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[関係法令]特定非営利活動促進法のあらまし
近年、福祉、環境、まちづくりなど様々な分野において、ボランティア活動をはじめとした民間の非営利活動による社会貢献活動が活発化し、その重要性が認識されています。
現在、これらの団体の多くは、法人格を持たない任意団体として活動しています。
そのため、銀行で口座を開設したり、事務所を借りたり、不動産の登記をしたり、電話を設置するなどの法律行為を行う場合、団体名で行うことはできません。
特定非営利活動促進法は、これらの団体が法人格を取得する道を開いて、さまざまな法律行為を行うことを可能としその活動の発展を促進して、もって公益の増進に寄与することを目的としています。
1 法人格を取得することが可能な団体(法第2条、第12条)
この法律により法人格を取得することが可能な団体は、「特定非営利活動」を行うことを主な目的とし、次の要件を満たす団体です。
- 目的としないこと。
- 社員(正会員など総会で議決権を有する者)の資格について、不当な条件をつけないこと。
- 報酬を受ける役員数が、役員総数の1/3以下であること。
- 宗教活動や政治活動を主目的としないこと。
- 特定の候補者、政党を推薦、支持、反対することを目的としないこと。
- 暴力団でない。暴力団又はその構成員若しくは暴力団の構成員でなくなった日から五年を経過しない者の統制下にある団体でないこと。
- 10人以上の社員がいること。
2 特定非営利活動とは(法第2条別表)
特定非営利活動とは、次の(1)と(2)の両方にあてはまる活動のことです。
- 法第2条別表に下記(1)~(17)の分野の活動であること
- 不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とする活動であること
- 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
- 社会教育の推進を図る活動
- まちづくりの推進を図る活動
- 観光の振興を図る活動
- 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
- 文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
- 環境の保全を図る活動
- 災害救援活動
- 地域安全活動
- 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
- 国際協力の活動
- 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
- 子どもの健全育成を図る活動
- 情報化社会の発展を図る活動
- 科学技術の振興を図る活動
- 経済活動の活性化を図る活動
- 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
- 消費者の保護を図る活動
- 以上の活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
- 以上の活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動
- ※(20)について、新潟県が定めているものはありません。
また、特定非営利活動人は定款に定めることにより、特定非営利活動に支障のない範囲で、特定非営利活動以外の「その他の事業」を行うことができます。
「その他の事業」の会計は別に区分して行う必要があり、またその収益は、特定非営利活動に係る事業のために使用しなければなりません。(法第5条)
3 法人成立の流れ(法第7条、第9条、第10~14条)
特定非営利活動法人になるためには、所定の申請書に、法第10条第1項に定める書類を添えて新潟県に提出します。(※新潟市内にのみ事務所を置く場合は新潟市、また、県が権限を移譲している市内にのみ事務所を置く場合は当該市に提出します。)
申請書を受理したときは、公告をするとともに、申請書類の一部を縦覧(1か月間)します。
新潟県では、縦覧・閲覧の場所を県庁13階の県民生活課、法人の主たる事務所所在地を所管する県の地域機関と定めています。移譲市が所管となる場合は、当該市役所及び県庁県民生活課となります。
縦覧期間の終了後2か月以内に認証又は不認証を決定します。(申請すれば必ず認証されると決まったわけではありません。)
認証された場合は、2週間以内に法人設立の登記を行い、法人が成立します。
4 特定非営利活動法人運営のルール(法第15条~30条)
社員総会の開催
総会は、定款の変更など重要事項を定める最高の意思決定機関です。
法人の理事は、少なくとも年1回、通常総会を開催しなければなりません。また、必要の都度、臨時総会を開催することもできます。
役員の選任
法人の役員として、理事3人以上及び監事1人以上を置かなければなりません。
理事と監事は兼職できません。また、法人に雇用されている人(職員)は監事にはなれません。
成年被後見人など法第20条の規定に該当する人は、法人の役員になれません。
また、役員には法第21条の規定により配偶者若しくは3親等以内の親族の就任制限があります。
会計の原則
法人の会計は、この法律の規定及び次の原則に従って行わなければなりません。
- 会計簿は、正規の簿記の原則(記録の網羅性、記録の検証可能性、記録の秩序性)に基づいて記帳する。
- 財産目録、貸借対照表及び収支計算書は、会計簿に基づき収支及び財政状態がわかるよう作成する
- 会計処理の基準や手続きは、毎年(毎事業年度)継続して適用し、みだりに変更しない。
情報公開
法人の情報公開として、毎事業年度終了後3か月以内に、事業報告書、活動計算書等の計算書類などを作成し、定款などとともに、関係者が閲覧できるよう法人の事務所に備え置くことが必要です。
また、所轄庁である新潟県にもこれらの書類を提出しなければなりません。
この法律では、情報公開を重視しているため、これらが適切に行われない場合、過料処分の規定を設けているほか、所轄庁への提出を3年間行わなかった場合は、設立の認証を取り消すこともできると定められています。
法人から提出されたこれらの書類は、閲覧することができます。
5 特定非営利活動法人の税制(法第70条)
法人税
法人税法上の収益事業以外は原則非課税ですが、法人税法上の収益事業については、普通法人(株式会社等)並みに課税されます。
課税・非課税の判断は、法人の行う事業が法人税法の解釈で収益事業に該当するかどうかであり、特定非営利活動に係る事業であれば必ず非課税ということではありません。
以下の33業種のうち、「いずれか」を「継続して」「事業場を設けて」行っている場合は、収益事業に該当します。(除外される場合もありますので、所轄庁では判断ができません)
- 販売業
- 不動産販売業販売
- 金銭貸付業
- 物品貸付業
- 不動産貸付業
- 製造業
- 通信業
- 通信業
- 倉庫業
- 請負業
- 印刷業
- 出版業
- 写真業
- 席貸業
- 旅館業
- 料理飲食店業
- 周旋業
- 代理業
- 仲立業
- 問屋業
- 鉱業
- 浴場業
- 理容業
- 美容業
- 興行業
- 遊技所業
- 遊覧所業
- 医療保健業
- 技芸教授業
- 駐車場業
- 信用保証業
- 無体財産権提供業
- 土石採取業
法人住民税(均等割)
法人税法上の収益事業を行わない場合でも、原則として課税されますが、新潟県では、法人の立ち上がり期の支援を目的として、平成16年4月から県民税の課税免除を行っています。
市町村民税の減免については、法人の事務所を置く市町村にお尋ね下さい。
消費税
一般の法人と同様に納税義務があります。
所得税
利子、配当等についての所得税は、一般法人と同様に源泉徴収され、課税されます。
給与等を支払う場合は、源泉徴収義務者となります。
印紙税
印紙税法で定める課税文書については原則として課税されます。
登録免許税
法人登記に関する登録免許税は非課税となります。
不動産取得税
原則として課税されますが、新潟県では、法人の立ち上がり期の支援を目的として、設立後3年以内の法人について、平成16年4月から課税免除を行っています。
自動車取得税
原則として課税されますが、新潟県では、法人の立ち上がり期の支援を目的として、設立後3年以内の法人について、平成16年4月から課税免除を行っています。
固定資産税
課税対象となります。
寄附税制
認定を受けたNPO法人に対して寄附や贈与をした場合の優遇税制については、以下のリンクをご覧下さい。
寄附金控除等特例を受けるためには、法人が国税庁長官の認定を受けることが必要です。
6 新潟県への申請・届出(法第23条、第25条、第31条、第32条、第34条
次のような場合には、新潟県に申請または届出が必要です。
- 役員の住所、氏名に変更があった場合、役員が新任、再任、任期満了、辞任等があった場合
- 法人の名称、事務所の所在地など、定款の記載事項を変更する場合
- 法人を解散する場合、残余財産の帰属先を決める場合、清算人が就職した場合
- 他の特定非営利活動法人と合併する場合
- 解散、合併の登記をした場合