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ダムの管理について

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0048280 更新日:2019年3月29日更新

ダムの管理とは

 ダムの管理とは、洪水調節や必要流量の補給・開発などダムを設置した目的を達成するために行われる一連の行為であり、貯水状況を制御する「操作」、貯水機能を確保する「貯水池管理」および確実な操作と貯水池管理を可能にする「施設管理」からなります。自然現象を相手に、時には予測しがたい現象に対して、適切な管理と的確な操作が求められるので、日々の点検整備・情報収集、緊急時の体制の確保が必要となります。
 新潟県土木部では昭和28年に完成した三面ダムをはじめとして、現在20のダムを管理しています。
 県土木部が管理するダムは、河川法(第14条)によりダム毎に定めたダム操作規則に基づき、ダム管理を行っています。
 管理に要する費用については、河川管理者である新潟県が負担しています。なお、多目的ダムの管理に要する費用は、県(河川管理者)と、水道や発電といった利水事業者それぞれが負担しています。

ダム管理体制

 ダムには平常時および洪水等の非常時にそれぞれ必要な職員等を配置しています。ダムの管理体制は、ゲートによる人為的操作の有無、貯水池運用方式、発電の有無等により4つに区分しています。

(1) 宿日直体制(4月1日~9月30日)

 ダム操作の難易度(発電をもつゲート付きダムで貯水池運用をシビアに行っている)から職員により対応

  三面、早出川、笠堀ダム

(2) 常駐方式

 (1)以外のゲート付きダムで洪水時にゲート操作が必要なダム。平日の日中は職員が常駐、夜間土休日は夜警嘱託により対応

  胎内川、内の倉、加治川治水、下条川、刈谷田川、鯖石川、大野川ダム、宿日直体制をとらない期間の三面、早出川、笠堀ダム

(3) 日中常駐方式

 ゲートレスダムで、平日の日中は職員が常駐、夜間土休日は警備保障(無人)により対応

  大谷、破間川、広神、正善寺、奥三面、柿崎川、奥胎内ダム

(4) 巡視管理

 ゲートレスダムで、平常時は無人とし、定期的な巡視と遠隔監視により対応

  城川、久知川、新保川ダム

洪水に対するダム操作

 ダムは、下流域の住民の皆さんの生命と財産を守るという重要な役割を果たすため、大雨による増水が発生する恐れが生じた場合には、直ちに洪水警戒体制に入り、昼夜を問わず24時間体制で管理し、下流の河川流量を低減させるとともに関係機関との連絡やパトロールを実施します。
 具体的には以下の順番で行うことになります。

洪水時における河川のパトロール(刈谷田川ダム)の画像
  洪水時における河川のパトロール(刈谷田川ダム)

(1) 洪水警戒体制

 気象台から降雨に関する警報等が発せられたとき、流域の総雨量、連続雨量、時間雨量等が操作規則等に定められた基準を超えるとき、台風の暴風雨圏内に入るおそれがあるときなど、すなわち洪水調節を実施することとなる前の段階で、ダムでは洪水警戒体制に入り、洪水に備えます。
 洪水警戒体制に入ると、関係機関への連絡、気象・水文情報の収集、ゲート・バルブ等の操作に必要な設備の点検整備、予備電源設備の試運転といった作業に従事します。

(2) 放流警報

 ダムから放流を開始する場合やダム放流により下流の急激な水位上昇が見込まれる場合(30分30cm~50cm以上)に、ダム操作規則に基づき、あらかじめ設置された立札による周知や、警報局の吹鳴、警報車による巡視といった方法により一般への周知を実施しています。
ダムでは常に流入量等を把握し、いつ時点で放流を変化させなければならないか予測し、その必要がある場合には、各自治体が行う避難活動が速やかに行われるように放流量を変化させる1時間程度前に関係機関に通知を行うようつとめています。なお、ダム下流の警報局のサイレン及びスピーカーは、ダムからの放流により河川の流況に著しい変化が生じる恐れのある区間において、河川利用者が安全に川から退避できるように周知するために設置されています。よって、警報局は、河川内利用が多い区間において、河川周辺をカバーするように設置しています。

(3) 洪水調節

 洪水調節を行うには、まず気象情報、ダム流域に設置された雨量計のデータ、各種気象レーダ等から今後の流域の雨量を予測します。次にダムへの流入量の推移と雨量予測結果から今後の流入量を予測し、当該ダムの操作規則による「洪水調節方式」と「放流の原則」に従い、(流入量より小さい)ダム放流量により洪水調節を行います。なお、洪水調節開始の前に「予備放流」を行うダムがあります(笠掘ダムが該当)。
 ダムでは下流に水位観測所をもっており、常に下流の水位の状況を把握しています。下流の河川状況や水防活動の状況等についても、関係機関との連絡により常に把握できるようにしています。

(4) 計画を越える洪水時の操作

 県土木部管理ダムは、70~100年確率の洪水を対象に計画されています。しかしながら、計画規模以上の洪水が発生した場合、長雨、融雪出水等で洪水量以上の流入量が長く続いた場合でダム貯水位がサーチャージ水位を超えてしまう場合(例えば平成16.7.13水害の笠堀ダム、刈谷田川ダムなど)があります。ダムの計画に当たっては、サーチャージ水位がダム本体上流側の最高水位であるとして計画されたものであり、貯水位がサーチャージ水位を超えることは避けなければなりません。したがって、ゲート付きダムでは「ただし書き操作」により、貯水位がサーチャージ水位を超えないようにしています。ただしゲートレスダムの「非常用洪水吐からの越流」については、人為的操作は不能となります。

(5) 体制解除

 洪水がピークを過ぎ、流入量が洪水量を下回った時点で関係機関に対し「流入量が洪水量を下回った」旨を通知することとなっています。その後再び流入量が増加する可能性がなく、貯水位を制限水位まで下げる後期放流が終了し、なおかつ、下流河川の破堤・はんらん等により通常のダム操作により被害を生じる可能性がないことが確認されてから、体制を解除することとなります。ただし次の洪水に備え、設備の点検等をすみやかに行うこととしています。

用水補給のためのダム操作

 通常時においては、流水の正常な機能の維持、かんがい用水及び上水・工業用水等の補給など、各ダムの設置目的に応じて貯留した水を放流するための操作・監視を実施しています。

正善寺ダム操作室の画像
正善寺ダム操作室

ダムの施設管理

 ダムを安全かつ円滑に管理し、機能を十分発揮させることによりダム設置の目的を達成できるよう、種々の管理設備を設置しています。

ダム主要設備の名称(出典:目で見るダム事業 国土交通省)の画像
ダム主要設備の名称(出典:目で見るダム事業 国土交通省)

管理施設の分類(出典:ダム管理の実務 ダム水源地環境整備センター)の画像
管理施設の分類(出典:ダム管理の実務 ダム水源地環境整備センター)

(1) 放流設備

 ダムの放流設備はダムに貯留された水を洪水調節や水位管理、利水放流等のために利用するものでダムの型式、大きさやダムの目的、洪水調節の方式、放流量等によってダム毎に適切な型式のものが計画・設計されています。なお、自然調節方式のダムにおいては調節用のゲートを持たないダムもあります(詳しくはダムに関する用語をごらんください)。

(2) 管理支援設備

 管理支援設備はダム管理要員がダムの目的を達成するために必要な情報の収集・処理、放流設備の操作や操作等に必要な電力の供給、関係機関との情報連絡、放流における危害防止のための警報等、ダムの実管理において必要な支援と手段を提供する設備であり、ダム管理用制御処理設備、電気設備、観測設備、通信設備、放流警報設備といった様々な機器や設備で構成されます(詳しくはダムに関する用語をごらんください)。

(3) 付帯設備等

 ダム管理施設の付帯設備としては管理所建物等の他に、貯水池を管理するための付帯設備や警報や巡視のための車両や船舶等が分類され、ダム管理に必要な設備一切を含みます(詳しくはダムに関する用語をごらんください)。

管理支援設備(出典:ダム水源地環境整備センター)の画像
管理支援設備(出典:ダム水源地環境整備センター)

ダムの安全管理

 ダムの事故はダムの下流に甚大な被害を発生させる恐れがあるため、他の土木構造物に比べ厳しい安全性の確保が求められます。

(1) 基準等

 安全性確保のための基準として、「河川管理施設等構造令」、「河川砂防技術基準(案)」、「ダム・堰施設技術基準(案)」、「ダム構造物管理基準」等々があります。

(2) 堤体観測、周辺の地山の監視

 堤体の主な観測項目としては、漏水量、変形量、揚圧力または間隙水圧があり、これは基礎または堤体の異常を確認するための重要な項目となります。各ダムの操作規則に観測・計測基準を定め、観測・計測の簡素・効率化を図りながら実施しています。周辺の地山の監視として、平常時の地すべり挙動観測や洪水後、地震後の巡視・観測などがあります。

(3) 堆砂状況の把握

 ダムでは、将来堆砂により使用不能となる容量を考慮したうえで、洪水調節容量などの貯水池容量を計画しています。また、毎年定期的に測量(堆砂測量)をすることで、現状の堆砂状況を把握しています。
 堆砂が進行しているダムにあっては、ダムに流れ込む土砂を軽減するためにダムの上流に土砂を捕捉する貯砂ダムを設置し堆積土砂を掘削搬出したり、ダム貯水池内の浚渫等を行うなど、必要な容量を確保するための対策を実施していますが、現在の堆砂量は計画の範囲内であり、洪水調節の容量が不足していることはありません。
 なお、鯖石川ダムでは、全国的にも非常に珍しい「スルーシング(通砂)」を実施しています。

(4) テロ等危機管理対応

 通常の洪水やダム操作等の事故・事件の態様を越えた、県民の生命、身体、財産に重大な被害が生じ、また生じる恐れがある事態を「ダムにおける危機」とし、必要な初期対応、応急対策(住民等への情報提供、二次被害の防止、関係機関との連携)、広報により、未然防止および危機の発生に伴う被害の拡大を防止します。なお、具体的には、「管理所の占拠」、「ダム本体の破壊」、「貯水池への毒物混入」、「火災」などを想定しています。

ダムの地震対策について

 県土木部が管理するダムにおいては、中越地震、中越沖地震等の際に震度6から7の大きな地震動を受けたものの、堤体の安全性を損なうような被害は生じていません。また、東日本大震災、長野県北部地震でも全てのダムに異常は無く、ダムの安全性を確認しています。
 また、ダム周辺で震度4以上の地震が発生した場合には、直ちに臨時点検を実施しダムの安定性の確認を行い、結果については県ホームページ等で公表しています。これらを通じて地震に対しても十分な安全性を確保しています。
 なお、異常時の対応については、貯水位制限等の対策や止水処理等の応急措置等を実施します。さらに漏水、変形、ダムの挙動異常が認められ、かつ急速に拡大するおそれがある場合は、ダム操作規則に基づき関係機関及び下流住民へ連絡、通報します。

ダムの維持管理

 ダムは一世紀を超えてその機能を維持する必要がある重要な施設です。新潟県では日常的な保守点検や整備に加え、大規模な改良・修繕を行うことにより、ダムのリニューアルも行っています。

出典等

 「ダムの管理について」の作成にあたっては、河川総合開発用語集(財団法人ダム技術センター)やダム管理の実務(財団法人ダム水源地環境整備センター)等を参考にさせていただきました。

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