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老朽化した基幹水路の保全対策を実施しています
県営基幹水利施設ストックマネジメント事業を紹介します
昭和年代に建設した水路など、農業水利施設の老朽化が進んでいます。これまでは、施設が著しく劣化してから、多額の費用をかけて更新(壊して作り直す)していました。そこで近年は、施設の劣化状況に応じて適切な時期に補修を行うで長寿命化を図り、施設のライフサイクルコスト(初期建設費用及びその後の管理・補修費用などの総額)を低減させる「ストックマネジメント」に取り組んでいます。
上越管内では、このストックマネジメントにより、農業水利施設の効率的な保全対策工事を実施するため、2地区で事業を実施しています。
ストックマネジメントとは
既存施設(ストック)の有効活用や長寿命化を図り、ライフサイクルコストを低減するための手法
保全対策工事までの流れ
- 日常点検
- 機能診断調査、評価
施設の劣化状況を調査して、健全度を判定します。 - 機能保全計画の策定
ライフサイクルコスト低減のため、どの時点で、どのような保全対策工事(補修、補強、更新)が効率的か計画を立てます。 - 機能保全対策の実施
計画に基づき、保全対策工事を実施します。
日頃からの点検、保全計画の策定により、施設の監視を続けながら保全対策工事実施のタイミングを見定めることがポイントです。
潟川地区(上越市大潟区・頸城区)
総事業費 4989百万円
受益面積 2175ha
主要事業 排水路工7478m
事業工期 平成21年度~平成33年度
本地区は、かつて「大瀁郷」と呼ばれる沼地が広がっていた低平な水田地帯で、昭和49年から、湛水被害の軽減を目的に軽量鋼矢板護岸による排水路整備が行われました。しかし、建設から年数が経過し、軽量鋼矢板護岸は腐食が進行し、矢板に空いた穴からの背面土流出や護岸の傾きが生じています。このため、本事業の保全対策工事により、地域の基幹的な排水路である潟川排水路及び支流の排水路機能の回復・長寿命化を図り、安定的な農業生産の基盤を確保します。
潟川排水路
軽量鋼矢板護岸の腐食と背面土吸出し状況
保全対策工事後の潟川排水路
赤川地区(上越市柿崎区・吉川区)
総事業費 3505百万円
受益面積 501ha
主要事業 排水路工2660m
事業工期 平成27年度~平成32年度
本地区は、上越市北東部の海岸砂丘から内陸に広がる低平な水田地帯で、昭和50年から、湛水被害の軽減を目的に軽量鋼矢板護岸による排水路整備が行われました。しかし、建設から年数が経過し、軽量鋼矢板護岸は腐食が進行し、矢板に空いた穴からの背面土流出や護岸の傾きが生じています。このため、本事業の保全対策工事により、地域の基幹的な排水路である赤川排水路の排水路機能の回復・長寿命化を図り、安定的な農業生産の基盤を確保します。
軽量鋼矢板護岸の腐食状況