討委員会」を設置し、検討を行っています。
第3回委員会を下記のとおり開催しました。
■日時 平成21年12月21日(月) 14:00~16:00
■会場 新潟県自治会館 本館 201会議室(新潟市中央区新光町4-1)
■委員構成 別添出席者名簿のとおり
■配付資料 別添のとおり
* 企業情報、検討途中の情報などの含まれる資料7及び10は非公開
1.シベリア鉄道、中国東北部の鉄道ルートについて
●概要
・シベリア鉄道は、定時性、貨物の品質維持といった信頼性の面で課題があり、実用には実証実験が必要という意見がある。
・現在、ロシアの経済状態が悪く、貨物があまり無いものの、市場原理なども徐々に浸透し、信頼性が増す方向にある。
・中国東北部の鉄道路線も、日本海ルートの開発といった方向が見えてきている。
●主な委員の意見等
・シベリア鉄道の定時性について、ブロックトレインを導入すればスケジュール通り運行されるが、100~150両/編成の大口荷主が中心である。ブロックトレインに載せることができないとスケジュールは不確実になる。
・ロシアへの輸出について、既存ルートの港間の輸送に関しては、ロシア税関の手続きはスムーズ。鉄道に載せ替える際の手続きがうまくいかず、時間がかかるケースが多い。
・シベリア鉄道利用には、線路の振動などの面でトライアル輸送が必要。トヨタ自動車は、部品等の試験輸送を行い、適切な据付、梱包の方法などを見つけたようであるが、ロシアの不況や、運賃の高さ等から実用化されていないようである。
2.地球温暖化防止対策の動向について
●概要
・日本全体のCO2排出量は1990年比6.3%増加。運輸部門は8.5%増だが、自家用乗用車の排出量が大幅に増加しているのが主な理由。
・21年3月、新潟県は「新潟県地球温暖化対策地域推進計画」を策定した。目標は、2008~2012年度の5年平均で温室効果ガスを1990年比6%削減すること。物流面での対策としては、国と連携して関係者へ輸送手段の転換や、輸送機関の低公害化等を促進することとしている。
・H21年4月の改正省エネ法施行では、大口荷主、輸送事業者に対して、省エネの取組が義務化された。
・鉄道の輸送量あたりのCO2排出量はトラックの約1/6であり、非常に効率的。
・国内CO2排出量取引の参考価格が公表されており、12/14現在で1,1713.0円/tとなっている。
●主な委員の意見等
・新潟県内のCO2排出の特色の整理と評価を行うと物流面での必要な対応等が見えてくる。
・CO2%削減を進めるためには、国が政策として誘導していく必要がある。そうでなければ達成できないであろう。
・自動車部品のCO2削減について、日本全体で1990年比-6%の目標を立てているが、自動車部品業界内では-7%を目標にしている。最近は自動車の生産が落ちているため、すでに1990年比-25%をクリアしているが、今の生産状態は黒字が全く出ない悪い状態である。
3.コンテナの効率的な輸送
●概要
・新潟港に他にない特色のある航路が必要。インランドデポ等の活用なども考えられる。
・ハイキューブ(背高)コンテナを新潟港まで鉄道輸送するには、上越線等のトンネルの支障箇所の改修を行うか、低床貨車の導入が必要。
・日本からロシア欧州部への輸送について、シベリア鉄道ルートと、横浜港からサンクト・ペテルブルグ港への海上輸送ルートを比較すると、シベリア鉄道ルートは、CO2排出量では海上輸送ルートに比べ約6t削減できるものの、運賃格差はかなり大きい。
●主な委員の意見等
・盛岡貨物ターミナル駅のインランドデポ整備事業では、JR貨物子会社で国際輸送を手がけるNVOCC(非船舶運航業者)が運営を行い、国が3年間にわたって赤字補填などの補助を行う。盛岡貨物ターミナル駅に隣接した施設にインランドデポ、保税区域、CFS機能を設けている。
・博多港の上海スーパーエクスプレスは、船の運航も日本通運が運営を行っている。同社がNVOCCとしてトータルでコーディネートしていることに意味がある。
・日立物流は、空コンをなくすために鉄道を利用して宇都宮~上海間などの輸送のコーディネートを手がけている。空コン輸送を減らすことにより、トラック輸送に対抗できる運賃水準を実現している。
・このようなコーディネートを誰が行うかが大きな問題であり、新潟港の為に働いてくれるNVOCCをみつけることができるかがポイントになる。
・ハイキューブ(背高)・コンテナを新潟港まで輸送する場合、トンネルの改修か、低床貨車の導入が必要であるが、かつて試作された低床貨車は、製造費が高く、部品も特殊で補修費用なども高額であったため量産されなかった。そういう事情があるので、この低床貨車を新たに製造すれば良いと考えない方がよい。現在、東海道線等でハイキューブ・コンテナ輸送に使われている貨車を利用するには、やはり上越線等のトンネル改修が必要になる。
4.荷主等への意向調査について
●概要
・新潟港から概ね500km圏内の県外の製造業、流通・販売業、商社等3000社にアンケート調査を行った。今後、20社程度を抽出してヒアリング調査を行う。
新潟港に興味・関心を有する企業 4.3%(82社)(12/4時点)
※ 調査継続中
・フォワーダー、港湾事業者、関係団体等へのヒアリングを行った。主な意見は以下のとおり。
・新潟港に京浜港に対してコスト、リードタイム面で優位性のあるライナー航路が必要
・鉄道利用は、トラック輸送に比べ、コスト、リードタイム、納期の確実性等の面で課題がある
・ハイキューブ(背高)コンテナへの対応が必要
・インランドの仕組みの工夫等、ハード整備よりもソフト面の充実が必要
・CO2削減に取り組んでいるのは大企業のみで、実際はコストがすべてというところが多い。
・海上コンテナ(40ft、20ft)は容量が大きい。鉄道コンテナ(12ft)の活用も考えてはどうか。
・少なくとも貨物列車で2編成/日程度の貨物がないと、トラック輸送に対してメリットがでない。
・ターゲット地域は、北関東、東北南部等が想定されるが、輸送距離を考えると、新潟港より京浜港利用になってしまう。運賃補助等が必要だろう。
・大きな安定した荷を見つける必要がある。
・シベリア鉄道は運賃が変動するので使いづらい。
・中国東北部は大連港からの距離が遠い。ザルビノ港から中国東北部へのルートに見込があるかも知れない。
・①RORO船の利用、②港から1,000キロ圏内にあるという条件が揃っていると飛行機の代替・補完として利用が可能。
・海上輸送が最速になり、京浜港に対してメリットが出せる就航先が必要 等
●主な委員の意見等
・アンケート調査の中間報告では、「新潟港に興味・関心がある」との回答は全体の4.3%しかなかったが、その中に目の前に東京港がある東京都の会社が16社も含まれているのは意外であった。日本海側も視野に入れていることは非常に興味深い。
・鉄道輸送は、荷物の積み下ろしなどの行程が増えることによるコスト増が問題。また、一気に通関させないと使いにくいという問題もある。
・ロシアから日本への輸入貨物は限られている。輸出入のバランスがとれないと、ロシア国内の鉄道の往復利用も見えてこない。
・現在、海上運賃が大幅に下落していることもあり、シベリア鉄道ルートは、海上ルートとの比較において料金がかなり高いが、荷量によっては、交渉により船運賃やロシアの鉄道運賃を下げることもできるのではないか。将来の可能性の一つではないのかと思う。
・北朝鮮の動向も考える必要もある。国交正常化により交流が始まり、新潟港に全国から荷物が集まることなども想定し、今後を見据えてもらいたい。
・新潟港の利用促進には特徴のある航路を増やしていくことが必要。新しい航路の開設だけでなく、既存の航路の活用、シャトル便、船のローテーションにより新潟港をファーストポート化、あるいはラストポート化することなども重要。
5.環日本海複合一貫輸送の輸送実験について
●概要
・1月、北陸地方整備局が、新潟港をモデルケースとして、欧州と我が国を結ぶ環日本海複合一貫輸送物流体系を構築するための輸送実験を実施する。
●主な委員の意見等
・昨年度、同じくシベリア鉄道を使った輸送試験を伏木富山港で実施した。自動車部品の輸送を行ったが、特に大きな問題はなかった。
6.今回のまとめと今後の方向性等
●概要
・今後の方向付けとして、新潟港と鉄道との接続以前に、港の利便性を向上させることが重要であり、特色のある航路を成立させることが必要、鉄道利用には、NVOCCが活躍する環境作りが必要であり、空コン輸送への対応が重要であるといった意見をいただいた。
・提言とりまとめに向けて、国内の政治システムも含めて、社会が大きく変わっていくことが想定される一方で、現在の経済情勢は一番の底にあり、今だけを起点として今後の展望を考えると、大きく将来を見誤る可能性があることに注意が必要。
・将来に向け、様々な可能性も整理しておく必要がある。CO2削減の取組が進めば、さらに違う評価ができるしシベリア鉄道も市場経済化の導入が進み、徐々に利便性が向上する方向にあると考えられる。
●主な委員の意見等
・アンケートやヒアリング調査を通じて利用者の声を聞いていただいたことにより、非常に有益な情報が得られた。
・鉄道を使い新潟をゲートとして大陸と結ぶというコンセプトに関して特に大きな反対はないが、相当難しい課題があるということが、全員の共通認識であった。
・資料について、コスト面を今後も深堀してもらいたい。これに加え、シベリア鉄道や海上運賃の価格交渉の可能性や、新たな貿易の拡大、北東アジアフェリー航路の再開など、今後の施策や社会状況の変化に応じて、すぐに行動することができるような資料をまとめて欲しい。
7.その他
・本検討委員会にオブザーバー参加している日本通運㈱から上海エクスプレスの事例紹介等、多大な協力をいただいた。今後も大手フォワーダーの立場としての意見を伺いたいので、次回から委員として参加していただくこととなった。
・次回の検討委員会は、1月後半から2月頃に開催し、提言の取りまとめに向け、調査結果の取りまとめ、方向性の確認をした上で、最終的には3月頃に提言として取りまとめたい。
添付資料
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