地球上の生物は、生物が誕生して以来、様々な環境に適応して進化し、未知のものも含めると3,000万種ともいわれる多様な生物が生まれました。これらの命は、それぞれが網の目のように様々な関係で繋がっており、長い年月をかけて現在の地球の姿を作り上げてきました。私たち人間も地球という大きな生態系の一員であり、地球によって生かされているのです。
ところが、私たち人間は、世界各地で生態系を破壊し、たくさんの生き物たちを危機的状況に陥らせています。私たちは、人間を含めた地球上の命が互いに繋がりあい、支え合っていることを改めて認識し、常に謙虚にそして慎重に行動しなければなりません。
生物多様性とは
生き物たちは、長い時間をかけて進化し、それぞれが異なった「個性」を獲得してきました。そして、互いの個性を活かした生き物同士の「つながり」が、地域特有の自然を生み出し現在の地球環境を支えています。
この、生き物の「個性」と「つながり」が生物多様性です。
生物多様性には、大きく分けて3つのレベルの多様性があります。
(1)生態系の多様性
森林、河川、湿原、干潟、海など、様々なタイプの自然があります。それぞれの場所には、その自然環境に適応した生き物たちが生息しています。
森林、草地、湿原(平ヶ岳)
河川(三面川)
海(笹川流れ)
(2)種の多様性
種は、生物を分類する最も基本的な単位です。それぞれの種は、環境に適応したきた進化の産物であり、すべての種が現在の生態系を支える役割を担っています。一つの種が欠ければ、生態系全体のバランスが崩れてしまいます。
白鳥(瓢湖)
ヒメサユリ
トノサマガエル
(3)遺伝子の多様性
同じ種であっても、地域の環境によって体の形や特徴が少しずつ違いがあります。こうした違いがあることで、環境の変化や病気の蔓延が起こっても、全滅する可能性が低くなります。
ゲンジボタルは、西日本と東日本で発光周期が異なります。
生物多様性はなぜ重要か
多様な生物は、それぞれが大切な役割を持ち、互いに影響しあい自然環境のバランスを維持しています。私たち人間は、その中から必要なものを取り出して食料、木材、医薬品などとして利用しています。また、文化や芸術の対象ともなっています。
つまり、私たちの生活は、生物多様性が与えてくれる恵みによって成り立っているのです。
植物の光合成が酸素を創り出します。
米は土壌から、魚は海からの贈り物
地域の食材が織りなす食文化も多様
生物多様性の危機
海に囲まれ、南北に長く、豊かな緑に覆われた日本で、本来豊かであるはずの生物多様性は、危機に瀕しています。
(1)第1の危機
土地の開発や生物の乱獲・盗掘など人間活動による生態系の破壊や種の減少・絶滅
佐渡におけるトキの野生復帰・定着を目指して、様々な取組が進められています。(写真提供:佐渡トキ保護センター)
雪割草は、盗掘などの原因により減少しています。新潟県雪割草保護連絡協議会で自生地の保護や巡視活動を行っています。
(2)第2の危機
第1の危機とは逆に、里地里山など、生活様式の変化や高齢化などにより、人間の手が加えられなくなったことによる質の低下
手入れ不足により竹が侵入したスギ人工林
(3)第3の危機
外来生物や化学物質などを人間が持ち込むことによる生態系の攪乱
ウシガエル(特定外来生物)
オオキンケイギク(特定外来生物)
(4)地球温暖化による危機
3つの危機に加えて、地球温暖化による生物多様性への影響も深刻な問題です。
地球全体の平均気温が1.5~2.5℃以上上がると、約20~30%の動植物種の絶滅リスクが高まるだろうと予測されています。(気候変動に関する政府間パネルの第4次評価報告書による)
生物多様性の保全のために私たちができること
生物多様性の保全は、社会や経済の仕組みにも関わる大きな問題です。しかし、私たち一人ひとりでもできることがあります。
身近な自然や生き物に目を向けてみましょう。
(1)生物多様性にふれよう
・水や空気や食べ物がどこからうまれたのかを考えよう
・自然と遊ぼう
・身近な生き物を見てみよう
・動物園、水族館、植物園、博物館へ行こう
・生き物を育ててみよう
(2)生物多様性を守ろう
・自然を汚さないようにしよう
・旬のもの、地のものを食べよう
・地球温暖化を防止して、生き物が住める環境を保とう
・ペットはずっと最後まで飼おう
・地域の自然保護活動に参加しよう
(3)生物多様性を伝えよう
・家族と自然の恵みや大切さについて語ろう
・学校で生き物について語る機会を増やそう
・生き物のつながりを脅かすものを語ろう
・生物多様性を守る仲間を応援しよう
・自然と共に暮らす人々とつながろう
生物多様性条約第10回締約国会議の開催
2010年に生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が愛知県名古屋市で開催されます。
2010年は国連の定めた「国際生物多様性年」であり、2002年のCOP6で採択された「締約国は現在の生物多様性の損失速度を2010年までに顕著に減少させる」という「2010年目標」の目標年にもあたります。よって、COP10は生物多様性条約にとって節目となる重要な会議です。
(1)主催者:生物多様性条約事務局、開催国政府
(2)開催期間:2010年10月11日(月)~29日(金)
(3)会議会場:名古屋国際会議場
(4)主な議題
・2010年目標の達成状況の検証及び新たな目標の設定
・遺伝資源へのアクセスと利益配分に関する国際的な枠組みの策定 など